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【近大国語】2021年度 推薦入試(11/21実施)現代文・大問III 徹底解説

出典:松田美佐『うわさとは何か』

「ネットの情報は信じられるのか?」 現代を生きる私たちにとって、これほど身近で、かつ切実なテーマはありません。今回の近畿大学の入試問題では、松田美佐氏の『うわさとは何か』を題材に、マスメディアとソーシャルメディアの構造的な違いを鮮やかに描き出しています。

「なんとなく」で選択肢を選んでいませんか?近大の現代文を攻略する秘訣は、本文の表現と選択肢を精密に照らし合わせる**「照合の論理」**にあります。この記事では、各設問の正解を導き出す「マスターキー(指針)」を提示しながら、一問ずつ丁寧に解剖していきます。

※本文は著作権の関係で載せられません。過去問の問題は各自用意してください。


■ 問1:傍線部①「放送的な発信」とはどういうことか

【照合のマスターキー】

  • マスメディアの構造: 不特定多数に向けた一方向の発信であり、特定の個人宛てではない。

  • キーワード: 「独占的」「一斉送信」「不特定多数」。

【選択肢の解剖】

  • 1 【×】: 「届け先が重要な機関に設定されている」「双方向型コミュニケーション」の2点が誤り。テレビ等は不特定多数に向けた一方向の発信である。

  • 2 【×】: 「誰にも受信されない情報の発信」が誤り。大勢の人に一斉に情報を送るものであり、受信されないわけではない。

  • 3 【×】: 「特定の数多くの人びとを対象としないダイレクトなパーソナルコミュニケーション」が誤り。これはむしろメールなどの個人的なやり取りを指しており、放送的な発信の対極にある。

  • 4 【◯正解】: 「特定の誰かに情報を届ける通信的なものではなく、大人数に一斉に送信する」という記述が、マスメディアの持つ「不特定多数に向けた情報発信」という特徴を正確に説明している。


■ 問2:傍線部②「誰であるかが特定されないまま」とはどういうことか

【照合のマスターキー】

  • ネットの特性: 発信者の身元が隠されている状態(匿名性)を指す。

  • 論理の焦点: 実生活の個人情報と発信内容が切り離されていること。

【選択肢の解剖】

  • 1 【×】: 「無料」「自由」について述べている点が本文の主旨(身元がわからないこと)とズレている。

  • 2 【◯正解】: 「誰であるかが秘匿されておりわからないようになっているさま」を「個人情報が結びつかない匿名性」と言い換えており、適切である。

  • 3 【×】: 「情報内容をチェックされることのないまま」が誤り。発信者の身元の話であり、内容のチェックの有無を指しているわけではない。

  • 4 【×】: 「特定のうわさを流すようにという特命を受けて」という記述は本文に一切存在しない作り話である。


■ 問3:空欄③に入る四字熟語

【照合のマスターキー】

  • 文脈の把握: ネット上の情報は、有益なものと虚偽のものが混在している。

  • 語意の照合: 「良いものと悪いものが混ざっている」という意味の語を選ぶ。

【選択肢の解剖】

  • 1 【◯正解】: 「玉石混交」である。直前の文で、ネットには「無責任で虚偽の情報(石)」と「有益な情報(玉)」が入り混じっていることが述べられているためである。

  • 2, 3, 4 【×】: 「試行錯誤」「粗製乱造」「大同小異」は、いずれも「良いものと悪いものが混ざっている」という意味を持たないため不適切である。


■ 問4:傍線部③「情報が『ある』ことと『広がる』ことは別物」とはどういうことか

【照合のマスターキー】

  • 拡散の論理: 情報が存在するだけでは不十分で、他者に伝える「納得(妥当性)」が必要である。

  • キーワード: 「接触」→「妥当性のチェック」→「拡散」。

【選択肢の解剖】

  • 1 【×】: 「適切に活用できるかが問題」という、利用者の活用能力の話にすり替わっており、説明になっていない。

  • 2 【×】: 「ユーザーが調べようとしなければ無いのと同じ」というのは「あること」の否定にはなるが、「広がらないこと」の理由ではない。

  • 3 【◯正解】: 本文にある「情報に接触したとしても、情報としての妥当性をチェックされ、そのチェックを通過できない限り広まらない」という論理を正しくまとめている。

  • 4 【×】: 「情報に従うかどうかは利用者本人の問題であるから」となっており、「情報が他者へ『広がる』かどうか」という核心に言及していない。


■ 問5:傍線部④「『根拠』が必要とされる」とはどういうことか

【照合のマスターキー】

  • 信頼の源泉: 情報の妥当性を判断する際、送り手との「関係性」が根拠となる。

  • 言い換え: 「信用できる相手か」=「これまでの交流による推測」。

【選択肢の解剖】

  • 1, 2 【×】: ともに「社会的地位」という言葉を持ち出しているが、本文中に地位が情報の根拠になるという記述は一切ありません。

  • 3 【◯正解】: 本文中の「これまでの付き合いから信用できると判断する(相手との関係性が一つの根拠となり得る)」を、「これまでの交流によって、情報の信頼性をある程度推測できる」と正確に言い換えている。

  • 4 【×】: 「相手に報酬を与えることで」という記述は、本文に全くない不適切な内容である。


■ 問6:傍線部⑤「アンケートでテレビの信頼性が高い結果」の理由

【照合のマスターキー】

  • 組織的信頼: マスメディア固有の「事前チェック体制」に着目する。

  • キーワード: 「複数の観点」「制度的な仕組み」「チェック機能」。

【選択肢の解剖】

  • 1 【×】: 「テレビはソーシャルメディアであるがゆえに」という前提からして完全に誤りである(テレビはマスメディア)。

  • 2 【◯正解】: 本文第4段落に「マスメディアであれば、情報が発信されるまでに複数の観点からチェックを受ける制度的な仕組みがある」と明記されており、適切である。

  • 3 【×】: 「特定の人々を対象にした情報発信」が誤りである(不特定多数に向けたもの)。

  • 4 【×】: 「正確な情報の入手段階を独占している」が不適切である。独占していたのは「不特定多数に向けた情報発信(送信)」である。


■ 問7:傍線部⑥「つながりがうわさを伝える新たな経路になる」とはどういうことか

【照合のマスターキー】

  • ネットワークの変容: 共通の関心が、日常を超えた「信頼の経路」を作る。

  • 論理の連鎖: 「関心による連結」→「交流による信頼」→「経路(メディア)化」。

【選択肢の解剖】

  • 1 【×】: 単にネットの情報の信頼性が低いことを述べているだけで、「なぜ新たな経路になるのか」の説明になっていない。

  • 2 【×】: 「信頼度はマスメディアに比べて年々高まっている」という記述が、本文(「まだ高いとは言えない」)と完全に矛盾している。

  • 3 【◯正解】: 「日常生活では見つけられない同じ関心を持つ人とのつながりが得られ」「コミュニケーションを重ねることで信頼度が高まり」「新たなメディア(経路)になる」というプロセスを正確に要約している。

  • 4 【×】: 「リテラシーが必要」という教訓めいた一般論で締められており、経路の理由説明から逸脱している。


■ 問8:本文の主旨に合致しないものを選ぶ

【照合のマスターキー】

  • データ照合: 2010年の調査結果に関する記述を精密にチェックする。

  • キーワード: 「重要性も信頼性も増しており」。

【選択肢の解剖】

  • 1 【合致】: 利用者それぞれが情報を探し出すプル型の説明として本文と合致する。

  • 2 【合致】: 興味関心によるつながりや、共有しやすい仕組みについて述べられており、合致する。

  • 3 【合致しない=◯正解】: 「2010年になっても信頼性は低いままだ」という部分が誤りである。本文には「インターネットの重要性も信頼性も増しており」と明確に書かれている。

  • 4 【合致】: 交流や情報の共有、新しいつながりによるコミュニケーションの創出について述べられており、合致する。


【最後に:受験生へのメッセージ】

お疲れ様でした。近大の現代文は、一見すると選択肢が紛らわしいですが、**「本文のどこに何が書かれているか」**を正確にスキャンすれば、必ず正解への道筋が見えてきます。

今回のテーマである「うわさ」や「信頼性」は、今後の入試でも別の角度から出題される可能性が高い頻出テーマです。間違えた問題があれば、なぜその選択肢が「捏造」や「すり替え」だったのかを、もう一度本文に戻って確認してみてください。その一歩が、合格への確実な一歩となります。

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