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【読書感想文】『キューバ紀行』堀田善衛

 除籍本。1966年刊。キューバ革命から7年後。著者は小説家でキューバに招かれて行った。本書は後に集英社文庫に収録され、紀行文学の名作とされている。
 キューバ革命は当初から社会主義を志向していた訳ではなかった。革命前のキューバはアメリカの植民地で、ごく少数の大富豪の他にこれまた少数の専門職がいたが、革命でアメリカとの貿易が終わるとアメリカへ逃げた。しかもカストロはこうした人々を引き留めなかった。
 結果、残ったのはプロレタリアートだけになったので社会主義政策を取らざるを得なくなった。まだキューバはマルクス・レーニン主義の勉強中だという。でもこれでイデオロギッシュな思考にならなかったのだからよかった。
 カストロは独裁者がやりがちな事をせず、肩書も「少佐」で最高司令官に過ぎず、大佐も将校もいない。給与もわずかで、民衆と共にある指導者という印象。
 著者は滞在中にカストロに招かれていたが、ハリケーンの被害が出たのでそちらに向かい、予定はキャンセルした。そして自ら泥水の中で車を押していた。
経済は社会主義国が中心となり、他にはフランス等の西側諸国とも多少の貿易がある程度。
 キューバの主な産業は砂糖。サトウキビを輸出し、そこで加工した砂糖を輸入していた。農業国なのに米の6割を輸入に頼っていた。
 自動車はいずれもどこか故障しているポンコツばかりで、それでもこれまでそれを持てなかった農民たちは元気に乗り回している。
著者はキューバが反帝国主義以外のスローガンを掲げるのを期待している。
 ソ連との関係は微妙。特にキューバ危機に関しては聞いて欲しくない模様。
 イメージ通り、カリブ海の人びとはどこから楽天的だ。でもそこにはおびただしい犠牲があった。
 それにしても、本書から25年後にソ連が崩壊した一方、キューバは体制転覆もなく60年後の現在も存在し続けていると誰が予想しただろうか。
 今もなおキューバは経済封鎖で苦境にあるが、ロシアと中国が率先して支援している。日本で嫌われているこの二国の行動の意味を、そしてなぜアメリカが国際法を守らなくても処罰されないのか、インテリがこの件について非難しないのかを考えれば、国際情勢は理解できる。
 以前、あるモノクロ専門の写真店でキューバ人のポートレートを見たことがあった。いずれも心の底から楽しそうな笑顔で、いつか聞いた「キューバでは貧しくてもみんな幸せ」という話は本当だったのかもしれないと思った。
 以下はキューバ関係の記事。

アラブメディア。トランプはなぜキューバを破壊しないのか。

https://english.almayadeen.net/articles/analysis/why-trump-will-not-destroy-cuba

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