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ハッピネス・イズ・ア・ウォームガン

納屋の扉を開けた瞬間目に入ったのは、壁に飾られている火縄銃だった。 面倒なことになったなと思った。確か、偶発的に銃火器を見つけたときは警察に届け出なければならなかったはずだ。 俺は火縄銃をしばらく凝視して、金具から白色のタグがぶら下がっていることに気づいた。「東京都教育委員会届出済」法的に何らかの手続きを踏んだ上でこれはここにあるのだということだけは分かった。追加の情報が必要だ。高校生である俺の情報源は限られる。まず頼るべきは友人だった。
「よく来たな。では今日もやって行くぞ」髑髏の被り物をした部長が俺を出迎えてくれた。「11月には早すぎる。まだ夏すら来てないぞ」 「タコスが食べたかったんだよな。後、チャプリネスも」つまりまあ、これが郷土料理研究会の日常なのだった。
「火縄銃って、狩りとかに使えるもんなのか?」俺は切り出した。 「突然どうした?」「こないだ地元の猟師さんから、猪とか貰ってきてたからさ」「流石に今時火縄銃は使わないだろう」部長は訝しげに答えた。「まず黒色火薬が手に入らないな。まとまった量を手にするためには資格が要る」「じゃあ仮に火縄銃を持ってたとしても、伝手がないと射撃は出来ない……」俺は最後のタコスに手を伸ばそうとしたが、それより先に部長の手が速く出て皿ごと搔っ攫っていった。「悪いな」部長は残ったサルサソースとレタスを手で掬い集め、真っ赤になった手でタコスと一緒に一口で食べた。「これが一番美味い」満足げに言った。
その時だった。窓の外からどんという音がして、俺と部長は思わず顔を見合わせた。およそ学校で鳴る音ではなかったからだ。日常を超えた何かが起こった。そう実感した。非常ベルも鳴り響かない、校内放送もない。近くの部室からざわめき声が聞こえる。「あのさあ」長い沈黙の後、部長がぼそりと呟いた。「俺もよく聞いたことないんだけど、火縄銃ってこんな音がするんじゃないか」
【続く】

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