わたしに向けられた、小さな笑顔から。
外に出るだけで
干からびてしまいそうな
カラッとした昼下がりだった。
2階の自室で仕事をしていると、
階下から賑やかな声が聞こえてくる。
ちょうど
切れた飲み物を補充しがてら
階下へ降りていくと、
生後数ヶ月の姪っ子がやってきていた。
日ごろ見慣れない
母(姪っ子からすると祖母)と私の顔を見て
「だぁれ、この人たちは…」とばかりに
口をすぼめてギャン泣きしてしまった。
本人としては
必死に何かを訴えかけているのだが、
大人たちからすると、
この表情は、たまらなく…かわいい。
そんなこんなで、
姪っ子との4日間の共同生活が始まった。
…なんて書いたが、
私は育児の経験はないし、
子どもが特別好きなタイプでもない。
お世話をするわけではなく、
ただの“見る専”である。
早朝に階下へ降りていくと、
ベッドでスヤスヤと眠っている。
安心しきった様子で
バンザイして眠る姿を見て
思わず朝からニッコリ。
普段、
午前中は極力
エアコンをかけない我が家も、
姪っ子のために
朝からエアコンをかけっぱなし。
ということで、
日中はおおよそ、
姪っ子が過ごす部屋で
一緒に過ごしていたが、
noteを書こうとか、
本を読もうとか…
いろいろ
やりたいことがあったはずなのに、
ちょっとした動きや
声を上げる姿が愛らしくて
なんだかんだ
その手を止めては、
姪っ子を見て目を細めてしまう。
極めつけは、
私がそばに座って
名前を呼びながら笑いかけてあげると、
「笑っている」と認識するのか、
ちゃんと笑い返してくれるのだ…!
これが
たまらなく愛らしくて、
その顔見たさに、何回も声をかけた。
そんなふうに
とにかく穏やかな時間が
流れていく日々。
「明日でお別れだな…」
そう思いながら、
何度目かの声掛けをしたときだった。
変わらず、
姪っ子は愛くるしい笑顔を
私に向けてきた。
そのときふと、
こんなことを思った。
赤ちゃんは、
まだ何ができるわけでもないけど、
ただそこにいるだけで、
こんなにも誰かを幸せにする。
赤ちゃん自身も、
「頑張らなきゃ」と
ことさらに力んでいるわけでもなく、
欲求のままに泣いて、笑うだけ。
そう考えると…
私たちはいつから、
「何かができないと」
「何者かにならないと」
そうやって
何かに取り憑かれたように、
生きるようになったのだろうか…。
翌日の早朝、
私にそんな問いを残して、
姪っ子は元の生活へ戻っていった。
最初に見せてくれた
人見知りの泣き顔が愛らしくて
もう一度拝みたかったが、
すっかり我が家に馴染んだのか、
最後まで私たちに笑顔を向けていた。
姪っ子を見送ってしばらくは、
あの穏やかな日々の
余韻に浸りながら過ごしてきた。
愛らしい笑顔を思い出すたびに、
あの日、ふと浮かんだ問いが、
静かに顔を出す。
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