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仮面が選ぶひと

空の向こうで、
入道雲がむくむくと育っていきます。
じりじりと照りつける光の下、
影だけがくっきりと濃い、夏の盛りとなりましたね。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

前回は、私がまだ案内人ではなかった頃の記憶についてお話しいたしました。
もしまだお読みでなければ、
お時間のあるときに覗いてみてください。


さて、今日は仮面舞踏会ポラリアの仮面のお話を。
私たちが仮面を選んでいるようでいて、
仮面のほうも、そっと持ち主を選んでいる。

案内人として仮面をお渡ししながら、
いつも不思議に感じていることです。

最後までお付き合いいただけましたら幸いです。


選ばれる側になる

仮面を選ぶ時間は、
まるでそばにいてくれる相手を
探しているかのようで、
見ていてとてもあたたかな気持ちになります。

直感のままに
ひと目で選ばれる方もいらっしゃいますが、

多くの方は最初、
「これが似合いそう」
「この色が好き」
「この衣装に合わせたい」
そんなふうに仮面をご覧になります。

けれど、不思議なことに
最終的に選ばれる仮面は、
そうして最初に手が伸びたものではないことも
少なくありません。

何度も棚の前を行き来する方もいれば、
じっくりと一枚の仮面を見ていたはずなのに、
ふいに手が別の仮面へ伸びる方もいます。

お客さまが仮面を選んでいらっしゃるとき、
ふと仮面たちのさわさわとした話し声が
耳に入ってくることがあります。

どなたかが棚の前にいらっしゃると、
そのなかのひとつがさざめきを突き抜けて、
ひときわ大きな声で手を挙げるのです。
「このひとがいい!」
ときには、いくつかの声が重なって、
「わたし! わたし!」
と譲らないこともあります。


©仮面舞踏会ポラリア

支配人のトルテラには、
「仮面たちの調子はどう?」
と、よく尋ねられます。

「今日は皆楽しそう」
「今日はほんの少しだけ緊張しているみたい」

その日によって返す言葉も違います。


耳を傾ける

私はお客さまの仮面選びのお手伝いをするとき、「仮面の声によく耳を傾けてみてください」
とお伝えすることがあります。

すると、
「聞こえません!」
と笑われることもあります。

けれど、それで良いのです。
声は、いつも言葉の形で届くとは限りません。

なんとなく気になる、なぜか目が離せない、
何度も戻ってきてしまう——
そうした小さな引っかかりこそが、
仮面からの呼びかけなのです。

そして嬉しいことに、
ひと目で決めた方も、長く迷われた方も、
皆さましっくりくる仮面を見つけていらっしゃいます。

仮面を手にした瞬間、
表情がぱっと華やぐ方もいれば、
肩の力がふっと抜ける方もいます。

その姿を見るたび、
あぁ、探していた仮面に巡り会えたのだなと思うのです。

©仮面舞踏会ポラリア


お守りのように

私にとって仮面は、
ただ顔を隠すための道具ではありません。
どちらかといえば、お守りに近いものです。

それを身につけたからといって、
何かが変わるわけではないけれど、
少しだけ背筋が伸びたり、
少しだけ勇気が出たり、
少しだけ素直になれたり……
そんな変化は、確かにあると思うのです。

仮面舞踏会ポラリアの会場では、
普段とは違う名前、「仮名」で呼ばれます。
普段とは違う姿になります。
けれど、それは「別人になること」ではありません。

むしろ普段は奥にしまっているものが、
少しだけ表に出てくる時間
なのではないでしょうか。

だからこそ、その時間を共に過ごす仮面は
大切な相棒なのです。

以前の記事で、
「こちらが仮面を選んでいるのか、選ばれているのか、わからなくなる瞬間があるかもしれません」と書きました。

わからなくなるとき、
選ばれているのはきっと皆さまのほうなのです。

仮面の前でどうか一度、
耳を澄ませてみてください。

皆さまにも、運命の仮面との出会いがありますように。

©仮面舞踏会ポラリア


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この度も、最後まで読んでくださり
ありがとうございました。
また静かな時間に、
お目にかかれましたら幸いです。

次回は8/21(金)、
仮面舞踏会ポラリアの案内人のご紹介を。

華やかな装いの奥に、
どんなひとが立っているのか。
どの案内人のお話になるのかは、
どうぞお楽しみに……。

暑さの厳しい日が続きますが、
くれぐれもご自愛くださいませ。
日が傾いて風が出てきたら、
少しだけ窓を開けて、
外を眺めてみるのもいいかもしれません。

案内人 フェリカ🕊️


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