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真っ赤なトンボ

2年前の6月のある昼下がり。

ふと窓の外を見ると、物干し台に一匹のトンボがとまっていた。


最初は「赤とんぼかな」と思った。

でも、よく見ると違う。


胴体だけじゃない。
羽まで赤い。


そして驚いたことに、目まで真っ赤だった。



「こ、これは、ただの赤とんぼじゃない!」



私は急いでスマホを持って外へ出た。 


逃げられないように、そっと、そっと近づく。



普通のトンボなら、人が近づけばすぐに飛び立ってしまう。



しかし、この子は逃げなかった。



少しずつ距離を縮め、すぐそばまで近づいてもじっとその場にとまっていた。


警戒する様子がまったくなく、人懐っこささえ感じた。


「もしかして、写真を撮ってもらいたいの?」


声をかけながら写真を撮った。


体全体が、本当に見事な赤色だった。


調べてみると「ベニトンボ」という種類らしいことが分かった。



そのベニトンボさんは、しばらく同じ場所に
とまっていた。



ふっと飛び立ったかと思うと、
すぐに戻ってきて同じところにとまる。




よほどその場所が気に入ったのだろう。


しかし、さすがに1時間ほど経つと姿はなくなっていた。




なんとなく少し寂しくなった。




夕方、息子が帰宅した。

「さっきね、見たこともないすごくきれいなトンボが来てたのよ。あそこに…」

と言いながら物干し台を指さすと、




なんと、そこにはベニトンボさんがとまっていた。


たぶん昼間と同じベニトンボさん。



その時、さすがに思った。 

「これは、何かの遣いかもしれない!」


特に心当たりはなかった。



その後もしばらくそこにいたが、


その日以来、二度と姿を見ることはなかった。




あの日、あの真っ赤なベニトンボさんは
いったい何を伝えにきてくれたのだろう。


今でも時々思い出す、不思議で忘れられない出来事だった。


*見出し画像は、その時実際に撮影したベニトンボの写真です。



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