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NPD劇場―主役の誕生|第二幕

第一部 陰影の舞台

台本へ差し込む光が、舞台への道筋を指し示していた。
そこに書かれた台詞は、砂にかき消されて見えにくい。
指先でなぞれば、砂はわずかに崩れ、文字の輪郭が現れる。
それを声にすれば、暗闇の奥に父の視線を感じる。
台詞を外せば、空気は重く沈み、砂が足首まで満ちてくる。
どこかで、心の声がする。
しかし、その声は砂が舞うなかに消えていった。

第二部 光の舞台

あるとき、砂が、ときおり無くなることに気づいた。
風が止まり、足首を締めつける感触が消える。
そのわずかな間だけ、暗闇の向こうで、かすかに父の口元が動くのが見えた気がする。
それを確かめようとすれば、再び砂が舞い、視界を曇らせた。

ある日、「この役をうまく演じていれば、この静けさに戻る」ことを知る。
もう、心の声が聞こえることはなかった。
砂風は消え、真昼の砂漠のような強い光が私を照らした。

第三部 静寂の舞台

扉が開き、舞台へ進む。
光が舞台の中央を照らしている。
そこに立てば、私が演じるすべてが、すでに用意されていることを知っている。

その光は私を包み、迷わなくてよいことを教えてくれる。
拍手の音はなかったが、その演技が悪いものではないことを、父の口元が語っていた。

そして、その静けさの中で、私は主役であることを疑わなくなった。


解説

ここでの物語は、父の条件付き愛のもとで役を与えられた娘が、それに適応していく過程を描いている。娘は父が求める理想の演技が分からず、懸命に試行錯誤するが、なかなか答えを見つけられない。やがて父の顔色を読むことで、ついに理想の演技を見つけ出す。その安心感は、砂の消失と真昼の強い光によって表現されている。演技に自信を得た娘であったが、その瞬間、心の声は永遠に封じられ、自己を失った。

あとがき

娘が父親の望む演技を習得していく過程で、父親の感情も娘自身の感情も、まったく描かれていないことにお気づきでしょうか。娘は父親の顔色を伺うことに精一杯で、父親の感情を知ることも、知る必要もない環境で育っています。父親は娘に共感を示すことはありません。おそらく、この父親自身もNPDであり、そのように育てられたのでしょう。さらに、そうした環境の中で、娘は自分の感情も不要なものとして切り捨てていきます。こうして、娘は共感力を持たないNPDとして大人になり、主役を演じ続けることになるのです。



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