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筋ジストロフィーと暮らす家族にとっての“3億円”の意味

1.3億円の遺伝子治療が保険適用になった日、コメント欄を見て泣いた

筋ジストロフィーの遺伝子治療が、保険適用になる。
薬価は3億円を超える——そんなニュースが流れてきた。
そして、このニュースはホリエモンチャンネルでもホリエモンによって解説された。

正直、最初に湧いたのは驚きよりも「ここまで来たんだ」という気持ちだった。
そして次に、「世間の反応は荒れるだろうな」とも思った。

でも、僕はコメント欄を見て泣いた。
荒れるどころか、驚くほど好意的な意見が多かったからだ。
ホリエモンもこんな金ぴかの格好をして怖い顔のサムネになっているがもちろん好意的な意見だ。

「研究者に感謝」「救われる家族がいる」「すごい時代だ」
そういう言葉が並んでいるのを見て、胸がいっぱいになった。
世の中には、知らないだけで悪意がない人がたくさんいる。
そして、知った瞬間に“味方”になってくれる人もいる。
そのことが、ただただ嬉しかった。

もちろん、ツッコミどころ満載の意見もある。
「3億円以上税金を稼げる子にだけ保険適用にしろ」みたいなもの。
(そもそも保険金は保険料から賄われるものなんだけど。。)

でも、今回はそこが本題じゃない。

僕たち家族にとって、このニュースは、ただの話題じゃない。
ここまでの時間の積み重ねの上に、いまがある。


2.2019年の確定診断と、2021年4月の引っ越し

少し時間をさかのぼると、2021年4月に僕たち一家は東京からお互いの実家のある山梨に引っ越してきた。
引っ越してきた理由は一つではないし、地方の医療にも一抹の不安はあった。

そもそも東京で文京区に住んだのも3S1Kと言われるブランド小学校の学区内だったわけで、僕自身あまり勉強してこなかった後悔があるから子供にはきちんと勉強してもらおうという思いもあった。

でも、それ以上に、それほど一緒にいる時間は長くないおじいちゃんやおばあちゃんとの時間をできるだけ取ることのほうが大事だと思ったからだ。
2019年に筋ジストロフィーの確定診断を受けてからその思いは日増しに強くなっていった。

「何を優先するか」が、自然と変わっていった。
きれいごとじゃなくて、現実として。


3.2022年9月。4歳のわが子は治験を受けた

そして2022年9月。
当時4歳のわが子は、この薬の治験を受けた。

確定診断を受けたその日から、親としてできることは何でもしたかった。
できるだけいろいろな経験をさせてあげようと思って、キャンプにも連れて行ったし、旅行にも連れて行った。

「今できることを、今のうちに」
親として自然な気持ちだったと思う。

でも、治験を受けたあと、世界の見え方が少し変わった。

体が動かせるようになって、できることが増えると、子どもの“楽しい”の中心が変わっていった。
結局、子どもは近くの公園で、元気いっぱい遊ぶのがいちばん楽しいんだなと分かった。
治験を受けてからは毎週のように土日は公園に行った。
自転車も乗れるようになった。

遠くに連れて行くことが幸せなんじゃない。
特別なイベントが幸せなんじゃない。
今日、走れること。今日、遊べること。
それが子どもにとっての一番のご褒美なんだと思った。

治験を受けてから、幼稚園ではたくさんのお友達と同じように、園庭を走り回っている。
その姿を見るたびに、研究者の皆さんに頭が上がらない。

僕は科学者でも医師でもない。
論文を書いたわけでもない。
ただの親だ。

でも、親として分かる。
「治療」がニュースになる瞬間よりも、
「子どもが走る」という何気ない日常のほうが、何倍もすごい。


4.3億円という数字の向こう側

3億円という数字は、確かに強烈だ。
でも、数字だけが独り歩きしてしまうと、一番大事なところが見えなくなる。

この治療は、“金持ちの道楽”でも、“贅沢な医療”でもない。
病気と生きる家族にとっては、人生の地図そのものを塗り替える可能性がある。

もちろん、医療には安全性の話もあるし、適応の条件もある。
万能じゃない。誰にでも効くわけでもない。
それでも「ここまで来た」という事実が、僕には大きい。

社会が少しずつでも前に進んでいること。
それを、世間が好意的に受け止めてくれたこと。
そして何より、わが子が今日も走っていること。

その全部が重なって、僕は泣いたんだと思う。


最後に

この話は、誰かを論破するための話じゃない。
コメント欄に怒りをぶつけるための話でもない。

ただ、同じように子どもの病気と向き合っている親に、「世界はちゃんと進んでいるよ」と伝えたくて書いた。

そして、研究者の皆さん、医療従事者の皆さん、治験に関わった全ての人へ。
人生をかけて積み上げた結果が、いまここにある。

本当にありがとうございます。

今日も、うちの子は近くの公園で遊ぶ。
それがいちばん楽しいらしい。
その“当たり前”が、僕にとっては奇跡みたいな日常だ。

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