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話せない子にも伝えたいことはある。非言語コミュニケーションでわが子の可能性を広げる視点 | ASD | 大人のASD | 自閉症スペクトラム | 自閉スペクトラム症 | 自閉症 | アスペルガー | 発達特性 |

こんにちは、春乃ひかりです。
「言葉が出ないから、何を考えているのかわからない」
「泣く、押す、手を引く……この行動の意味を毎日探している」
「いつか、わが子の気持ちをもっと知りたい」
そんな思いを抱えながら過ごしていませんか?

自閉スペクトラム症のある子どもの中には、音声で話すことが難しい子がいます。
でも、話せないことは、考えていないことではありません。
伝えたいことがない、理解していない、という意味でもありません。

私は自閉症の気があり、発語はあるものの園児の頃は親も心配するほど大人しい子でした。
園の先生の言葉も普通に理解をしており、答えも分かっているのですが先生という偉い人に対して
「これを言っても良いのかな。」「何をどうどこから話したら良いのかな。」とぐるぐる考えたまま固まっていたので、何も分からずに黙り込んでいるように見えていたかも知れません。
でも家では普通に話して兄弟と喧嘩もしていたので内弁慶と言われていました。
今思えば、話す枠組みや解答のお手本があれば良かったのかなと思います。

今回は自閉症があり、音声言語で話さない息子さんを育てる母親が、長年さまざまなコミュニケーション方法を試し続けた経験を参考に、発語の無いお子さんについて分かりやすく解説していきます。

1.「話せない」と「わかっていない」は違う

非言語、または非発話の子どもは、周囲から能力を低く見積もられやすいことがあります。

言葉で返事をしない。
質問に答えない。
指示に反応しない。
泣く、笑う、押す、逃げるなどで表現する。

こうした姿だけを見ると、大人はつい「理解していないのかな」と思ってしまうことがあります。
でも実際には、聞いている、見ている、覚えている、考えている可能性があります。
ただ、それを音声で外に出す手段がないだけかもしれません。

音声言語で話さない自閉症児の母親は当初、息子さんがアルファベットを理解していないだろうと思っていたと振り返っています。
しかし、文字を使ったセッションで、息子さんが読解に関する質問に答えたり、ニュースで耳にした言葉を示したりする様子を見て、自分が息子さんを過小評価していたことに気づいたと語っています。

これは、すべての子に同じ方法が合うという意味ではありません
でも、「話せないからわかっていない」と決めつけないことは、とても大切です。

2.コミュニケーションは声だけではない

① 行動も大切なメッセージ

子どもが言葉で伝えられないとき、行動がメッセージになることがあります。
私も子供の頃は言葉がうまく出せず、分かってほしいあまり、身振り手振りになる事がよくありました。

手を引く。
物を渡す。
泣く。
笑う。
押す。
逃げる。
同じ場所に行く。
大人の顔を見る。
体をこわばらせる。

これらは、ただの困った行動ではなく、何かを伝えようとしているサインかもしれません。

「これがほしい」
「もうやめたい」
「痛い」
「怖い」
「疲れた」
「わからない」
「助けて」

言葉にならない気持ちが、体や行動で出ていることがあります。
大人が最初にできることは、「やめさせる」よりも「何を伝えているのかな」と考えることです。

② AACは最後の手段ではない

AACとは、拡大・代替コミュニケーションのことです。
音声だけに頼らず、絵カード、写真、文字、ジェスチャー、タブレット、音声出力装置などを使って伝える方法を指します。

AACを使うと、「話す努力をしなくなるのでは」と心配する保護者もいます。
でも、コミュニケーションの手段が増えることは、子どもにとって大きな安心になります。
伝わる経験が増えると、癇癪や不安が減ることもあります。
自分の選択を伝えられることは、自己肯定感にもつながります。

声で話すことだけをゴールにするのではなく、
「この子が伝えられる方法を増やす」
という視点が大切です。

3.いろいろ試しても合わないことがある

① 一度うまくいかなくても、子どもの可能性は消えない

手話を試したけれど難しかった。
絵カードを渡しても使わなかった。
タブレットを触らない。
指差しが安定しない。
選択肢を出しても反応がわからない。

そんな経験をして、「もう無理なのかな」と感じる保護者もいるかもしれません。
でも、ある方法が合わなかったからといって、子どもに伝える力がないわけではありません。

時期が合わなかった。
提示の仕方が難しかった。
運動面の負担が大きかった。
選択肢が多すぎた。
子どもにとって意味のある内容ではなかった。
大人側が使い続ける仕組みを作れなかった。

理由はいろいろ考えられます。

参考の母親も手話、PECS、AACアプリ、物を選ぶ方法など、さまざまな手段を試してきたものの、どれも息子さんには定着しなかったと述べています。それでもあきらめず、別の可能性を探し続けたことが、新たな気づきにつながりました。

② 「その子に合う鍵」は一つではない

コミュニケーション支援には、万能の方法はありません。

絵がわかりやすい子。
写真のほうが理解しやすい子。
実物を見せると選びやすい子。
文字に強い子。
ジェスチャーが使いやすい子。
視線入力が合う子。
タブレットが合う子。
低刺激な環境でないと表現できない子。

子どもによって入口は違います。

大切なのは、「この方法でできなかったから終わり」ではなく、子どもの反応を見ながら調整していくことです。

4.家庭でできる非言語コミュニケーション支援

① まず「選べる場面」を増やす

コミュニケーションの第一歩は、自分の意思が伝わる経験です。

お茶と水、どっち?
赤い服と青い服、どっち?
絵本とブロック、どっち?
公園と家、どっち?
もう一回、終わり、どっち?

最初は二択で十分です。

言葉で答えなくても、見る、手を伸ばす、触る、指す、体を向けるなど、子どもができる方法で選べるようにします。

大人はその反応を受け取って、すぐに結果につなげます。

「水を見たね。水にしよう」
「ブロックを触ったね。ブロックだね」

自分のサインが相手に伝わった経験を積み重ねることが、コミュニケーションの土台になります。

② 大人がモデルを見せる

AACや絵カードは、子どもだけに使わせるものではありません。
大人も一緒に使います。

「飲む」と言いながらカードを指す。
「終わり」と言いながらジェスチャーをする。
「痛い?」と聞きながら体の絵を見せる。
「休憩」と言いながら休憩カードを出す。

子どもは、大人が使う様子を見ることで、
「これは伝えるための道具なんだ」
と理解しやすくなります。

最初から子どもに正しく使わせようとしなくて大丈夫です。
まずは、生活の中で自然に見せることから始めます。

③ 体調や痛みを伝える方法を用意する

非発話の子どもで特に心配なのは、痛みや体調不良を伝えにくいことです。

お腹が痛い。
頭が痛い。
歯が痛い。
気持ち悪い。
眠い。
疲れた。
トイレに行きたい。

これらを伝える手段があると、子どもも家族も安心しやすくなります。

体の絵カードを使う。
「痛い」「大丈夫」「休む」などのカードを用意する。
表情カードを使う。
いつもと違う行動を記録する。
病院で見せられるメモを作る。

言葉にできない子ほど、体調を伝える仕組みを先に作っておくことが大切です。

5.注意したいこと:希望と慎重さの両方を持つ

文字を使ったコミュニケーションや、手を支えながら入力する方法については、期待と同時に慎重さも必要です。

子どもの内面を知るきっかけになる可能性がある一方で、支援者の影響を受けやすい方法もあります。
そのため、専門家と相談しながら、子ども本人の自発性、再現性、負担、安全性を丁寧に見ていくことが大切です。

大事なのは、特定の方法を信じ込むことではありません。
子どもを過小評価しないこと。
そして、子どもの意思ができるだけ確かに伝わる方法を、慎重に育てることです。

「話せないけれど、何かを伝えようとしている」
その前提に立つことが、すべての出発点になります。

6.専門家と連携する

コミュニケーション支援は、家庭だけで抱え込む必要はありません。

言語聴覚士。
作業療法士。
特別支援教育の先生。
児童発達支援。
放課後等デイサービス。
発達外来。
AACに詳しい支援者。

こうした人たちと連携しながら、子どもに合う方法を探していくことができます。

相談するときは、
「これまで試した方法」
「うまくいかなかった場面」
「子どもが反応しやすいもの」
「好きなこと」
「体の動かしやすさ」
「家庭で困っていること」
を伝えると、支援が具体的になりやすいです。

まとめ:声がなくても、心は沈黙していない

非発話の自閉症の子どもは、周囲から誤解されやすい存在です。

話さないから、わかっていない。
返事をしないから、聞いていない。
行動で表すから、幼い。
そんなふうに見られてしまうことがあります。

でも、子どもの内側には、思い、好み、記憶、理解、感情、世界の受け止め方があります。

大切なのは、声だけを待つことではありません。
伝える方法を一緒に探し続けることです。

選べる場面を増やす。
AACやカードを生活に取り入れる。
大人がモデルを見せる。
体調を伝える方法を用意する。
合わない方法があっても、可能性を閉じない。
専門家と連携する。
そして何より、子どもを過小評価しない。

言葉がなくても、子どもには伝えたいことがあります。
その声なき声に出会うために、焦らず、あきらめず、子どものいる場所までこちらが歩いていきたいですね。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
もしよければ、「言葉以外でわが子の気持ちが伝わった場面」や、「コミュニケーション支援で試している方法」があれば、ぜひコメントで教えてください。

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