荒れた生活から犯罪へ
何もかもが嫌になり、何もかもが信じれなくなった20歳頃の僕は心を閉ざし、自分が騙されない為に他人を騙す術を身につけていきました。
同じように弟も僕を真似て普通な人生を歩むことから遠ざかり、抜け出せなくなっていきます。
その頃、弟は反社会勢力の親を持つ女性と付き合うようになり、後に子供を授かり入籍することになります。そうした中で弟は、より裏の世界へと入っていきます。
僕自身も真面目に生きるのが馬鹿らしくなっていた事もあり、弟から「一緒に仕事しないか?」と誘われ、裏の世界に入る事になんの戸惑いも躊躇もなく二つ返事で共に裏の世界で稼いでいくことになります。
弟と始めたのは、軽油の密造という稼ぎでした。重油を仕入れ、特殊な薬品を使用し、撹拌→ろ過→抽出の工程をたどり、色や比重など軽油に近いものを製造するといったものでした。
稼ぎとしても月に100万ほど受け取りました。こんなに簡単にお金が稼げるんだと驚きもありました。今までの努力が馬鹿らしくなり、心の奥にあった「お金の力」が顔を出し、更に惹かれ溺れていくようになります。
稼いだお金は、車をいじったり、飲み屋などに大半を使い、特に飲み屋(キャバクラ)は自分の金の権力を知らしめるために、ほぼ毎日通い、人を呼び奢ったりしていました。そうすることで「付いて行きます」という人も増え、自分の自尊心を満たしていました。
そして逆らう人には、暴力で恐怖を覚えさせ、軽油以外でも人を使って稼いでいくようにもなっていきます。
『裏切り』には過敏に反応し、躊躇なく暴力で制裁を行っていました。もうその頃には人を騙すのも、暴力で傷つけるのも罪悪感も何もなくなり、良心を閉じ込め欲に溺れていきます。
その頃、一度だけ元の自分に引き返せるチャンスは、ありました。それは、小学校からの1つ上の友人が僕の所に来て
「今のお前のままなら、もう友達をやめる」
と訴えに来たのです。ですが、その頃の僕は、その彼を疎ましく感じており『消えてほしい』と思っており、使える人を呼びお金を渡し、暴行を加えさせました。
それから彼とは会うこともなくなりました。今思えば、そこが最後のチャンスだったと思います。
唯一止めてくれる友を失い、僕は逆に安堵し更に「お金と暴力」に嵌っていきます。
“騙される前に騙す“、“利用される前に利用する”、“逆らうやつは徹底的に脅す”、“金と暴力をうまく使い分ける”…これが僕の軸となり、確固たるものになっていきます。
そうした生活をして行く中で、よりお金がほしい。増やしたいと自分の欲望に忠実になっていました。周りが見えていなかったということもあります。
美味しい話にはすぐに飛びつき、荒稼ぎをしていました。
そんなある日、投資をしないかと持ちかけられました。
その人は、元々反社会勢力の人でもあり、僕はその話にのり、多額の金額を注ぎ込みました。
しかし、いつになっても利益が出ず、なんの連絡もない。
また、その人は母の近くに住んでおり、よく母を誘い朝のモーニングや、食事、買い物なども行ってました。
金銭でしつこく言い寄ってくると、母から困っているという話も聞いてました。
一度話をして、お金も返してもらいたい、母にも近づかないで欲しい旨を伝えに会いましたが、お金は無くなり、投資は自己責任だと突っぱねられ、母の件も知らぬ存ぜぬ…。
そこで、僕は沸々と怒りが込み上げ
『絶対に許さん。思い知らせてやる』と、怒りの感情に飲み込まれていきました。
そして、その話を弟にも伝え、2人で出した答えは
『金を取り返し、制裁をする』
でした。
弟を連れ、空も暗くなる3月の夕刻だったと思います。
相手が家にいるのを確認しドアフォンを鳴らしました。
しばらくすると「はーい」と鍵を開け、ドアを開けてきました。
僕は間髪にドアを大きく開き、その瞬間に弟が相手に体当たりをし、執拗に暴行を続けていました。
そして、僕は「金を返せ。どこにある?」と相手に凄み、現金30万と通帳とカードの在り処を吐かせ、カードの暗証番号を聞き出し、その家を後にし銀行に行きお金を100万程引き出しました。
弟と山分けをし、何事もなく帰りました。
そして、同じ時期に僕と弟はネズミ講をやっており、そこの胴元にもうまく騙されていたので、取り返す計画を立てていました。
すると、兄が「美味しい話しがあったら、俺もやりたい」と来たので、次は兄と僕とで、胴元であるマンションへと、夜遅くに向かいました。
そこでも同じようにドアフォンを鳴らし、出て来たところを押さえつけ、金品を奪いました。
そしてまた、何事もなかったように解散し、何事もなかったように生活していました。
数日たったある日、真夜中に刑事が来て逮捕されることになりました。
あっけなかったなと、そして自分の中で「終わった」と、反省や懺悔よりも、自分の人生を悲観していました。
これが、僕が24歳の時です。
次回は「逮捕から刑務所へ」と、お話をさせていただきます。
