セックスレスの原因が分からない夫婦へ——誘う・断る・傷つく悪循環をほどく
こんにちは、夫婦関係修復カウンセラーの沢野まもるです。
「セックスレス 原因」「夫婦 セックスレス 話し合い」と検索してこのページに来た方もいると思います。
「なぜこうなったのか、自分でもよく分からないんです」という声をよく聞きます。
誘って断られる側は「もう求められていないのかもしれない」と傷つき、断る側は「応えられない自分が悪いのだろうか」と罪悪感を抱えます。
どちらも、一人で抱えやすい痛みです。思い切って気持ちを伝えたら、かえって気まずくなってしまった方。何度か誘って断られ、誘うこと自体をやめてしまった方。原因が一つに絞れないまま、「愛情がなくなったのかもしれない」と一人で結論を急いでしまう方も少なくありません。
原因を一つに決めつけると、かえって苦しくなります
もちろん、疲れや体調の変化がきっかけになることもあります。
仕事の忙しさやストレス、更年期など年齢による体の変化が関わることも少なくありません。
でも、そこからなぜ長く続いてしまうのか。そこには、二人のやり取りのパターンが関わっていることが多いんです。
過去の経験や価値観の違いなど、いくつもの要因が重なるうちに、「愛情がなくなったから」と一つの理由に決めつけてしまい、身動きが取れなくなってしまいます。
「なぜこうなったのか」という原因探しをいったん脇に置いて、二人の間のやり取りのパターンに目を向けると、見え方が変わってくることがあります。
多くの場合、そこにあるのは「誘う→断られる→傷つく→誘わなくなる→距離ができる」という循環です。
もちろん、性的なことは、どちらかが我慢して応じるものではありません。断る権利も、求めたい気持ちを持つことも、どちらも大切にされるべきものです。そのうえで、どちらかが悪いのではなく、二人のやり取りの中で循環が育ってしまっている、と捉え直してみてください。
僕自身も、この話題を妻と話すこと自体に身構えていた時期がありました。そのままにしておくと、距離が広がっていくものだと感じています。
心理学が示す「親密さ」と性的欲求の関連
オランダで行われたvan Lankveldらの2021年の調査(対象10,202名)では、パートナーとの親密さや、相手が自分の気持ちに応えてくれていると感じる度合い(応答性)が、性的欲求と関連していることが示されています。
横断的な調査のため「親密さがあれば必ず性的欲求が戻る」とまでは言えませんが、体の関係だけの問題ではなく、日々のやり取りとも結びついている可能性がある、ということです。
レゾンデートル社の調査でも、セックスレス当事者のうち、パートナーと話し合ったことがないと答えた人は男性66.6%、女性75.9%にのぼりました。それだけ、このテーマは夫婦の間でも言葉にしにくいものなのだと思います。
カウンセリング事例:誘う・断るのやり取りに悪循環が生まれていた二人
※以下は、複数の相談事例をもとに、個人が特定されないよう再構成したものです。
石井さん(仮名・40代女性、結婚16年目)は、思い切って夫に「最近、体が触れ合うことが少なくて寂しい」と伝えました。ところが夫から「どう言えばいいか分からなかった」と返ってきて、かえってぎこちない空気が漂うようになりました。
石井さんはこう振り返ります。
「その後、夫が誘ってくれても、無理をさせているんじゃないかと考えてしまって、余計に体が動かなくなったんです」
見えてきたのは、二人とも相手を思いやるあまり、本音を言えなくなっていたということでした。二人が「誘う・断る」という行為だけに注目してしまい、日常の会話や触れ合いが減っていたことが見過ごされていたんです。
二人は、いきなり性的な結論を出そうとするのではなく、その土台になる安心感を取り戻すために、まず一日の終わりに5分だけ、その日感じたことを話す時間を作るようにしました。
数か月後、石井さんは「前より、隣にいて安心できるようになりました」と話してくれました。体の関係もすぐに元通りとはいきませんが、以前のようなぎこちなさはなくなり、少しずつ触れ合う機会も戻ってきているそうです。
木村さん(仮名・50代男性、結婚20年目)は、妻を誘って断られるうちに、誘うのをやめていました。
「拒否されるのが怖くて、聞かなくなったんです。妻はもう、自分を求めていないんだろうなと」
ところが妻に話を聞くと、事情は違いました。「疲れている日もあったし、誘われること自体がプレッシャーに感じる日もあった。でも、あなた自身を拒否しているつもりではなかった」と。
木村さんは「断られることを、愛されていないと思い込んでいたことに気づきました」と話してくれました。二人は、断るときは「今日は疲れているだけ」と一言添えるようにし、誘う側も、それを人格否定と切り離して受け止める練習を始めたそうです。
まだ元通りとはいきませんが、以前のような気まずい沈黙はなくなり、少しずつ距離を縮めているところだと話してくれました。
今日からできること
まず、原因を一つに決めつけないでみてください。複数の要因が重なっている可能性を頭の片隅に置いておくだけでも、話し合いの空気は変わってきます。
次に、誘う・断るのやり取りに、どんな循環が生まれているかを振り返ってみてください。犯人を探すのではなく、繰り返されているパターンそのものを見るだけで、相手への見え方が変わることがあります。
そして、セックスの話をする前に、日常の親密さを積み重ねてみてください。今日あったことを話す、ありがとうを伝える、隣に座る。小さな積み重ねが、必ず体の関係の再開につながるとは限りません。ただ、気まずさや警戒心を少し緩め、話し合える土台を作る助けになることがあります。
ただし、相手が嫌がっているのに求め続ける、断ると不機嫌になる、義務のように応じさせる、過去に性的な傷つきがある——こうした場合は、会話の工夫だけで扱わない方がよいこともあります。無理に二人だけで抱え込まず、専門家の力を借りてください。
完璧を求めなくて大丈夫です。セックスレスは、二人のどちらかが悪いという話ではありません。まず二人の間で何が繰り返されているかを見てみることから、始めてみませんか。
カウンセリングでは、性的なことを無理に聞き出すのではなく、まず二人の間で何が繰り返されているのかを一緒に整理するところから始めます。
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具体的な原因の統計データも知っておきたい方は、こちらもどうぞ。
▶ 3000人調査で見えてくる「セックスレスになった理由と解消のポイント」
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