誤解されるアダム・スミス
先日、Tomoko Tadanoさんのアダム・スミスに関する記事を拝読しました。
スミスの思想が、非常にコンパクトかつ正確にまとめられていて、感銘を受けました。
ぜひ一読していただければ、と思っています。
この記事では、私が思ったことを書きます。
https://note.com/tomokomaekawa/n/na69605831aeb
たとえば、科学に関するエッセイを読んでいるとします。そして、もしその中に、「メンデルが唱えた進化論は…」なんていう記述があったら、違和感を持つはずです。
言うまでもなく、進化論はメンデルではなく、ダーウィンが唱えた学説ですよね?
どんなに内容的に優れたエッセイだったとしても、メンデルとダーウィンを取り違えていたら、信用できないでしょう。
しかしながら、アダム・スミスに関していえば、「メンデルが唱えた進化論は…」的な誤解をしているエッセイや論説があとをたちません。
たとえば、アダム・スミスが「自由放任主義」と唱えたとか、市場を万能なメカニズムと考えて「レッセ・フェール」(なすに任せよ)と唱えたという記述は、わりと多く見かけます。
アダムスミスは、重商主義を痛烈に批判しました。「レッセフェール」を唱えた重農主義も批判していました。
国富論は自由放任主義を主張したものではありません。また、急進的な主張をしているわけではなく、配慮に配慮を重ねた深い考察がなされています。
アダムスミスは教科書的には、師・ハチソンの流れをくむスコットランド啓蒙学派に属する道徳哲学者です。国富論は、道徳哲学の中における経済的なテーマを中心にすえた著書だと言えます。
アダムスミスの著書として、最も有名なのは「国富論」ですが、スミス自身はおそらく自身の主著は、「道徳感情論」だと考えていたと思われます。というのは、「道徳感情論」を、その生涯に渡って、何度も書き改めていることからも推察できます。
スミスは、個人の利益追求が社会全体の利益になることを述べましたが、その根幹にあるのは「共感の原理」です。人々の共感を得られないないような身勝手な利益追求を是とする考え方を持っていたわけではありません。
国富論も道徳感情論も分厚い著作ですが、スミスに対する誤解を解くには、次の本を読んでみると良いと思います。
堂目卓生(著)「アダムスミス」(中公新書)
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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします