【第十八回】「はじめまして、わが子」──育児教育入院で始まった3人の生活
入院の日は、思っていたよりも、あっという間にやってきました。
まずは私が先に赤ちゃんと入院し、
沐浴や授乳など、基本的な育児の手技を看護師さんから教わります。
そして翌日からは、特別に夫も一緒に入院。
3日目には、晴れて3人で退院──そうやって私たちの生活が始まる、という流れでした。
🍜 ふたりきりの最後のラーメン
入院当日。午後一番で病院に向かう予定だった私は、
午前中に何度も荷物の確認をして、仕事を抜けて帰ってくる夫を待ちました。
そして、夫婦ふたりで近所のラーメン屋へ。
「しばらく来られなくなるね」
そう言いながら、静かに、でもしみじみとラーメンをすすりました。
ふたりだけの時間が、長かった私たち。
数えてみれば、もう十数年、ずっとふたりでした。
「あと1時間もすれば、私たちは3人家族になるんだ」
そう思いながら食べたラーメンの味は、
きっと一生、忘れないと思います。
🤱「わが子」と初めて呼べた日
病院に到着すると、病棟で担当の看護師さんが迎えてくれました。
案内されたのは、数日前に初めて赤ちゃんに会った、あの病室。
そして、間もなくやってきたベビーベッドには──
私の名前が書かれたネームプレート
「実母さんの名」ではなく、初めて「私の名」で呼ばれたこの子。
「ああ、この子は今、“わが子”なんだ」
そう実感した瞬間、言葉にできない想いがあふれてきました。
たった数日会っていなかっただけなのに、
顔つきが少し変わっていて──
赤ちゃんって、こんなにも日々変化するものなんだと驚きました。
夫と3人で少しの時間を過ごし、夫は仕事へ戻っていきました。
🌙 初めての夜──泣いて泣いて、泣きながら抱いた
初めてふたりきりで過ごす夜。
赤ちゃんも、私も、慣れない場所。
そのせいか、夜泣きがひどく、ほとんど一晩中あやし続けました。
眠れないまま、白んでいく空を見ながら、
「大変だけど、幸せだな」
そう思ったり、
「こんなに大変なんだな」
と実感したり──いろんな気持ちが交錯していました。
看護師さんたちは優しくて、
「よかったら預かりますよ」
と声をかけてくださったのですが、初日くらい頑張らなきゃ、と笑顔でお断りしました。
💤 やっと眠れた、3時間のごほうび
明け方、赤ちゃんの健康状態の確認のために一時預けることに。
その間、私は短い時間だけど、深く眠ったようでした。
戻ってきた看護師さんがこう言ってくれました。
「細切れでも寝られてえらいですね」
“眠れた”ことを褒められるという、ちょっと不思議な体験。
でも、これが子育てなんだなぁと、静かに心に刻みました。
👨👩👦 そして、3人での入院が始まる
翌日には夫も合流し、3人での入院が始まりました。
夫はとにかく協力的で、私の疲れを感じ取って本当によく動いてくれました。
初日のような夜泣きはまったくなくて──
「もしかしたら、私の緊張が赤ちゃんにも伝わっていたのかも」
と少し反省もしました。
📝 退院と、新しい家族の始まり
その日の昼には、児相の担当職員さん2名と、フォスタリングのOさんの3名が病室に来てくださいました。
退院の手続きとともに、母子手帳と出生届を受け取りました。
母子手帳の表紙や、処方された薬の袋に記された「本当の苗字」。
それを見るたびに、私は心の中で何度も言葉を繰り返しました。
「お預かりします。きちんと育てますから」
こうして、私たちは「親」としての最初の一歩を踏み出しました。
次回は、退院後の暮らしや、各種届出のことについて記録します。
