公益通報と懲戒処分|「処分を受け入れた」を5要件で読む
前号では、兵庫県問題を「公益通報」「名誉毀損」「行政責任」の3つのレーンに分けました。
第2号では、そのなかでも誤解が起きやすい一言を取り上げます。
「処分を受け入れた」
この言葉は、本人が不服申立てをしなかったという事実なのか。処分に納得していたという意味なのか。それとも、処分が適法だったという評価なのか。
この3つは、法律上まったく別の命題です。混ぜてしまうと、懲戒処分が公益通報への不利益な取扱いだったのかを検討できなくなります。
まず、公開資料から確認できること
兵庫県が公開している2024年8月7日の知事記者会見記録では、知事側が、4月4日に公益通報があり、その後、文書の作成・配布などをめぐる調査と懲戒処分の判断が進んだと説明しています。
同じ会見記録では、7項目の文書について、作成・配布行為以外の4つの非違行為を認定したこと、人事課からの報告を受けて処分を決裁したことも説明されています。
一方、兵庫県は2025年3月19日、文書問題に関する第三者調査委員会から調査報告書の提出を受けたと公表しています。
ここで確認できるのは、県がどのように説明したか、第三者調査委員会の報告書がいつ提出されたかです。会見記録や第三者委員会の報告書は重要な資料ですが、それ自体が裁判所の確定判決と同じ意味を持つわけではありません。
「受け入れた」を5つに分ける
「処分を受け入れた」という表現を、次の5つに分けて考えます。
処分通知を受け取った
不服申立てや訴訟をしなかった
処分の内容に同意していた
処分が適法だった
処分は公益通報とは無関係だった
このうち、最初の2つは資料で確認できる可能性があります。しかし、後ろの3つは、単に争わなかったという事実だけからは導けません。
法律の検討で大切なのは、本人が後から反論したかどうかだけではありません。どのような通報が、誰に、いつ伝わり、誰がどの資料をもとに、どの理由で処分を決めたのかです。
▼あわせて読む
・兵庫県問題を読む3つの論点|公益通報・名誉毀損・行政責任(¥300)
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ここから先は、公益通報者保護法と懲戒処分の関係を、5つの要件に分けて検討します。
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