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「オフフレーバー」って何だろう——ワインの欠陥なのか個性なのかのあいだで

ワインとオフフレーバー

仕事でワインを扱う場合、基本的なオフフレーバーについては理解しておいたほうがいいと思います。オフフレーバーについて知ることはその香りがあることはどういう環境のもとでそのワインが出来たかを探る手がかりになります。

代表的なものだと

  • ブショネ

  • ブレット(Brettanomyces)

  • マウジー(mousy)

  • 還元

  • 酸化

  • 揮発酸(酢酸、酢酸エチルなど)

くらいでしょうか。まとめてAIに聞くと教えてもらえます。

この記事ではサービスする側の視点からの補足をしていきたいと思います。

基本的にテイスティングして全体のバランスの中でオフフレーバーが気になったアイテムは今のパセミヤではお客様には提供しません。ワイン関係者が来たときにたまたまあればテイスティングしてもらう程度です。
業界向け試飲会などでテイティングして確認した上で仕入れているので自分の店での遭遇率はかなり低いです。

画像はイメージです。

ブショネ

ブショネ(TCA)で悩ましいのは、ほかの風味をマスクしてしまうことです。極端に言うとブショネの味しかしない。

ブショネはコルク以外の原因もあるので、スクリューキャップのワインでもあり得ます。瓶詰め以前のワイナリー内のほかの要因が考えられるので、ロット全体の汚染の可能性がある。

意外と難しいのがスパークリングのブショネ。泡のリフレッシュ効果でトップのテイスティングでは気づかないことが起こり得るので、ブションチェックを慎重にする必要があります。

ブレット

ブレットはブレタノマイセスですが、マウジーは乳酸菌などほかにも複数の要因があるのでわけました。香りはその香りの発生する状況の指標・徴候でもあるので、この香りがする場合は、衛生面、選果、搾汁、発酵、貯蔵、瓶詰め時の不備が考えられます。SO₂の使用を抑えたい場合に、単純に無思慮に使わないだけのワイナリーと、各工程での適切な配慮と作業を行ったうえで使用を控えるワイナリーの違いが現れてきます。

マウジー

マウジー(Mausy)は、海外の方がよく使用する表現で、ほかのオフフレーバーを含めファンキーという方も。ただファンキーは肯定的に使う方もおられるので、どの文脈で言っているか確認したほうがいいです。豆香とよく言いますが、実際にはポップコーンなどほかの香りもします。

最近のナチュラルワインは対処方法が広まったこともあるのか、オフフレーバーの割合は減っているように思います。以前のようにどれを開けてもブレットや還元、酸化といった状況が減った分、対応の悩ましい豆香に出会うことが目立つのかなと考えています。
生産者をきちんと選べば大丈夫ですが。

ほかのオフフレーバーと違うのが、グラスから上がる香りのオルソネーザルではわからず、レトロネーザルで感知する点です。口に含み唾液と混ざりpHが上がることで立ち上る風味ということになります。

個人的興味で、盛大に豆香の出たワインにレモン果汁を加えて酸を調整し、テイスティングしてみたことがあります。豆香は抑えられるのですが、その分ほかのオフフレーバーや苦味が前に出てくるので、ブレタノマイセスや乳酸菌などにより生成される成分はやはり心地よくないものだなと思いました。

ただブレタノマイセスについては、独特のざらつきと甘さを感じるものがあり、人によっては受け入れる方もおられるかもと思っています。

90年代はじめにレストランで働いていた経験からすると、ボルドー、ローヌ、カリフォルニア、オーストラリアの赤ワインはブレット系の馬小屋の香りがしていたものが結構ありました。たぶんこれから何年かすると豆香を抑える手法が開発されるのではと思っています。

還元

還元は、硫黄臭、温泉臭と言われるもので、ひどい表現だと腐った卵とか言われています。最近ほんとに出会う割合が減りましたし、抜栓後しばらくすると気にならなくなります。

酸化

酸化は、傷んだリンゴや過熟のリンゴ的な香りでよく出会いますが、このあたりは許容範囲の個人差があるのか、どこからどこまでが個性で、どこからがオフフレーバーなのか、判断が悩ましいところです。

揮発酸

揮発酸は、ツンと鼻先にくる香りで、ヴィネガーや除光液、塗料の香りですが、これも閾値の個人差がかなりあるなと思っています。気にする方は気にするし、気にならない方も結構おられます。

オフフレーバー全般

ただワインだけでなく食品でも同じ傾向のオフフレーバーを感じることがあるので、ブレットやほかのオフフレーバーも含め、その対象から予測していない、または予測している風味の認知・識別システムの話も関係するかなと思っています。特に気になるオフフレーバーは自分から探しに行ってしまうので結果的に見つけやすくなったりします。

何がオフなのかを決める基準は、対象による違いや閾値を含め、個人差も文化差もあり結構難しい。

ワインの還元臭にうるさい方がオニオンスープやロールキャベツは大丈夫だったりと。ヴィネガードリンクから酢酸のフレーバーがしても気にしないけど、ワインだと気になる。シャルキュトリーや熟成肉からナッツ系の香りがしても香ばしいと好評価するなど。

結局のところ、忌避したくなるものやアレルギーは別として、軽微なオフフレーバーは、料理と組み合わせることで気にならなくなったり、美味しく感じたりもするので、ジャッジは厳しくしつつも、食事との組み合わせのトータルで楽しむのがいいのかなと思っています。

排除すべきエラーと見るのか、許容できるノイズと捉えるかは人それぞれで、部分にこだわるあまり全体の統一感であったり他の要素、もしくは新たな風味の構造の発見を見落としてしまわないようにしたいなと思っています。

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中川善夫(パセミヤ) 自然派ワインとお好み焼きパセミヤ Pasania店主。某店ワインペアリングのアドバイザー、たまに専門学校の社会人向け開業支援クラスの講師も。ご予約、取材依頼、講師などのお仕事の依頼お待ちしております。