二次元の水平線 九(最終話)
「ふっ~ 代り映えしないな」
モニターを見ながら市木はため息とともにつぶやいた。
同じタイミングで研究室の扉が開かれた。
「市木くん、そろそろシュミレーション結果は出たかね」
いつも通り優しい口調と表情で下野は話しかけた。ソファーに埋もれるような座り方をしていた市木は姿勢を正しながら
「あっ、教授、お疲れ様です。第3ワールドでもほぼ同じような結果になりました。名前を変えて色々試してみたんですけど98%の確率で殺人を犯してしまいました。姓名判断とかいろいろ言われますけど、あんなものあてにならないもんですね」
つまらなそうに市木は答えた。
「さあ、それはどうかな。私は神じゃないし判りませんね」
少し困ったような表情の下野に市木がまた話し出した。
「例え、何度産まれた頃にもどって人生やり直しても違うことが起こらない限り、その人の本質は変わらないということじゃないですかね」
自信満々の表情をしている市木に下野が話し始めた。
「それもどうですかね、言い出したらキリがありませんが第3ワールドの修正箇所に問題があるかもしれませんしね。ところで残りの2%の結果はどうなったんですか」
「えっと、自殺です」
「例えたった2%だとしても結果が違うということは原因があるはずです」
「まあ、そうですけど…」
「解らないから、知ろうとする。これが研究ではないんですかね。大変だと思いますが、よろしくお願いしますよ」
市木の肩を優しく叩いて下野は研究室をあとにした。叫びたくなる衝動を抑えながら市木は頭を抱え、何かブツブツとつぶやき始めた。
ここまで書いたところで種尾 忍はペンを置いて天井を見上げた。
自分の無力さを感じ、何となくこの作品が仕上る気がしなくなった。
そしてどこかで見た文字が頭に浮かんだ。
感情は常に論理にまさる
その通りかもしれない。
誰かの記事で見たのか、偉人の言葉か。それすらも思い出せない…
言葉を立体的に表現することができず
結局 2次元を脱することができていない。
境界線にさえも達していない。
水平線は果てしなく続いている。
了

では 素敵な1日を✨
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いつもありがとうございます。
