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【作品解説】本荘早紀 個展「まだ、シールのあとが残ってる。」


本荘早紀 個展「まだ、シールのあとが残ってる。」を、2026年7月22日(水) – 8月2日(日)の期間にピカレスクギャラリーで開催いたします。

今回は、本荘早紀さんへ出展作品10点についてお聞きしました。
ぜひお楽しみください。


自己紹介をお願いします

大阪在住の美術作家です。
幼い頃の繊細な記憶や言葉になる前の感情を、粘土や布、ヴィンテージビーズなど様々な素材でかたちにしています。幼い子どもにとって自分の分身であるぬいぐるみを中心に、おもちゃや、お菓子の包紙などを主なモチーフに描いています。
最近は扱うビーズやリボンなどが多くなり、アトリエが宝箱のようになってきました。

今回の展示のコンセプトについて教えてください。

子どもの頃、シールは特別な存在でした。 お気に入りのものに貼る時間は、宝物を増やしていくような喜びがありました。 その楽しい時間をまずは表現したいというのがあります。 一方で、成長や学びによって、貼ったものをはがしたくなる日が来ます。けれど、その粘着の痕は簡単には消えず、黒ずんで残り続けます。 人生にもそんな、はがしても消えない痕があるように思います。 それは時間が経っても完全には消えてくれません。 けれど、消したいと思っていた痕も、振り返れば今の自分を形づくる大切な一部だったのかもしれない。 そう思えたとき、その痕は、自分という唯一無二の存在を作り上げる、美しい要素なのではないかと思います。 それが今回のテーマです。

ご出展いただく作品のコンセプトを教えていただけますか?

大きくなったら

画面の中の楕円は、シールを剥がした痕をイメージしています。
不自然についた痕が、作品をより美しく、面白く見せてくれるように意識しました。
また、フレームの右上開いた部分は、まだ幼い感情が、外の世界と触れ合う部分です。
今回の個展の作品では、こういった形で不安定な感覚を表現している作品がいくつもございます。

seed Ⅰ

娘が幼い時、植木鉢の絵を描こうとして「おかあさん、目に見えないものを描いてもいいの?」と尋ねてきたことがありました。私がうなずくと、娘は以前そこに埋めたタネを植木鉢に7個描きました。私は、ここにタネが眠っているんだと想像した娘に人間の力強さのようなものを感じました。そのことがずっと心に残っていて、いつかこのシリーズを描きたいと思っていました。

seed Ⅱ

seedのシリーズです。
美しい花になる前に、まずはしっかりと土の中で養分を吸い取り成長する植物を、娘との会話から、幼い感情に置き換えて表現しました。
また、土の中は見えませんが、暖かく、優しく、楽しい世界であってほしいという願いも込めています。子どもたちはまずはここを居場所とし、新しい世界へ旅立ちます。

次のあそびを考えよう

お気に入りのものに囲まれて、幸せな時間を表現しています。幼い感情である作品中心部分を、フレーム部分の妄想が守っています。そこでは、その無意識の中で作り込まれた妄想が、ぐるぐると溢れるように広がる様子を描きました。
この作品は、今回の展示で初めてのお披露目となる石塑粘土を使用しています。色がとても鮮やかに表現できる素材ですので、その瑞々しい色彩や、陶土とはまた一味違う質感を楽しんでいただけたら嬉しいです。

これ、あげる

こちらの作品も、石塑粘土で制作しています。そして、両作品ともに真鍮箔を使っているところも特徴です。この真鍮箔は今は金色に光り輝いていますが、時間の経過とともに色が変化していきます。酸化などのの影響でもう少し落ち着いた色になりますが、そのことが今回のテーマと重なり、その姿を肯定する作品になってほしいと思っています。

雨の日のおはなし会

雨の音に耳を澄ませながら、お気に入りのものたちに囲まれて過ごす、静かで守られた時間を表現しました。子どもの頃、大切なものだけを集めてつくった秘密基地のような場所は、大人になった今も心のどこかに残っています。こういう小さな体験が、私たちが生きていく上でとても大きく影響してきます。そんな居場所を思い出すきっかけになれば嬉しいです。

おるすばん

一人でお留守番をしている時間、見慣れたはずの家は、いつもとは違う表情を見せていました。静かな部屋、物音のない空気、小さな影の揺れ。その不思議な感覚は少し怖くて、それでもどこか不思議と心地よいものでした。
子どもの頃に感じた世界の見え方は、大人になっても身体の奥に残っています。
その少しくすぐったいような感覚を表現しています。

朝みた夢

朝、目が覚める直前の夢は、現実だったのか思い違いだったのか、すぐには区別がつきません。この作品は、今見えている世界と、子どもの頃に感じていた世界を行き来するような感覚を形にしました。言葉になる前の記憶や、説明できない気持ち、無意識の奥に残っている景色。それらは今も心のどこかで静かに息づいています。大人になった私たちも、ときどきその世界へ迷い込み、また現実へ戻ってくる。その境界にある時間を大切にしながら制作しました。

かくれんぼのつづき

幼い記憶の中にある、いつでも帰れる場所は、もうどこにも存在していないのかもしれません。それでも私たちは、幼い頃に感じた安心できる景色を、心のどこかで探し続けています。この作品は、そんな少し心細い気持ちを描きました。
かくれんぼはもう終わっているのに、いつまでも探さないといけないと無意識に思い込まされているのも、自分を守るための反応なんだと思うと、人間の感情そのものが愛おしく思います。

まだ、シールのあとが残ってる。

遊びに夢中になっていた子どもの頃、世界のすべてを手に入れたような満たされた気持ちと、その奥にある理由のわからない不安が、いつも同時に存在していました。その揺れ動く感情の中で、私たちは少しずつ自分らしさを見つけていった気がします。
作品左上の余白は、シールを剥がしたあとに残る痕や、裏側をイメージしています。そこに額に入れた絵をかけることで、少しでも傷を癒やし、新たな居場所を見つけて進んでほしいという願いを込めています。

お客様、ご来場予定の皆様に向けてメッセージをお願いいたします!

今回は、陶土のほかに石塑粘土を使った作品もございます。また、新たに多くのヴィンテージビーズも使用しました。どの素材も、写真では伝えきれない豊かな表情を持っています。
ここまでこうして言葉でお伝えしてきましたが、やはり、実際の作品を目の前で感じていただきたいという気持ちが強くなってまいりました。きっと、皆様それぞれの感情や記憶を通して、作品を完成させてくださることと思います。
ぜひ、会場で原画をご覧いただけたら嬉しいです。

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本荘早紀さん、たくさんの貴重なお話をありがとうございました。

本荘早紀さんの展示作品実物を一堂に鑑賞できる貴重な機会です。皆さまのお越しを、お待ちしております。

本荘早紀 個展「まだ、シールのあとが残ってる。」

〈会期〉2026年7月22日(水) – 8月2日(日)
〈詳細〉https://picaresquejpn.com/saki-honjo_exhibition_2607/
〈本荘早紀さん 公式SNS〉
X(旧Twitter) https://twitter.com/kobasaki20
Instagram https://www.instagram.com/ko.ba.sa.ki/

作家情報

本荘早紀

絵を描く途中、ふと顔を上げると、なぜか部屋の色がいっせいに輝き出すことがあります。その瞬間、私の6畳の部屋は宝石箱をひっくり返したようになります。
あの時間が好きです。


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【Picaresque 基本営業日時】
*営業 水 - 日・祝 13:00 - 21:00
*定休 毎週月火
*会場 Picaresque Gallery
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