藤色の夏
あの年の夏は随分暑かった。
友人の沙織から懇願されて付き合いで厳覚寺というお寺に向かっている。
沙織が言うには 知る人ぞ知る除霊で有名なお寺らしい。
本当かどうかは興味はないけれどほとんどのお寺では除霊することはできないのでそれ専門の除霊師のところに行かなければならないなんてことをどこかで聞いたことがある。
「奈緒ほんとごめんね、付き合ってもらって」
沙織は最近ろくなことがないらしく、何かにとりつかれていると信じて疑わない。無下にすることもできず、来てしまったけど正直帰りたい。
お寺に到着すると事前に連絡していたようで中に通された。
沙織が住職さんとお話している間、縁側に座りどこに焦点を合わせるでもなく外を眺めていた。
「そこの縁側に座っているあなた!」
突然住職の声が耳に飛び込んできて我に返った。
「私はあなたの方がとても心配です」
「えっ!」
訳がわからなかったが住職は続けた。
「最近紫色のものを身につけるようになっていませんか」
言われてみれば今日着ているワンピースは薄い藤色。
先週買った紫のキャミソールやピンク色に近いけれど紫色にも近いピンヒールのことを思い出した。
住職が言うにはどうやら生霊に憑かれていて、紫色のものを身につけるようになり少しずつ死へ向かっているということだった。
そして生霊は元の本人も知らないことで一番たちが悪いという話だった。
心当たりはないかと問われて、そういえば最近妙にけだるさを感じていることを思い出した。確かに紫色のものを身につけるようになり出したことと時期は一致していた。
あまりこういうことは信じないのだけれど、その時ばかりは少し怖くなってきた。てっきり、壺や象牙の印鑑を売りつけられるのではないかと思っていたのに住職にも生霊は払えないと言われたからだ。
部屋の四隅に盛り塩をするようにアドバイスされ、住職から小さな金色の鈴を手渡された。
「この鈴をお貸しします。きっとあなたを守ってくれるので肌身離さず持っていてください」
厳覚寺から戻り、まだ半信半疑ではあったけれどすぐに盛り塩をした。
数日後、仕事を終え帰宅すると地震が起こった。そう思ったのだけれど
どうやら違った。でも、部屋は振動している。
住職に借りている鈴を取りだし、鈴の音を響かせた。
透き通るような音が響き、振動は収まった。
同じようなことが数回起ったが、1か月くらい経った頃には何も起こらないようになり、原因不明のけだるさも無くなった。
今度は沙織に付き合ってもらい厳覚寺に再度訪れた。
住職にお借りした鈴を返しに行き、少しだけお話をした。
ここ2か月くらいのことを話していてわかったことがあった。
その当時沙織も含めた男女10人近くの遊び仲間がいた。
振り返ると生霊の元は多分、貴志くんではないかということ。
家に帰りついて部屋の電気をつけた直後に彼から毎日のように連絡があったこと。
あまり気にしていなかったけれど今考えても不思議な気がする。
自意識過剰かもしれないけど、家の近所に潜んで監視していたのかもしれない。
何も起こらなくなったことと彼が転勤で遠い地へ離れ連絡がなくなったという事実が今でも私にそう思わせている。
了
今回はこの物語のテーマソングをチャッピーさんと作ってみた。

作詞 ChatGPT with persi
作曲 suno.com
「The Purple Call」
[Intro-Quiet piano/Breezy Sound Effects]
[Verse1]
背中にふれた風が 冷たく感じた午後
何気なく選んだ 藤色のワンピース
ふとした静けさの中 息が詰まるようで
名前も知らない 影がそばにいた
[Pre-chorus1]
夜になると 胸の奥で
揺れる想いに 呼ばれる気がして
誰の声かもわからないまま
私はゆっくり沈んでた
[Chorus1]
紫の風が 胸をなでる夜
誰かの想いが そっと私を締めつける
笑ってたのに 心が冷たい
見えない声に 引かれていたの
[Interlude-electric piano,soft strings]
[Verse2]
窓辺に差す光が 少しだけまぶしくて
気づかぬうちに 部屋にひとりじゃない
時計の針が止まる ように感じる夜
それでも私は 暮らしを続けた
[Pre-chorus2]
優しさと違う体温に
なぜか懐かしさ 感じてしまった
だけど名前も言わないまま
心を締めていくなんて
[Final chorus]
鈴の音が今 闇を裂くように
静けさの中で 胸の影がほどけてく
誰かの痛み 私の痛み
もう引きずらない 光の方へ
紫の風は もう恐くない
心を包んで 静かに通り過ぎた
微笑むように 未来がひらく
私は私を 取り戻してく
[Outro-A single piano note fades out.]

最後までお付き合いいただき ありがとうございました。
では 素敵な1日を✨
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いつもありがとうございます。
