川の上の風に救われて。メダルの先に見つけた、私の楽しみ方。
朝の一杯のコーヒーを飲み干し、急いで準備を整える。
今朝は、久しぶりに参加するドラゴンボートのトレーニング。寝過ごすことなく、この静かな早朝の空気に間に合ってよかった。
2023年。
初心者の私を快く受け入れてくれたチームは、強くてパワフルで、温かな場所でした。
ベテランばかりのメンバーは新人の私に手取り足取り、細かく指導してくれた。そのおかげで、国際大会を含め金・銀・銅、すべてのカラーのメダルを手にすることができたのです。
昨年までは、メダルを取ることに必死でした。
欠かさず練習に励み、自分を追い込む日々。
でも、今年は少しだけ「目的」を変えることにしました。
レースに勝つことよりも、「スポーツそのものを楽しむこと」へ。
正直に言えば、少しだけ燃え尽きてしまった部分もあるのかもしれません。
けれど、今はただシンプルに、自分のペースでボートと向き合いたい。そんな気持ちです。
思い返せば、私はこのスポーツに救われました。
2022年から2023年にかけて続いた、とても苦しくて、悲しい出来事。
淡々と雑事をこなし、一人で立ち向かわなければならなかったあの孤独な時間。
そんな時、同僚が気分転換に誘ってくれたのがドラゴンボートでした。
わずか2時間のトライアルで、止まっていた私の心が、跳ねるように弾んだのを覚えています。その日のうちに用具を一式揃えることを決断し、それからは夢中になりました。
久しぶりの参加にもかかわらず、チームの皆さんは本当に温かく迎えてくれました。
「勝たなきゃ」という気負いを手放し、今の自分ができる精一杯で挑んだトレーニング。
ドラゴンボートの練習は、いつもベーシックな動きから始まります。
繰り返すうちに、体が覚えている「マッスルメモリー」が少しずつ呼び起こされ、皆の動きと掛け声に合わせて全身が躍動し始めます。
ただ力任せに漕ぐだけではない。そこがこの競技の、奥深く、抗いがたい魅力です。
フォーム一つとっても、一朝一夕に身につくものではありません。
周りからのアドバイスを素直に受け入れ、ミリ単位で修正を繰り返していく。そんな「自分を整えるプロセス」があるからこそ、仲間との練習を心から楽しめるのだと感じます。
ドラゴンボートは、一人だけが強くても成り立ちません。
12名、あるいは22名のクルーが、ドラムの音とペーサーの動きに合わせ、呼吸を一つにする。
タイミングとスピードが完璧に揃った瞬間、ボートはまるで魔法にかかったように滑らかに、力強く進み始めます。
個人の力を超えた、大きな一体感。
その流れに乗ったとき、言葉にできないほどの高揚感がこみ上げてきます。
今年は、レースの結果に執着するのではなく、このスポーツそのものを純粋に楽しむ。
そう決めて臨んだ今日の練習では、今まであまり気にかけていなかった「水の音」「向かってくる風」や「仲間の笑顔」が、より鮮やかに見えた気がします。
太陽の下で過ごした、心洗われる2時間。
心地よい汗とともに、新しい自分に出会えたような、そんな清々しい感覚。
心強い仲間と、美しい水面。
最高の週末が、ここから始まります。
