「ソーセージ製造機」(B・ラッセル「幸福論」より)[和訳および英語原文で引用]
先日、Noteのクリエーターの方が、
「100分de名著」を取り上げた英文記事を
読みました。この番組は、分かりやすく
名著を紹介していて好きな番組です。
過去に番組でバートランド・ラッセル
「幸福論」を扱ったことがありました。
強く印象に残った箇所を、日本語訳と英
語原文両方で、引用してみます。
ラッセルには珍しく、「妄想」(空想)が膨
らんでいて面白いと思います。
[ Chapter 11 Zest ]
(11章 熱意)
むかし昔、あるところに2つのソーセー
ジを作る機械があった。
それは豚を最もおいしいソーセージに一
変させる目的のために上手に作られた機
械であった。
一方の機械は豚に対する彼の熱意をいつ
も持ちつづけていた、そして次から次と
無数にソーセージを作り出していった。
ところが、もう1つのほうの機械はこう
言うのだ、「自分にとって豚のごときは何
ものであろうか? 私自身の働きはいか
なる豚よりもはるかに興味深く、はるか
にすばらしいとのなのだ」。
そこで彼は豚を拒絶した、そして彼の内
部の研究に着手した。だが、その本来の
食物がなくなるとともに、この機械の内
部は働くことをやめてしまった。
そして彼がその内部を研究すればするほ
ど、いよいよますます彼にとってその内
部なるものが空虚でかつバカらしいもの
に映じてきた。
いままで素敵にうまいものを豚から作り
出していた彼の精妙な機構はいまやピタ
リと止まってしまい、いったい自分には
何ができるのかということを考えて、彼
はハタと途方に暮れてしまった。
(掘秀彦訳、ラッセル「幸福論」角川ソフィア文庫、pp214-215)
*人それぞれに役割があり、それを忘れて
「自分探し」をしても虚しいだけだ、と
いうことでしょうか?
人間の場合は、はっきりとした役割が予
め決まってはいないので、厄介なのです
が。。。
次に同じ箇所の英文です。
There were once upon a time two
sausage machines, exquisitely
constructed for the purpose of
turning pig into the most delicious
sausages. One of these retained
his zest for pig and produced
sausages innumerable, the other
said: " What is pig to me ? My own
works are far more interesting and
wonderful than any pig."
He refused pig and set to work to
study his inside. When bereft of its
natural food, his inside ceased to
function, and the more he studied it,
the more empty and foolish it seemed
to him to be. All the exquisite
apparatus by which the delicious
transformation had hitherto been
made stood still, and he was at a loss
to guess what it was capable of doing.
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