ストレスを上手に使えば~やる気なんていらない~#6
第5話で書いたとおり、
「ストレスがすべての行動原理」っていうのは、なんとなくわかってもらえたと思う。
じゃあ、“ストレスを受ければ何でもいいのか?”といえば、そうでもない。
人によって「何でストレスを感じるか」も、「どれだけ耐えられるか」も全然違う。
世間でいう“成功している人”と“やる気が出ない人”の違いは、ここにある。
ストレスを分ける決定的な差:「体験の差」
5話でも少し触れたけど──その決定的な差は「体験の差」だ。
“経験”というと重く聞こえるけど、ここでは“体験”と言いたい。
チャレンジとか努力とか、そういう立派な話ではない。
小さなことでもいい。
今までにどんな体験をしてきたかが、今の「価値観」をつくっている。
そして、その価値観によって「どおストレスを感じるかどうか」が決まる。
ストレスの許容量と価値観
ストレスの許容量は、生まれ持ってのものだから変わらないかもしれない。
だが、“ストレスが貯まる”のか、“ストレスは感じるが貯まらなくなる”のか、
それとも“そもそもストレスを感じなくなる”のか──それはすべて価値観なのだ。
ボクサーを例にしてみよう
グローブをつけていたって、普通に考えれば“殴られる”なんて嫌なことだ。
でもボクシングをしている人にとっては、それが日常。
練習や試合で殴られても平気だし、むしろそれを通じて強くなっていく。
ところが、まったくボクシングをしたことがない人に、
何の説明もなくいきなりグローブ付きで一発食らわせたら──
もう立ち直れないほどショックを受ける人もいるだろう。
ボクサーだって、練習でも試合でもない通りすがりの人から
いきなりグローブ付きでも殴られたら、我慢できないぐらい怒っちゃうと思う。
殴られること自体は人類共通のストレスだが、
同じ“殴られる”でも、価値観によってストレスの大きさはまったく変わる。
また、時と場面でも価値観は変わる。
「パワハラは悪」という時代のストレス構造
今の世の中でいうと──
「パワハラするのは絶対悪」という価値観が当たり前になってきている。
だから“パワハラされた”となると、もう無条件で「する側が悪い」となる。
もちろん昔は理不尽なパワハラも多かった。
でも実際のところ、多くは“怒られる理由”があって怒られていた。
そして、怒られるのは当然ストレスになる。
じゃあ人はそのストレスをどう回避したか?
「怒られないように仕事をする」ようになったのだ。
結果、それが生産性を生み、自然と出世や稼ぎに繋がった。
でもこの時、本人は「稼ぎたい」なんて思っていない。
ただ“怒られるストレス”を避けたかっただけ。
つまり、ストレスを“回避したい”という感情が結果的に成功へ導いたわけだ。
我慢の中にこそ“経験値”が貯まる
もちろん、過度なパワハラを受け続ければ辞める人も多い。
でも辞めるまでは“我慢してその業務をこなした”という体験が残る。
この“体験”がある人は確実にレベルが上がっている。
ドラクエだってスライム一匹倒せば少しだが必ず経験値が入る。人間も同じだ。
苦しいことを乗り越えた分だけ、自分の中に“経験値”が貯まっていく。
そしてその過程で、いろんなことを試したり聞いたりして、
自分の得意・不得意がだんだんわかってくる。
過度な業務やパワハラに耐えきれずA会社を辞めたとする。
そのときは本当にツラかった。
でも、その体験を経て次の職場B会社に転職したとき──
給料は同じでも、業務は少なく、人も穏やかだと感じる。
その瞬間、「前よりずっと楽に稼げる」と思えるのは、あの苦しい体験があったからだ。A社を体験してない人からしたら普通のダルい仕事にしか思えない。
つまり、同じ環境でもストレスの感じ方がまるで違うのは、体験の差によるものだ。
逆に、上司から「昔はもっと大変だったから、今は楽だろう」なんて話を聞かされても、一切“楽”に感じたことはないだろう。
それは、実際に体験していないからだ。
成功者が語る“きっかけ”の正体
成功者の話を聞くと、必ずどこかで“きっかけ”みたいな体験を話す。
例えば──
家が貧乏だったとか、親が病気だったとか、バカにされた、いじめられた、親がいなかった……など、いわゆる“苦労話”のくだりだ。
同じ経験をすればみんな同じ動きをするというわけではないが、
成功者はこれらの体験に強烈なストレスを感じているのだ。
「もう二度とそんな思いをしたくない」「バカにされたり、いじめられたり、貧乏なんてごめんだ」という、
その“ストレス回避の行動”が成功につながっている。
“あんな思いをするぐらいなら仕事を頑張るほうがマシだ”という思考だ。
ただ、そういう強烈な体験がない人にこの話をしても、
一瞬は「頑張らなきゃな」と思うかもしれないが、体験していないから
次の日にはもうなんとも思わなくなるのだ。
だが一部の“才能がある”と言われる人の中には、
明確にイメージができ、まるで体験しているかのように感じられる人もいる。
そういう人は、誰に言われなくても勝手にどんどん行動していくものだ。
“苦労話”じゃない成功のパターンもある
一方で、苦労話とはまったく逆のパターンもある。
たまたま友達に勧められてやったことがすぐうまくいって、お金を稼げた。
「こんな簡単に稼げるならもっとやってみよう」と思えた。
そういう人は、“なんでも挑戦すれば成果が出る”という体験を、運よく早い段階で手に入れた人だ。
だから、うまくいかない時も「まあこういうときもあるでしょ!」とポジティブに受け止められる。
“お金は簡単に稼げる”という強い成功体験が、ストレスそのものを打ち消してしまうのだ。
そして、そういう人はだからとにかく**「いろんなことに挑戦しよう」**と言ってくる。
「諦めずに挑戦!挑戦!」
──ナマケモノにとっては、耳をふさぎたくなる言葉だ(笑)。
間違ったことは全然言ってないんだけどね(笑)。
ストレスを避けすぎると成長は止まる
そして──ストレスを避けすぎると、当然“経験値”は手に入らない。
またドラクエの話で恐縮だが、戦闘から逃げてばかりじゃレベルは上がらないのだ。
現実も同じで、ストレスを完全に避けようとすればするほど、
成長のチャンスや自分の可能性を閉ざしてしまう。
ちょっと言い方がややこしいが、
「ストレスを回避する行動」の中でも、ただ逃げるだけという選択は成長が止まる。
大事なのは、ストレスを回避するために**“逃げる以外の手”を打つこと**だ。
その“手”の数──つまり選択肢をたくさん持つことが重要になる。
選択肢を増やすには、やはりいろいろな体験をして、
知識や情報を増やしていくしかない。
そうすることで、“逃げる”以外の道を選べるようになるのだ。
あとね、“ストレスの回避行動”って聞くと、
「動かなきゃいけない」ってイメージがあると思うけど、
実は動かなくても大丈夫な場合がある。
それは──ただ“慣れること”。
“慣れる”というのも、心理の中では立派な回避行動なんだ。
最初は嫌だったけど、慣れたら気にならなくなった。
つまり、気にならなくなるように脳が回避行動を取ったってこと。
現場系の仕事をしていたとき、仮設トイレってあるじゃん?あれ、めっちゃ汚いのよ(笑)。
でもね、毎日使っていると慣れるのよ。匂いも最初はきついけど、そのうち気にならなくなる。
あれは、“慣れないとストレスだから、脳が慣れてくれた”ってことなんだ(笑)。
※慣れすぎても成長は止まります。
ほんとややこしくなるが、
「逃げるのはダメ」なんじゃない。逃げる“だけ”の選択肢がダメということだ。
中には、早急に逃げたほうがいい場合もある。
だからこそ、「逃げる」という選択肢も必ず持っておくように(笑)。
ただ、体験がないと、
「逃げたいけど、このあとこういう展開になるかもだから
ちょっと様子見たほうが後悔しないかな」とか、
「今までの経験上、これは逃げるのが最善の策で間違いない」とか、
そういう判断の思考回路が働かない。
つまり、体験が少ないと“逃げる/立ち向かう”の判断が感情任せになってしまうのだ。
いろんな体験をしておくことは、
「逃げる」も「踏みとどまる」も正しく選べるようになる訓練なのだ。
嫌な思いを我慢しろ、という話ではない
だがここまでの話だと、
「結局、嫌な思いを我慢しなきゃいけないの?」と思うかもしれない。
でもそうじゃない。ここからが重要だ。
もちろん嫌な思いはする。
そして、我慢ができないから困っている──それもわかる。
だが、ここまで読んで「今まではストレスだと思っていたけど、
こういう風に考えればそこまで悪くないな」と
少しでも考えが変わる人もいるだろう。
そう思えた人は、その時点でこの記事を読んだという体験が、価値観を変えたということだ。
そして、それはほんの少しだけど成長のきっかけにもなっている。
人は生まれてから今までの体験で価値観をつくっているが、
この価値観は思っているより“すぐ変わる”。
簡単に価値観を変えちゃおう
どうやって?──そう、それは最初に書いたとおり、
体験することがもっとも簡単で、そして最善な方法だ。
人間は頭でわかっていても、実際の体験と同じようにイメージすることはほとんどできない。
ジェットコースターも、映像で見るのと実際乗るのとでは全然違う。
フェラーリだって、動画で見るのと、目の前を走る迫力は別物だ。
犯罪者だってそう。
刑務所に入れば、法律を犯した者たちルールを守れないの詰め合わせだが、
ある一部を除いてはみんな規則を守り、おとなしく過ごしている。
シャバではそんなことなかったのに、
規則正しい生活を続けられるのは、“価値観が変わる体験”をしているからだ。
価値観が変わり、「規則正しい生活こそが刑務所内でのストレス回避の最善方法だ」
という価値観になる。
価値観が変わり、「規則正しい生活をしなきゃいけない」という思考になり、
最初はきつかったその生活も──さっき言った通り“慣れる”のよ。
慣れるとかなりストレスが減るようになる。
だから慣れるのよ(笑)。
刑務所を体験したからだ。
そして入る前は「一日だって我慢できない」と思っていた人が、
何年も規則正しく入っていられる──
それはやる気があるからじゃないってのはわかると思う(笑)。
人は“体験して初めて理解できる”生き物だ。
つまり、価値観なんて“体験”すればすぐ変わるのだ。
“慣れる”というのも価値観の変化だ。
「ツラい」と感じていたことが、慣れることでどんどん軽くなる。
最初は“100のツラさ”だったものが、慣れたことで“10”に感じるようになる。
つまり、100が10という価値に変わったのだ。
※全く慣れないという場合もあるかもしれないが多くの場合それはこんなもの慣れてもしょうがないとか慣れる必要がないという価値観が慣れないという結果に変わっている場合もあるよ
お金の本質も“体験”にある
そして──これは驚くかもしれないが、
ほとんどの人はお金のすごさを本当には理解していない。
ほぼすべての人はお金が好きなんじゃない。
お金で“体験できること”が好きなのだ。
お金があれば、好きなものを買い、美味しいものを食べ、旅行に行き、夢を叶えられる。尊敬される、ペコペコチヤホヤされる、承認欲求も満たされる。だからこそ、お金に“体験の価値”を感じている人ほど稼ぐように動く。
行動するストレスより、「体験できないストレス」の方が強いからだ。
お金のすごさを本当に理解していない人が多いから
「お金が欲しい」「お金が欲しい」と言いながら
お金が一番になるような行動はしていない。
節約できない、貯金が続かないというのがまさにそれだ。
もし本当にお金が一番大事なら、
一番に考えて、減らないように、貯まるように動けるはずだ。
だが実際はそうじゃない。
あれが食べたい
これが欲しい
これをしたい
ここに行きたい
日々感じるストレスをなんとか消すために、お金を使っているのだ。
つまり、本当の心の優先順位は──
「お金が欲しい」よりも「嫌な思い(ストレス)我慢をしたくない」なのだ。
私の子供もそうだが、お金の価値をまったくわかっていない。
「千円とお菓子、どっちが欲しいの?」と聞くと、迷わずお菓子を選ぶ。
そんな子供に「お小遣いあげるからお手伝いして」と言っても意味がない。
でも、「好きなお菓子やおもちゃをあげる」と言えば効果は絶大だ。
極端な話に聞こえるかもしれないが、
実は多くの大人もこれと同じで、お金の本当の価値をわかっていないのだ。
みんな「お金が欲しい」と言いながら、
実際には“お金で得られる体験”にしか興味がない。
そしてその体験の数が圧倒的に少ないから、お金でできることをよくわかっていない
「体験したことがないし、体験しなくても大丈夫」という状態になっているのだ。
ただ体験すればいいと言われても何をどうすればいいかわからない
💬 次回予告
第7話では、どんな体験をどうやってするのか私のおすすめの持論を賛否はあれど書いていきます!
📘 まとめ
ストレスは敵でもあり味方でもある。
感じ方も、貯め方も、そして“活かし方”もすべて価値観で変わる。
価値観は体験で変えられる。
だからこそ、「行動できない」のではなく「まだ体験していないだけ」なのだ。
