012『鬼龍院花子の生涯』(1982)
U-NEXT
監督 五社英雄
脚本 高田宏治
編集 市田勇
撮影 森田富士郎
製作 遠藤武志
製作総指揮 日下部五朗・佐藤正之
出演 仲代達也
夏目雅子
岩下志麻
配信千本ノック012本目。
中学生の頃、毎週土曜日にフジテレビ系で放送していた『ゴールデン洋画劇場』の枠で観たのが初見。
当時は男女の機微などわからない青二才だったので、さっぱり理解できない映画で、当時の五社英雄作品のトレードマークとされていた艶っぽい場面だけが印象に残った。
公開当時は、女優が脱ぐと即「女優開眼」とメディアに騒がれていた時代。
当時から(そういうものではないだろう)と思っていた身からすると、新作が発表されるたびに〈どんな女優が肌を見せるか〉だけが話題になる五社作品は、正直忌避していた。
今回、約30年ぶりに見直してみると、ある種のモンド映画なのでは?という印象を受けた。
冒頭で挿入される闘犬描写、作品を貫く家父長制、そしていわゆる赤線の描写。
戦前から戦中を舞台にしているとはいえ、作品の価値観があまりにも旧世代的で、映画作品というより『映像の世紀』のような記録映像を観る視点へと移行してしまった、と言えば伝わるだろうか。
作品と最も距離を感じたのは、クライマックスの殴り込み前における仲代達也と夏目雅子のやりとり。
春日太一さんの著書『なめたらいかんぜよ』によれば、「この場面の撮影現場ではスタッフ全員が泣いた」とされているが、現在の視点ではグルーミング的関係性にしか見えず、非常に厳しいものがあった。

とはいえ、俳優陣の演技合戦は見応え十分。
幼少期の松子を演じた仙道敦子、そして岩下志麻、夏木マリの輝き、仲代達也の熱量、全てがスクリーンから溢れ出していた。
特筆すべきはやはり夏目雅子。
早逝した彼女が、邦画黄金期から続く日本映画女優の系譜を受け継いだ最後の存在であったことを再認識させられる輝きだった。
629カット。
P.S.
劇中語られる土佐弁。
私の中で最もナチュラルに聞こえたのは『海がきこえる』(1993)
本作における土佐弁、名だたる名優をもってしても聞いた瞬間『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』の南野陽子扮する二代目麻宮サキの言い回しと同じ、と感じたのは ないしょ、ないしょ。

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