【幼い自分に会いに行く】 本荘早紀(旧小林さき) インタビュー

本荘早紀 (旧 小林さき) 個展「いま かくしたもの みせてⅡ」を、2025年12月24日(水) – 1月4日(日) の期間にピカレスクギャラリーで開催いたします。
今回は、本荘早紀さんにご自身のことや制作エピソード、今回展示される作品についてインタビューしました。ぜひお楽しみください。
自己紹介をお願いします
大阪在住の美術作家です。陶土にアクリル絵の具で描き、布、レース、ヴィンテージビーズなど異なる質感の素材を組み合わせ、幼少期の記憶や感情をテーマに作品を制作しています。もともとは絵本や育児漫画などを描いていました。現在は美術作家として、「身体のどこかで呼吸を続けている幼い感情」を形にすることをテーマに制作しています。
現在の作品の世界観が生まれたきっかけを教えてください。
子どもを育てる中で、自分でも忘れていたはずの幼い感情が、突然ふわっと浮かび上がってくる瞬間がありました。怖かったこと、嬉しかったこと、言葉にできないまま胸に沈んでいた感情たちです。これは何だろう?と、ずっと追いかけていると、そこには幼い私がいて、その世界には色がついていることにも気がつきました。
また、子供に子守唄を歌うとき、私は私の母と一つになったような不思議な気持ちになりました。
この世界を形にしたいと思ったとき、大好きだったぬいぐるみをモチーフにすることにしたことも、重要なきっかけになりました。ぬいぐるみは母でもあり、自分自身でもあり、幼い友達でもあります。ぬいぐるみを通して、幼い私たちは静かにつながることができると感じました。
現在使用している素材で作品を作る理由を教えてください。
陶土は扱いやすいということがありますが、なぜ粘土なのか、自分でも明確にはわかりません。ただ、粘土に触れていると、湧き上がるような激しい喜びを感じます。
その感覚は、幼い感情や、どこか人類の記憶とつながっているようで、
原始的な感情が動かされているように思います。
また、アンティークやヴィンテージのビーズに出会ったことは大きいです。一粒一粒に物語を感じます。その物語ごと、作品に閉じ込めたいです。
普段、何からインスピレーションを受けていますか?
私は「心がふっと反応する瞬間」からインスピレーションを受けています。
人の行動には必ず理由があって、それが理屈ではなく生き物としての反応だったり、幼い頃の記憶からくるものだったりすることに、とても強く惹かれます。
「どうして人はこう感じるんだろう?」と考えたくなる瞬間があります。脳科学や心理学、歴史や文化の成り立ちを知ることも、心の奥の“原点”に触れるようで面白く、答えがわからないままですが、作品につながっています。
また、古いぬいぐるみやビーズのように、時間を宿したものに出会うと、胸の奥がぎゅっと動きます。そうした小さな揺れの積み重ねが作品づくりの大事なインスピレーションになっています。
影響を受けたアーティストや、作品はありますか?
ドゥシャン・カーライさん、井上直久さん、長井朋子さんの作品には強く影響を受けています。幻想性や色彩の詩的な扱い、唯一無二の世界観に憧れています。
また、デ・キリコをはじめとするシュルレアリスムの世界観からも大きな刺激を受けました。
そして、塩田千春さんの、静かでありながら激しく心を揺さぶるような切なさのある空間表現もとても好きです。
これからどんな作品をつくりたいですか?
今後も「色」「幼少期」「感情」を大切なキーワードとして制作を続けていきたいと考えています。現在は小さな作品が中心ですが、より大きな作品にも積極的に挑戦したいと思っています。特に、鑑賞者が空間の中に入り込み、自分の中にある幼い感情と静かに向き合えるようなインスタレーション表現を、いつか実現したいと考えています。
ご出展いただく作品のコンセプトを教えていただけますか?
あふれる

今回の個展の中心となる作品です。この規模の制作は初めてでしたが、
自分の世界を広げるための大切な挑戦になりました。
この作品は、幼い頃に夢中になった瞬間だけに開く、もうひとつの世界を形にしたものです。
誰もが何かに没頭すると、周囲の気配がすっと消え、目の前の景色だけが光り始めるのではないでしょうか。
作品全体を包むように散りばめた色や形は、幼い感情が押し寄せてくるときの、ぐわーっと渦を巻くような世界の混沌を表しています。
陶土、布、ビーズ、レース。それぞれ異なる手触りの素材は、記憶の断片や幼いときの感覚のように、重なりながらひとつの風景をつくり出します。
中心の少女が見ている世界は、かつて私が確かに見ていた世界でもあり、今も誰かが見ているかもしれない世界です。
私に会いに行く

この作品も今回の個展で初めて制作したものです。
二層になっていて、透かし彫りのように奥へ続く世界を作っています。
「幼い自分に会いに行く」ということと、
「その幼い自分もまた私を感じている」というイメージから生まれました。
幼い頃の気配に触れようとするとき、胸の奥でふっと揺れ動く、
懐かしさとも切なさとも言い切れない、言葉にならない感情があります。
その曖昧な温度や揺れを形にしたいと思いました。
遠くの家の奥には幼い自分がいますが、
そこへ向かう道はまっすぐではなく、迷子になってしまうこともあります。
けれど、その迷いの時間こそ、
幼い自分が私を感じるための大切な時間なのだと思います。
ちなみに、作品のどこかに猫が隠れているので、見つけてもらえたら嬉しいです。
夜の散歩

夜は暗いはずなのに、夢の中の夜はどこか明るく、こちらを誘うような不思議な世界があります。
怖さを感じながらも惹かれてしまう、その独特の魅力を描きたいと思いました。
作品に登場するぬいぐるみは、ただ静かに寄り添い、一緒に散歩をしてくれます。
近づけば何か話し出してくれるかもしれません。
こちらが突然消えてしまっても、ずっとそこにいて待ってくれている、そんな存在です。
お客様、ご来場予定の皆様に向けてメッセージをお願いいたします!
原画の持つ陶の質感や色の揺らぎを、ぜひ近くで感じていただけたら嬉しいです。私がぬいぐるみをモチーフにするのは、幼い感情の象徴だからです。幼い頃、ぬいぐるみは自分でもあり、母でもありました。やがて大人になると手放され、記憶の中で静かに呼吸を続ける存在になります。それは幼い私たちの感情そのものです。
私の作品が、その幼い感情をもう一度そっと抱きしめにいくための小さな通路になれば、と願っています。
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本荘早紀 さん、たくさんの貴重なお話をありがとうございました。皆さまはどのエピソードが心に残りましたか?
本荘早紀さんの展示作品実物を一堂に鑑賞できる貴重な機会です。皆さまのお越しを、お待ちしております。
本荘早紀 (旧 小林さき) 個展「いま かくしたもの みせてⅡ」

〈会期〉2025年12月24日(水) – 1月4日(日)(日)https://picaresquejpn.com/saki_kobayashi_exhibition_2025/
〈 本荘早紀 公式SNS〉
X(旧Twitter) https://twitter.com/kobasaki20
Instagram https://www.instagram.com/ko.ba.sa.ki/
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【基本営業日時】
*営業 水 - 日・祝 11:00 - 18:00 ※木のみ21:00までOPEN
*定休 毎週月火
*会場 Picaresque Gallery
*住所 東京都渋谷区代々木4-54-7
*電話 070-5273-9561
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■開催中&過去に開催した展示一覧
https://picaresquejpn.com/category/information/
■開催&開催予定の展示一覧
https://picaresquejpn.com/exhibition-calendar/
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