遊ぶようにはたらく、前例をつくる、予期せぬことを提供する【本:ニューエリート 世界を変える新しい価値を生み出す人たち】
産業革命に匹敵する変化の時代─これからの「働く」のかたち
私たちは今、産業革命に匹敵するほどの大きな変化の時代を生きている。
これからの働き方の中心となるのは、「ゼロから新しい価値を生み出す人々」が活躍するクリエイティブエコノミーの時代だ。そこでは、単なる勤勉さや知識量だけではなく、情熱・創造性・率先力が求められる。
働き方の変化を整理すると、次のようになる。
Work 1.0(生産経済):勤勉さ・服従
Work 2.0(ナレッジエコノミー):知能・専門性
Work 3.0(クリエイティブエコノミー):情熱・創造性・率先力
これからは、官僚であれ会社員であれ、誰もが「起業家精神」を持つことが必要になる。与えられた役割をこなすだけではなく、自ら問いを立て、価値を生み出す姿勢が求められる時代だ。
そして、「どこに所属するか」よりも、「自分が何を実現したいか」が先に来る世界になる。自分がやりたいことによって、働く場所や所属を決める時代だ。
たとえば、エストニアでは、行政と民間のデジタル化が進み、オンライン申請だけで外国人でもバーチャル居住者となり、会社設立や各種手続きを進めることができる。国家のあり方そのものが変化している。
時代をリードする人材とは、「自分が見たい世界」を自ら作る人だ。たとえば、Google Arts & Culture は、社員が業務時間の一部を自由なプロジェクトに使える「20%ルール」の文化から生まれた発想の延長線上にある。
日本という土壌と、自己実現としての仕事
日本は先進国であり、文化活動を収入に変えうる市場が存在する国でもある。
必ずしも生産者や職人でなくても、歌舞伎や着物を評論し、文化を伝えることを仕事にしている人がいる。文化に関わる仕事には、人の心や魂に働きかけ、「感動」を生み出す力がある。
もしかすると、日本社会は本来、生活の中で自己実現をしやすい文化を持っていたのかもしれない。それが、大企業中心のキャリア観の中で一時的に見えづらくなっていただけではないだろうか。
これからの日本は、再び「生活の中で自己実現を追求する社会」に向かっていくように思える。
その意味で、理想の仕事とは、
・自己実現の要素を感じられる
・アウトプットに誇りが持てる
・プロセスそのものを楽しめる
仕事なのではないか。
究極的には、お金を得るか否かにかかわらず、「世界に価値を提供する行為」はすべて仕事だ。自分の提供した価値が誰かに受け入れられ、感謝されることは、自己実現につながる。
価値を生み出す人の共通点
これから価値を持つ人とは、次のような人だ。
・大きな問題を解決できる人
・コミュニティを作れる人
・社会に価値を提供している人
・多くの共感者や支持者を持つ人
大切なのは、「もらう価値」よりも「与える価値」を大きくしたいと願う姿勢だ。
たった一冊の本が、一人の人生を変えることがある。だからこそ、知識や経験を独占せず、シェアしていく姿勢が重要になる。
人から学ぶとき、単なる雑談ではなく、インタビューのように深く問いを立てる。
「なぜその仕事を始めたのか」「子どもの頃の体験」「価値観」「挫折」「ミッション」—人生を形作る背景を掘り下げていく。
成功者と会うときは、「何をしたか」だけではなく、「なぜその決断をしたのか」「なぜ失敗したのか」まで聞く。
そして、学び続ける人には共通点がある。
・自分と会うことが相手の学びになるよう努力する
・学んだことを抱え込まず共有する
・人をつなぐ側にも回る
世界の問題解決が、次の経済をつくる
これからは、国家だけでなく、民間企業が世界の課題を解決する時代になる。
たとえば、SpaceX は、かつて国家主導だった宇宙開発を大きく変えた。2006年以降、NASAと協力関係を築きながら、再利用ロケットを実現し、打ち上げコストを劇的に削減した。
重要なのは、単に技術力ではなく、圧倒的な意思決定スピードである。
世界の課題解決が、人類の進歩を牽引する時代が始まっている。
直感を磨き、自分の価値観で決める
人生の重要な決断は、論理だけでは決められない。
恋愛でも、仕事でも、「分析したから好きになる」ことは少ない。本当に自分に合う選択は、直感が教えてくれることがある。
ただし、最終決断は「落ち着いた状態」で行うべきだ。ストレスや疲労の中での決断は、往々にして判断を誤る。
直感の精度を高めるには、小さな失敗を積み重ねること。そして日常に刺激を増やすこと。
たとえば、
・洋書を置いてみる
・絵を飾る
・新しい場所へ行く
そうした小さな変化が、自分の感性を育てる。
「楽しんで働いた人が勝つ」時代へ
これからの仕事では、「能力を活かしている実感」が重要になる。
副業や趣味、表現活動など、本業以外の場で成果を出すことが、本業にも自信をもたらす。
仕事と趣味を切り分けるのではなく、横断しながら価値を作る人が強い。
趣味をビジネスに還元し、ビジネスで得た学びを趣味へ還元する。
「真剣に遊ぶ人」が、結果的に仕事でも淘汰されにくくなる時代だ。
リーダーシップとチームの未来
本物のリーダーシップとは、威圧や管理ではなく、相手が心地よく働けるように気配りし、力を引き出すことだ。
質の高い雑談は、質の高い問いから生まれる。そして自己開示が、チームの信頼関係をつくる。
人が幸せに働くためには、次のプロセスが必要になる。
1.自己認識
2.自己開示
3.自己表現
4.自己実現
5.自己効力感
企業もまた、「会社のために従業員がいる」のではなく、「従業員の自己実現のために会社がある」という発想へ転換していく必要がある。
2050年の世界を構想するために
最後に、自分自身へ問いかけたい。
1.あなたの情熱(Passion)は何か
2.あなたが見たい世界(Vision)は何か
3.あなたの使命(Mission)は何か
4.あなたの野望(Ambition)は何か
5.あなたを支える人(Supporter)は誰か
そして、
・自分は仕事を通じて何を得たいのか
・なぜそれが重要なのか
・自分にとって「良い仕事」とは何か
・なぜ今の仕事を選んだのか
・自分の強みは何か
・周囲はどう支援できるのか
を問い直すこと。
過去を振り返らずして、未来は見えない。日々何を感じ、何を学んだかを整理しながら、自分が本当に見たい未来を描いていく必要がある。
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