コピペの「おまじない」から8ヶ月。AIの弱点を補う公式がSkillになりました
こんにちは、AIを自分だけの記事クリエイターに育てる研究をしている ぽけご です。
AIでやりとりをしているとき、
「プロンプトを工夫しているのに、AIの回答がどこか浅い…」
「やりとりが長くなると、話の方向がズレていく気がする…」
こんなモヤモヤを感じたことはありませんか?
私も同じ思いを抱え、AIの構造的な弱点を補う「コピペの公式」を作り、note記事で公開しました。
あれから8ヶ月。
公式はプロンプト研究の中で進化を続けていました。
日々の試行錯誤の中で、新たな弱点の本質が見えてきて改良したり、難しい課題にぶつかったり…。
そして、Claude Cowork のようなエージェントツールが手の届く形で登場し、プロンプトでは手が出せなかった領域にまで設計が届くように。
毎回チャットに貼り付けていた"おまじない"は、8ヶ月の探究を経て Agent Skill へと進化しました。
この記事では、その変遷を探究の記録としてお届けします。
8ヶ月の試行錯誤で見えてきた発見と、プロンプトでは手が届かなかった課題
エージェントツールが開いた、新しい設計空間
コピペのおまじないが Agent Skill としてどう進化したのか
公式がどう変わり、なぜ変わったのか。
その過程を、追体験していただけたら嬉しいです。

8ヶ月の試行錯誤で見えた発見と課題

旧記事で公開した「コピペの公式」は、
❌ 具体に固着する
❌ 全体を見渡せない
❌ 直前の話に引きずられる
❌ 学びを持ち越せない
AIが持つこれらの弱点に対処するために作ったものです。
ただ、公開後もAIとの対話を重ねる中で、公式の進化は途切れませんでした。
ここでは、その探究の中で見えてきた発見と課題を振り返ります。
5つ目の弱点:AIは立ち位置の把握が苦手

公式を使いながら対話を重ねていたある日、ちょっとした違和感に気づきました。
同じ質問をしているのに、AIの答えが議論の本筋からズレることがあったのです。
最初は「聞き方が悪かったのかな」と思っていたのですが、何度か繰り返すうちにパターンが見えてきました。
実はAIには、「自分が今どの立ち位置で答えるべきか」を自律的に把握できないという弱点があったのです。
たとえば、記事を作成するワークフローを開発する議論をするとき。
開発を担当するAIと開発したワークフローを実行するAIでは、当然ながら立ち位置や視点は異なります。
しかし、AIはその視座の違いを把握できず、誤ったポジションで回答してしまうことが分かったのです。
旧記事で示した4つの壁に加えて、「自分の立ち位置を把握できない」という5つ目の弱点が浮かび上がりました。
そこで、対話の冒頭でAI自身に「今の自分の役割・位置・上下流の関係」を構造的に宣言させる仕組みを公式に追加。
位置を明示的に確立させることで、議論の方向がブレないように改善しました。
全ての壁は「抽象化の失敗」が原因だった

なぜAIは立ち位置を自力で把握できないのでしょうか。
それは、具体的な入力情報から「自分は今どこに立っているか」という上位の抽象を引き上げられないからです。
この構図に名前をつけるなら「抽象化の失敗」。
5つ目の弱点をこのように整理した瞬間、残りの4つの壁にも同じ疑問が浮かんできました。
旧記事で「ユーザーから見た壁」と呼んでいた4つの問題も、実はAI側の認知構造に内在する欠陥であり、根本は同じ「抽象化の失敗」に帰着するのではないか?
具体に固着して目的を見失う
部分最適に陥って全体を見渡せない
直前の対話に引きずられて長期文脈を失う
これら全てが「具体から抽象への引き上げを自力で行えない」という一つの原因に繋がっていました。
つまり、旧記事で挙げた4つの壁と5つ目の弱点は、「AIは抽象化が苦手」という一つの根本原因の異なる発現だったのです。
そうなると、公式を2つ(分析型・創造型)に分ける必要もありません。
推論の根幹は同じなのですから…
2つの公式を1つに統合し、全ての入力をまず「目的のフィルター」で解釈してから処理する仕組みに変更しました。
コピペプロンプトの限界:記憶領域までは手が出せない

5つの欠陥を定義し、それぞれに構造的な処方を組み込み、概念としての公式は一つの完成形に。
AIの思考にヒントを与えるレベルでは、公式は確かに機能していたのです。
しかし、使い続ける中で構造的に手が届かない問題があることも見えてきました。
❌ 対話が長くなると、AIが本筋から逸れていく
❌ セッションを分けると、前回の議論が十分に引き継がれない
❌ 引継ぎ書を作らせても、肝心な部分が抜け落ちてしまう
これらは「会話履歴の管理」や「コンテキストの圧縮」に関わる問題であり、AIサービス側の仕様に属する領域です。
つまり、プロンプトの中にどれだけ精密な仕組みを設計しても、プロンプトの外側にあるこれらの問題には手が出せません。
プロンプトだけではコントロールできない領域がある。
このような課題にぶつかってしまったのです…。
エージェントツールの登場で景色が変わった

プロンプトの外側にあった問題に、新しい選択肢をもたらしたのが、エージェントツール(Claude Cowork など)の登場でした。
これらを使いだすようになって、Symbiotic Intelligence Framework(SIF)の公式は新たなステージに到達することになります。
推論の型を登録してコピペ不要でいつでも呼び出せる

新しい対話を始めるたびに、公式の全文をチャット欄に貼り付ける。
コピペ時代の運用は、正直なところ手間がかかっていました。
しかし、エージェントツール(Claude Cowork や Codex など)には Skill機能 が搭載されており、この機能を活用することで、SIF公式の運用が根本から変わります。
プロンプトの中で成熟した推論の型を、Skill としてインストールできるようになったのです。
一度登録すれば、対話を始める時に「SIFスキルを使って」と宣言するだけで、推論の型が自動で適用されます。
毎回、コピペで貼り付ける必要が無くなったのです。
さらに、SIF公式のSkill化は「便利になった」以上の意味がありました。
コピペ運用では公式の長さに物理的な上限がありましたが、Skillなら推論の型をより精密に、より包括的に設計できます。
概念の深まりを、分量を気にせずそのまま型に反映できるようになったのです。
対話履歴をファイル化して管理・設計が可能に

エージェントツールが開いたもう一つの大きな扉があります。
コピペ時代に「手が出せない」と感じていた、
❌ 対話が長くなるとAIが本筋から逸れる
❌ セッション間で議論が引き継がれない
こういった問題の解決の糸口を見つけました。
エージェントツールにはファイルアクセス機能があります。
この機能を使えば、会話の履歴をファイルとして出力し、ユーザー側で管理することが可能に。
それまでAIサービスの内部に閉じていた会話履歴に、外からアクセスする道が開けたのです。
この基盤をもとに設計したのが、State-S(ステートエス)という仕組み。
対話で決まったこと・学んだことを「議事録」としてフォルダ内にファイルとして残し、対話の推論前にAIがそれを読み込んで思考する。
もちろん、ユーザー側でファイル参照して書き換えることも可能です。
この仕組みにより、対話が長くなってもAIが本筋を見失わない構造が成立しました。
また、セッションをまたぐ際に、より完璧な引継ぎが可能に。
セッションごとにフォルダを作り、議事録ファイルをフォルダ内に残しておけば、新しいセッションの冒頭でAIが前回の文脈を読み込んで議論を再開できるのです。
「プロンプトでは手が出せなかった」コンテキスト管理が、ツールの到来によって設計可能な対象へと変わりました。
コピペのおまじないが、使うほど育つSkillに進化

推論の型のインストールと、対話記録の外部化。
この2つの基盤が揃ったことで、コピペの公式は質的に異なるものへと変わりました。
毎回貼る「おまじない」から、使うほど精度が上がる「Skill」へと進化したのです。
対話記録からAIが失敗を分析。自身で改善するモードを追加

対話の記録が蓄積されていったある日、過去の議事録を読み返していて気づきました。
記録を振り返れば、AIがどんな場面でどう間違えたかが見えるのです。
たとえば、
ユーザーの質問の表面的な言葉に引きずられて、本当に聞きたかったことをスルーしてしまう
長い議論の途中で最初に合意した方針が、いつの間にか消えてしまう
こうした失敗を一つひとつ言語化し、「こういう場面で間違えやすい」という型として、推論の仕組みに組み込んでいきました。
現在、この失敗パターンは27種に達しています。
コピペプロンプトでは実現できなかった「使うほど賢くなる」仕組みが、記録の蓄積とSkillの更新によって可能に。
対話のたびに学びが蓄積され、その蓄積からSkill自体が改善される。
このような循環が生まれたのです。
SIF思考の改善や引継ぎ資料の作成など、周辺Skillも整備

推論の型(SIF本体)の周辺にも、関連するSkillが育ってきました。
SIF更新Skill(sif-retrospective):
対話セッションが終わった後に、そのセッション中のAIの応答を振り返り、推論の型自体の構造的な改善点を見つける。SIF引継ぎSkill(sif-handover):
長時間の対話でコンテキストが限界に近づいた時に、引継ぎ書(圧縮コンテキスト)を作成して次のセッションへ文脈を受け渡す。
これらはいずれも「推論の型+記録の蓄積」という基盤があって初めて成立するものです。
コピペプロンプトの時代には発想すらできなかったことでした。
推論の型が対話のたびに自動で起動し、記録が蓄積され、蓄積から型自体が更新される。
この「使うほど育つ」仕組みの全体が、Symbiotic Intelligence Framework(共生知能フレームワーク)のSkillです。
今後のnote記事で、このSkillの実物と具体的な使い方についてもお届けしていきますね。
まとめ:「プロンプトの工夫+推論の管理」で真のシゴデキAIへ

今回は、AIへのプロンプトを工夫しているのに出力の質が安定しないと感じている方に向けて、
AIに潜む5つの弱点と、それらを貫く「抽象化の失敗」という根本原因
エージェントツールが開いた、推論の型と対話記録という新しい設計空間
コピペのおまじないが「使うほど育つSkill」へと進化した経緯
上記について、AIの弱点を補う公式を8ヶ月探究し続けてきた筆者の試行錯誤を交えながらお話してきました。
この探究を通して見えてきたのは、プロンプトの工夫は欠かせないが、その上に推論を管理する層が加わることで、対話の質が根本から変わるということ。
コピペの公式がSkillへと姿を変え、使い込むほど対話の精度が増す土台が生まれました。
エージェントツールの時代が、この層を手の届く場所に連れてきたのです。
AIとの対話は「やり取り」から「設計」に変わりました。
Skillとして動き始めた今も、その探究は終わっておらず、使うたびに新しい気づきが生まれています。
今後のnote記事では、このSkillの具体的な中身と使い方もお届けしていく予定です。
進化を続けるSIFスキルを皆さんと共有し、「シゴデキAI」との対話の価値を広めたい!
そんな思いで準備中なので、ぜひご期待ください😇
※ 2026/7/5追記:
以下の記事で公開しました!
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