通院日記035_地域病院_通院28日目 今日もお見舞いの日。 義兄が抗がん剤を処方する日でもある・・・
20250417(木) 地域病院 通院28日目
今日もお見舞いの日。
義兄が、抗がん剤を処方する日でもある。
義兄と一緒に、朝から病院へ行っている義姉と、待ち合わせすることにした。
シェア畑で、畝を作ってから病院へ向かう。
土づくりとしてはかなり遅くなってしまった。
まだ、何とか間に合うタイミングだろう。
4つの畝を一度に作るのは、なかなか大変なものがあった。
妻からメッセージが届いていた。
部屋が変わったという。
新しい病室は、建物の中心部にあって、廊下を歩いても場所が分かりにくかった。
病室に入ってみると、丁度日差しが差し込んでいるところ。
光が溢れて、気持ちがよさそうだった。
「景色が見えないんだよ。星も見えない。」
Lineで、建物の内側で・・・とみていたので、想像よりもいい環境かと一瞬思った。
けれど、中庭に面しているせいで、見えるのは同じ建物の向こう側の壁だけ。
確かに景色は見えない。
「ちょっと残念。」
確かにちょっと残念だ。
抗がん剤の治療を、妻がしきりに不安がる。
それで義姉が義兄のことを話す。
今は治療を前にして心配するけれど、始まってしまえば、流れに乗って行くだけだということ。
義兄の最近の様子。
体にむくみが出てきたけれど、血流を促進するソックスをして、多少改善したそうだ。
指先の荒れ(今は傷の様に悪化している)も、本来塗った方がいいと言われていた薬を、勝手に省略していたらしく、それを塗って改善しているらしい。
以前から妻は、保湿クリームは絶対に必要なものだと思っている。
姉の話で、もう揃えたくなったようだ。
姉に買ってきて欲しいと頼んでいる。
まだ治療は始まっていないけれど、
「ほら、こんな感じで下に行きにくいから。」
と、自分の様子を見せる。
点滴2種に栄養剤、鼻からチューブが出て、タンクまでポンプで吸引されている。
こんな患者は、この病院内でもなかなか見たことがない。
「病院の介護ショップのポスターにあったやつ。それが一番効くって聞いてる。」
妻からの情報はそれだけだ。
僕なら、はい、ポスターのやつねといって買いに出かける。
そして買ってくると、これ違うやつだよ、と文句を言われるパターン。
それがわかっていても、この会話にはちょっともやもやする。
「ポスターにあったやつってどんなの?タンクの?こう、塗るようなもの?」
「うん、ポスターに書いてある。」
「じゃあポスター見るけど、それがなかったらどうする?」
「なかったら・・・、でもポスターにかいてあるからさ。凄く効くんだって。それがいいの。」
「そしたらそれはお店の人に確認するね。それでなかったら他のを買ってくる?」
「他のって、どんなのなんだろ。」
「旦那のやつはタンクに入ってたよ。それ使ってる。」
「うん、でもポスターのやつが効くって・・・、やっぱりそれがいいな。」
「じゃあこうする?ポスターの保湿剤が、あるか店員さんに確認する。それで、なかったら他のやつを買ってくる。とりあえず今すぐ欲しいんでしょ?」
「うん。もう揃えておきたいからさ。」
妻は心配性の上、先々の事でも、気が付くものは直ぐに段取りを済ませてしまいたい性格だ。
そして、結局義兄の使っていると思われる、タンク式の保湿クリームを、姉が買ってきた。
「おすすめはポスターの製品だって。でも今は試供品もないらしいよ。トリートメントと2種類あって、それぞれ3千円くらい。とりあえず買ってきたけど、こっちもお勧めだって聞いたよ。」
「わかった。ありがとう。」
さすがに姉妹といったところか。
買い出しを1回で済ませている。
とはいえ、そのうち僕が、ポスターの保湿剤を、買いに行かなくてはならないのだろう。
義姉が帰った後に、デイルームへ移って、しばらく話しをする。
治療の話から、腹膜の事になって、うっかり写真でみたことの感想を話してしまった。
これは、一度妻には話していたのだけれど、
「私そんなこと聞いていないのに、わざわざ説明する必要があるの?」
そんな疑問が返ってきた。
不安になったからだろう。
妻の手が震えている。
「腹膜に移るのって、大変な事なんだよ?」
迂闊な自分に後悔しても、言葉はもう戻ってくれない。
どうやったって、本人の気持ちになんてなれない。
その時も、僕は一度説明したことを繰り返すだけだった。
小さなカメラで撮っているから、必要以上に大きく見えただけだろうと。
どうして、そのことを覚えていないのか。
嘔吐と戦っている間に忘れてしまっていたのか。
手術後のことで、会話を覚えていなかったのか。
どうでもいいといった気分になってしまった。
やけっぱちの思考が回る。
実際のところ、あと2年しか生きない人と、20年生きる人のなすことに、どのくらいの差があるんだろう?
大した違いはないはずだ。
だったらもう、全部終わってしまえばいいじゃないか。
全部終わってしまったとしても、それはたいしたことじゃない。
世界が、今滅んでしまえばいいのだ。
自暴自棄になった僕は、とてもせこい行動に出た。
イオンの食品売り場で、キムチを買って帰ってきたのだ。
キムチのような、醜悪なにおいを発する食べ物は、我が家の食卓に絶対乗らなかったし、冷蔵庫に入ることも許されてはいなかった。
妻がそれを許さないからだ。
ちなみに、次点では冷凍餃子だ。
とはいえ、そんなことで気分が結構晴れてしまうのだから、僕の斜陽感はその程度のものなのだ。
今日の夕食
牛肉の残りともやしの炒め物、味噌汁、キムチ、ぬか漬け
以前料理した、牛肉の残り半分を冷凍してあり、それを消化する。
キムチとぬか漬けが同じ食卓に並ぶなんて、想像できなかったこと。
夜のLine通話で、妻がかなり慌てている。
「大変な事が起きているんだよ。」
何事だろうかと身構える。
「楽天がつながらなくなってる。」
入院時にあたって、インターネットが繋がらないなんて考えられない。
なので、楽天モバイルを契約しておいた。
それが、建物内部側の部屋に移ったことで、電波が届きにくくなっているらしい。
そんな事かと安堵する。
けれど妻にとっては、一大事だ。
その気持ちはわかる。
僕達はまったくといっていいほど、テレビを見ない。
NHKは衛星料金も払っているが・・・。
だからWebに入れないというのは、全ての情報から遮断されてしまうということだ。
妻の状況で、病棟の個室ではなかなかきつい。
看護師によれば、この部屋はauは入り易いと聞いたようだ。
切れ切れの通話で何とか話を続け、明日WiMAXを契約していくことで落ち着いた。
ビデオ通話の間中も、腸からは液体がポンプアップされているのが分かった。
一体どのくらい入っているのだろうか。
