集客における非効率とは何か?
前回は、
非効率に見える時間の中でしか、
育たないものがある。
という話をしました。
うまくいかない経験。
試行錯誤した経験。
小さな違和感に気づいた経験。
その時は遠回りに見えても、
あとから振り返ると、
修正する力や、応用する力として、
効いてくることがあります。
前回の記事はこちら▼▼
今回は、
“集客における非効率”とは何か?
このあたりを、一緒に考えてみましょう。
1章:反響が取れない理由
今ほど、AIが普及していなかった頃。
チラシを使って、集客をしてみよう。
そう考えたとします。
でも、
何を書けばいいのか分からない。
誰に向けて書けばいいのか分からない。
何を伝えれば、
反応につながるのか分からない。
そこで、
チラシを作ってくれる会社に相談します。
すると、
「御社の強みは何ですか?」
「ターゲットはどんな人ですか?」
「他社との違いは何ですか?」
と聞かれる。
でも、
急に聞かれても、
なかなか答えられません。
強みと言われても、
自分では当たり前にやっていることだったりする。
ターゲットと言われても、
そこまで細かく考えたことがなかったりする。
他社との違いと言われても、
正直よく分からない。
すると、頭に浮かぶのは、
「同業者のチラシを参考にして、
いい感じに作れないかな?」
ということです。
その旨を伝えると、
制作会社の担当者は、
「大丈夫です。お任せください」
と答えます。
そして担当者がやることは、
同業他社のチラシをネットで検索することです。
似たような業種。
似たようなサービス。
似たような価格帯。
似たようなキャッチコピー。
そうしたものを参考にしながら、
チラシを作っていく。
その結果、
“見栄えの良いチラシ”はできます。
色もきれい。
写真も入っている。
文章も整っている。
パッと見た感じは、ちゃんとしている。
でも、
見栄えが良いことと、
“心が動く”ことは別です。
誰に向けたチラシなのか。
どんな不安を持っている人に届けるのか。
なぜ今、相談した方がいいのか。
他ではなく、
なぜあなたを選ぶ理由があるのか。
ここが曖昧なままだと、
見栄えだけは良いけれど、
心が動かないチラシになってしまうことがあります。
また、
もう一つのパターンもあります。
その担当者が、
DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)を、
座学で学んでいたとします。
簡単に言えば、
広告を見た人に、すぐ反応してもらうための考え方です。
すると、
限定。
今だけ。
キャンペーン中。
無料。
今のままではこうなるかも……
今すぐお問い合わせください。
こうした言葉を並べた、
煽り中心の売り込みチラシになることもあります。
もちろん、
DRMそのものが悪いわけではありません。
ただ、
あなたと担当者の間で、
誰に届けるのか。
何を強みとして伝えるのか。
ここが共有できていないまま、
反応を取る言葉だけを並べると、
売るための言葉だけが、前に出てしまいます。
では、
そのチラシを見たお客さんは、どう感じるでしょうか。
「ああ、売り込みチラシね」
「なんか、必死さが伝わってきて安心できない」
そう感じて、中身に目を通す前に、
読むのをやめてしまうことがあります。
このように、
見栄えだけは良いけれど、
心が動かないチラシ。
または、
煽り中心の売り込みチラシ。
このどちらかに寄りやすくなります。
そして、
思っていたような反響が取れない。
すると、
「チラシなんて意味がない」
「費用対効果が悪すぎる」
となってしまう。
でも本当は、
チラシという“手段”が悪かったのではなく、
最初に考えるべきことを飛ばしたまま、
効率を優先してしまったこと。
分からないまま、
形にすることを急いでしまったこと。
そこに、
大きな原因があったのではないでしょうか。

2章:AIでも、構造は同じ
そして今は、AIがあります。
文章も作れる。
キャッチコピーも作れる。
画像も作れる
チラシの構成も考えられる。
作ることのハードルは、
かなり下がりました。
でも、構造は同じです。
誰に届けるのか。
何を強みとして伝えるのか。
どんな不安や迷いに寄り添うのか。
ここが曖昧なまま、
「いい感じに作って」
「反応が取れそうにして」
「プロっぽくまとめて」
と指示すれば、
それっぽい文章はできます。
見栄えの良いチラシ案もできます。
でも、
お客さんの心が動くかどうかは、
別の話です。
以前は
分からないまま制作会社に任せていた。
今は、
分からないままAIに任せることができる。
手段は変わりました。
しかし、
まず、最初に考えるべきことは、
今も変わっていません。
3章:便利なものほど、当たり前になる
次に考えたいのが、
プロンプトやGPTsのことです。
最近では、
「キーワードを入れるだけで文章が作れます」
「これさえあれば、プロ並みの文章が作れます」
「反応の取れるチラシが簡単に作れます」
「売れる投稿文がすぐに作れます」
こうしたプロンプトやGPTsを
販売している人も増えてきました。
もちろん、
それ自体が悪いわけではありません。
仮に、
本当に素晴らしい商品だったとします。
使えば、
今までより早く文章が作れる。
チラシの構成も考えやすくなる。
投稿文も作りやすくなる。
最初に使った人には、
先行者利益もあるかもしれません。
でも、
本当に良いものなら、
今の時代、
あっという間に広がります。
便利なものほど、
すぐに知られる。
使いやすいものほど、
多くの人が使うようになる。
多くの人が使えば、
それを使えること自体は、
特別な強みではなくなります。
だからこそ、大事なのは、
AIに何を作らせるかだけではありません。
AIに何を相談するか。
ここが、大事になってきます。

4章:AIとすべきこと
では、
AIと最初に何をすればいいのか。
いきなり、
「反応の取れるチラシを作ってください」
「売れる文章を作ってください」
と指示を出すのではなく、
まずは、
自分の商売について相談してみることです。
たとえば、
1章で出てきた質問です。
「自分の強みは何ですか?」
「ターゲットはどんな人ですか?」
「他社との違いは何ですか?」
以前は、制作会社の担当者からこう聞かれても、
急には答えられなかったかもしれません。
でも今は、AIと一緒に考えることができます。
ただし、
この質問をそのままAIに投げるだけでは、
少し弱いです。
AIは、
あなたの商売を最初から知っているわけではありません。
だから、
材料を渡す必要があります。
過去に喜ばれたこと。
お客さんからよく相談されること。
なぜか選ばれている理由。
断られた理由。
競合と比べられた経験。
自分では当たり前にやっているけれど、
お客さんから感謝されたこと。
こうした材料を出しながら、AIに相談していく。
たとえば、
「私は〇〇業をしています。過去のお客さんからは、こういう点を喜ばれました。この中から、強みになりそうなものを整理してください」
と聞いてみる。
または、
「〇〇で悩んでいるお客さんに向けて、どんな不安や迷いがあるかを整理してください」
と聞いてみる。
さらに、
「同じ地域で同業他社が多い中で、どんな切り口なら伝わりやすいかを
一緒に考えてください」
と相談してみる。
また、実際に調べた同業者の情報をもとに、
「それぞれの会社の強みやコンセプトを整理してください」
と聞いてみるのもいいと思います。
このように使うと、
AIは文章を作る道具だけではなく、
自分の考えを整理する相手になります。
マーケティングにおいて、リサーチが大事なのは、
今も昔も変わりません。
自分がいるマーケット。
これから始めようとしている市場の流れ。
すでに発信している人の方向性。
その人たちの構成や、話す順番。
その中で、
自分は何を伝えるのか。
こうしたことを整理せずに、
いきなり文章だけを作っても、
自分の商売に合った言葉には、
なかなか近づきません。
リサーチを制したものが、市場を制す。
そう言っても、言い過ぎではないかもしれません。
とはいえ、
リサーチは面倒です。
時間もかかります。
何を見ればいいのかも、分かりにくい。
だからこそ、AIを使う価値があります。
AIは、考えることを飛ばすための道具ではありません。
考える前の材料を集めたり、
整理したりするための道具としても使えます。
ただ早く文章を作るために使うのか。
それとも、
自分の商売を深く考えるために使うのか。
同じAIを使っていても、この違いは大きいです。

5章:商売はナンパである
ナンパ。
漢字で書くと「軟派」。
人によっては、
どうしても軽いイメージを持つかもしれません。
しかし本質は、
商売と驚くほど似ています。
ここで言いたいのは、
軽いノリで声をかける。という意味ではありません。
相手を見る。
空気を読む。
タイミングを見る。
声のかけ方を考える。
反応を見て、次の言葉を変える。
この構造が、
商売と、とてもよく似ています
ここまで、
AIと一緒に整理することの大切さを
話してきました。
自分の強み。
届けたい相手。
お客さんの不安。
伝えるべき言葉。
AIと一緒に整理することで、かなり見えやすくなります。
でも、
ここまで整理したことは、あくまで仮説です。
それが本当に相手に刺さるかどうかは、
実際に出してみないと分かりません。
ナンパでも、
頭の中で考えた言葉が、
必ず相手に刺さるとは限りません。
一番大事なのは、
どんな言葉をかければ、
相手の反応が変わるのか。
同じ言葉でも、
相手の状況によって反応は変わります。
忙しそうな人。
少し余裕がありそうな人。
警戒している人。
興味はありそうだけれど、まだ迷っている人。
相手の状態によって、
届きやすい言葉は変わります。
これは、
センスだけの話ではありません。
もちろん、最初から勘が良い人もいます。
でも実際には、
どれだけ声をかけたか。
どれだけ断られたか。
どれだけ言葉を変えて試したか。
こうした経験や数が、かなり大きく影響します。
30年ほど前の話です。
私の中で、ナンパスポットとして
反応が良かった場所がありました。
銀座のソニービル前。
横浜の山下公園。
ちなみに
場所そのものが良かったというより、
そこにいる人の状況が、
分かりやすかったのです。
銀座であれば、
少し贅沢なお店を予約して、
食事をしたあと。
「このあと、どうしようか」
と友達同士で相談している人たちがいました。
今ほど情報が多くなかった時代です。
どこに行けばいいのか分からない。
銀座のお店は、
どこも少し敷居が高そうに見える。
そんな空気感がありました。
山下公園であれば、
隣接している中華街で買った“中華まん”を、
公園のベンチで食べている人。
そういう人は、
かなりの確率で、地方からの旅行客でした。
つまり、
見ていたのは場所ではありません。
その人が、
今どんな状況にいるのか。
何を求めているのか。
どんな言葉なら、
反応してくれそうなのか。
そこを見ていたのです。

これは、
商売でも同じです。
その場所には、
どんな人が集まっているのか。
その場所にいる人は、
どんなことを考えているのか。
どんな助けを求めているのか。
そして、
どうすれば役に立てるのか。
ここを見ることが大事です。
分かりやすい例で言えば、
街中で、「この人、道に迷っていそうだな」
と感じることがありますよね。
実際、
私もポスティング中に地図を見ながら、
どういったルートだと効率が良いかを考えている時に、
「あの、どちらの家をお探しですか?」
と親切心で声をかけられることがあります。
そんな時は、満面の笑みで、
「ありがとうございます!」と感謝を伝えます。
その後、事情を説明して、チラシを手渡しする。
こういった時は、
チラシに対する質問が出てくることも多いです。
少なくとも、
こちらに好意的に接してくれた人です。
そこから、
仲良くなれるきっかけになることもあります。
もしあなたの心に、少し余裕がある時は、
「何かお困りですか?」
と積極的に声をかけてみてください。
「May I help you?」
この精神は、商売の基本です。
相手を慮れる人は、商売では最強です。
そして、
相手を慮る力は、
“声をかけた数”によって
少しずつ磨かれていきます。
さらに、
その場でアイデアや、
大きなヒントが得られるかもしれません。
まとめ
今回は、集客における非効率とは何か?
ということを考えてきました。
AIを使えば、
文章を作ることは簡単になりました。
でも、
誰に届けるのか。
何を強みとして伝えるのか。
どんな不安や迷いに寄り添うのか。
ここを飛ばしたままでは、
お客さんの心が動く言葉には、
なかなか近づきません。
一見すると非効率に見える、
考える時間。
リサーチする時間。
こうした時間の中にこそ、
集客に必要な要素が詰まっています。
AIは、
その時間をなくすための道具ではなく、
考えるための材料を整理する道具としても使えます。
そして、
整理したことは、あくまで仮説です。
本当に届くかどうかは、
実際に出してみないと分かりません。
相手を観察する時間。
実際に声をかけて、反応を見る時間。
こうした時間も、とても大切です。
だからこそ、商売には、
考える時間と、
試してみる時間の両方が必要です。
次回は、
この仮説をどう試し、どう検証していくのか。
一緒に考えてみましょう。
続きを読む▼▼

