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意外と知られていない、ドラッグストアにいる頼れる専門家 (約2,900字 4分50秒~7分15秒)

新幹線か飛行機あるいはフェリーの中。

 「お客様の中に、お医者様は、いらっしゃいませんか――」

 「はい、います。」×3

 カッコいい三人が名乗り出た。

 けど、歯科医です。
 あ、精神科医ですが。
 えーと、獣医ですけど、よかったら。

 さあ、皆さん、あなたなら誰を選びますか?

 

――守秘義務のために少々詳細を改変・ボカしているが、実際は緊迫した空気の非常事態、きわめて真面目な現場である。

 「医者の不養生」を地で行く私は、自分に使う可能性のある薬を携行している。
 リュックの中の品ぞろえは、どこの薬売りかというくらい、齢を重ねるほどに充実してきてしまっている。

 でも緊急事態とあらば、どこでも診断して他人に投与できる自負があった。
 だがそれは他の二人も同じ、見立ても全員ほぼ一致。

 が、いざ薬を投与する段階になって、全員が固まった。

 なぜか。

 その人が普段飲んでいる「常用薬」との相互作用(薬どうしの飲み合わせの安全性)が、その場では判断できなかったからである。

 目の前にある「常用薬」は、数字とアルファベットだけが印字された錠剤とカプセル。

 薬名もわからなければ、お薬手帳もない。
 大ピンチだった。

 当時はまだスマホもなく、インターネットも使えない。
 手元に分厚い医薬品集があるわけでもない。

 

 完全にフリーズした「( )医」三人。

 

 万事休す……か?

 

 「あの〜…私、医者じゃないですが…」
 三人の後ろから、消え入りそうな声の四人目が現れた。

 その人物は、常用薬を手に取ると、その薬名と効能を次々と言い当て、医師たちが投与を迷っていた薬との相互作用に問題がないことまで、みごとに整理してみせた。
 そして、医師たちの行動を後押しした。

――某ドラッグストアに勤務している薬剤師だった。

 

 歯科医師、精神科医師、獣医師は、感謝した。

 

「いえいえ私なんかただのやくざイシですよ(笑)」

 ……おもしろくて、且つ濃い洒落好きな、素敵な人だった。

 

セルフケアの時代、スルーされがちな身近な味方

「自分の健康は自分で守る」
 セルフケアという言葉がすっかり一般的になった現代。

 なのに、意外とスルーされがちな身近な専門家。
 それが、今回イチオシの、
「ドラッグストアの薬剤師さん」だ。

 あなたの街にもドラッグストアはあるだろうか。

「全国どこでも処方箋のお薬を調剤いたします」

 そんな看板が出ているお店なら、薬剤師さんが勤務しているはずだ。
 ただし、時間帯によっては薬剤師さんが不在の場合もあるので、その点だけは注意されたし。
 居られるのは平日昼間(ランチタイム除く)が多いけれど、最近は夜間や土日に相談できるお店も増えている。

 薬剤師さんというと、病院でもらった処方箋をみて薬を袋にいれて渡してくれる人、というイメージかと。
 実際、その役割はとても大切。
 けれど、薬剤師さんの仕事はそれだけではない。

「花粉症の薬を飲みたいけれど、どれを選べばいいかわからない」

「眠れない日が続いているけれど、精神科ってほどではない気がする」

 そんなとき、薬の相談にのってくれるのが薬剤師さんなのだ。

 病気になったら医師の診察を受けるのが一番。
 けれど、待ち時間が長かったり、費用が気になったり、何科を受診すればよいのかわからなかったりすることも。
 そもそも、予約制の病院だと、仕事を休める日とうまく合わないことも多々。

 そんなときに、まず話を聞いてくれる専門家が身近にいるというのは、思っている以上に心強い。

 

「自分だけで判断すること」と「自分の健康に責任を持つこと」は違う

 私は、膝と腰が「やばい」と感じるくらいの齢まで、へき地の医師をしてきた。

 おいそれと医療を受けられない「へき地」の住民は、「自分の健康に関心を持つこと」が当然だった。

 もちろん、自己判断だけで突き進むことはおすすめできない。

 セルフメディケーションとは、「自分の思い込みだけで判断すること」ではなく、「自分の健康に責任を持ち、賢く選択すること」だ。

 そして、選択に悩んだときに相談できる専門家をキープしておくことも、立派な健康管理の一部である。

 その相談相手として、私はドラッグストアの薬剤師さんを推したい。

 

 実は、多くのドラッグストアでは店内放送で「薬剤師にご相談ください」と案内している。

 けれど、実際に相談しているお客さんはそれほど多くない。

 じつに、もったいない。

 薬剤師さんを養成する薬学部も、歯学部・医学部・獣医学部と同じ年限(6年課程)を勉強に費やし、国家試験に合格した「薬の専門家」だ。

 薬の飲み合わせや副作用、市販薬の選び方などについて広い視点を持っていることは冒頭のお話の通り。

 そんな知識の宝箱が無料で歩いているのに素通りだなんて。

 また、薬剤師さんは医師以上に女性が多いため、女性特有のデリケートな悩みについても相談しやすく感じることもある。

 近年は、以前なら医師が処方箋に記載してくれなければ手に入らなかった薬(ロキソプロフェンなどの鎮痛解熱薬、H2ブロッカーの胃薬、抗アレルギー薬、睡眠改善薬など)が、次々とドラッグストアの棚に並び始めている。

 選択肢が増えたのはありがたい反面、
「で、結局どれがいいの?」
という迷いも増えたのではないだろうか。

 そんなときこそ、薬剤師さんが頼りになる。

 生理痛や更年期症状の漢方薬を相談したいとき。
 不眠不安に少し薬の助けを借りたいとき。
 口内炎ができてしまったとき。
 花粉症の薬……など。

 そうした相談は、薬剤師さんにどんどんしていいのだ。

 それに、市販されるようになったといえど、薬の中には薬剤師さんが勤務している時間帯でなければ購入できないものもある。

 

どんな薬剤師さんがいい?

 自宅の近くでも、通勤や通学の途中でもかまわない。
 散歩がてら立ち寄れる場所でもいい。
 まずはドラッグストアを覗いてみてほしい。

 どんな薬剤師さんがいただろうか。

 薬剤師さん御自身が健康そうな感じ、お肌がナチュラルに綺麗で健康志向(美意識)高めなら、薬はもちろん、いろいろ教えてもらえそうだ。

 けれど、とりあえずは「話しやすそう」「親切そう」という直感で十分である。

 私なら、豊富な知識をひけらかすタイプよりも、こちらの話をよく聞き、一緒に考えながら提案してくれる薬剤師さんを探す。

 ハンサム・美女なら、なおいいけれど、自分を省みれば贅沢は言えない。
 優しさ一番、知識は二番、三四がなくて五に美形、といったところか。

 結局、大切なのは、「この人なら信頼できる」と思えること。
 なぜなら、どんなに良いアドバイスをいただいても、それを信じられなければ、薬屋のひとりごとで終わってしまう。

 「必要以上に根掘り葉掘り聞くことはないけれど、薬の相談には専門家として、しっかり寄り添ってくれる。」

 そんな薬剤師さんが近所に一人いるだけで、安心感は格別なものになる。

 まずは、どの市販薬がいいのか迷ったとき、ドラッグストアの薬剤師さんに相談してみてはどうだろうか。

 きっと持ち腐れかけていた(失礼💦)宝箱を開いて、キラキラと相談にのってくれるはずだ。

 

 あなたに、素敵な出逢いがありますように☆

 

 

 

☆イラストの生成にAIを使用しました。

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