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バルセロナの地下鉄で男に取り囲まれた話

「47日間ヨーロッパをひとり旅した」と人に話すと、よく聞かれる質問のひとつが「怖い思いをしなかった?」。

振り返って「あれは怖かったな」と思い出すのは、バルセロナの地下鉄だ。


外国のメトロって、広告を見るのも面白い

コルドバからのAVEで、バルセロナサンツ駅に到着したのが午後2時半頃。
地下鉄に乗り換えてホテルに行こうとしていた。

この時はまだ呑気に写真を撮っていた…



背中には、60リットルのバックパックを担いでいる。
▼これに加えて、身体の前側には30リットルのリュックを抱えていた。

モン・サン・ミシェルのホテルにて

メトロに乗り込むと、私の後ろでドアが閉まった。

なんだか混んでいるな。

そう思ったのは、至近距離に複数の男性がいたからだ。
みんな黒い服を着ている。
東京の地下鉄でも、普通にこのくらいは混むので、混雑には慣れている。

が、次の瞬間、私の頭の中で警報が鳴りだした。

「なんか変だぞ」

左手にいる男のロングジャケットが、私のリュックの上にかぶさっている。
男たちは、揃って私の顔をじっと見ている。

やっぱり、この近さは異常だ。

そう感じた私は、身体をもぞもぞと動かした。
でも、取り囲まれていて抜け出せない。

もがきながら、右側にいた男と目が合い、にらみ返す。

ほんの数秒後、その右側の男が道を開けるように体を斜めにし、手を広げて「どうぞ」という仕草をした。

私は、逃げるように車内の奥に進んだ。

それだけのことなのだが、心臓は激しく打っていた。

気付くとリュックのジッパーが開いている。
男がジャケットをかぶせてきたところだ。

閉めてあったはずなのに。

そのポケットにはティッシュなどすぐに取り出したいものを入れていて、貴重品は入れていなかった。
モノがなくなった形跡はない。
それでも、私の本能が「危険!危険!」と騒いでいた。

あの時感じたのは、怖いというより「逃げろ」だった。
怖さはあとからじわじわ襲ってきた。

ホテルに着いてからもずっと怖くて、そのあとに行く予定だったジュネーブやベルンも行くのをやめようかと思ってしまった(とノートに書いてある。スペインとスイスは全く別なのに。そうとう動揺したようだ)。

今回の旅では、どうしても見たいと思っていたサグラダ・ファミリア。
部屋から見えるホテルを予約していた。

私にはちょっと身分不相応と思うその4つ星ホテルの部屋にバックパックを下ろしても、怖さと不安は消えなかった。

この旅で「行きたいところリスト」トップ3にあるほど楽しみにしていた街なのに。
地下鉄での出来事の後、私はすっかり委縮してしまった。
観光に出かける気持ちも揺らいでしまっている。

とはいえ部屋にこもっているわけにもいかない。

そこで、どうしたら安心して街を見て回れるかネットで調べた。その結果、急遽ツーリストバスを使うことにした。

バルセロナには、ホップオン・ホップオフバスが2種類ある。
街の観光名所を巡るルート上に停留所があり、好きなところで乗ったり降りたりして観光できるバスだ。
私は、バルセロナ・シティツアー・バスの方を選び、オンラインでチケットを購入した。48時間有効で39.60€(カード明細上6632円。今考えるとちょっと高いけれど…。バルセロナの観光スポットはどこも高かった)。

ツーリストバスなら、乗客はみんな観光客だ。スリはいない(はず)。

イヤホンも付いてきた

思いがけないメリットとして、オーディオガイドがあった。しかも日本語も選べる。

国旗で選んで言語を設定する

無料Wi-Fiも使える。
のんびりバスに揺られながら、日本語ガイドを聴き、街のことを知ることができた。

例えば、ガウディの最期について。
サグラダ・ファミリアの建築に没頭するあまり、晩年のガウディは身なりに構わなくなっていたという。
路面電車に轢かれた時、浮浪者のような身なりだったこともあって、治療が遅れ、数日後に命を落とした…というようなエピソードを音声ガイドで聴いた。

2階建てバス

バスは、行くつもりのなかったスタジアム、カンプ・ノウやモンジュイックの丘も回った。
主要な名所を回ってくれるツーリストバスは、かなりありがたかった。

バス停もわかりやすい
乗っていれば観光名所に連れて行ってくれて楽ちん

すっかりメトロ恐怖症になってしまった私は、バルセロナから次の目的地ジュネーブに向かう朝は、タクシーを使った。
朝のラッシュに当たる時間帯だったせいもある(バルセロナに通勤ラッシュがあるかどうかはわからないが)。
前の晩にホテルのフロントに頼み、翌朝、タクシーが迎えに来るようにしてもらった。

この旅の間、タクシーに乗ったのはこの時のみ。
タクシー代は19.70€で、思ったより高かった。
でも、再びバックパックを背負って、バルセロナのメトロに乗る勇気は、その時の私にはなかった。


そんなわけで、「バルセロナのメトロ、怖い」が、私の頭に刷り込まれてしまったが、
逆に言えば、47日間もひとり旅をして、一番怖い思いをしたのがそれだったというのは、ラッキーだったのかもしれない。
実害はなかったわけだし。

女性のひとり旅ということで、かなり慎重に旅をしていたおかげもあると思う。
私が旅の間に気をつけていたことは、以下の記事にまとめているので、参考にしていただければ嬉しい。

※2025年の47日間ヨーロッパひとり旅のエピソードはこちら▼のマガジンにまとめています。


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