リハビリはゲーム感覚で!1:動かない体、動き出した物語《脳梗塞(脳卒中)の“前向き”闘病記》
「闘病生活は唐突に始まった――」
これは、ただの闘病記ではありません。
45歳で突然、脳梗塞に倒れた主人公――。
物語は “患者の視点”と“家族の視点” の両方から描かれ、
「知識」と「感動」が自然に得られる、新しいスタイルの闘病記 です。
読み進めるうちに、リハビリの工夫や脳卒中の知識が、ストーリー体験として身についていくでしょう。
専門書のように難解ではなく、体験記のように一面的でもない。
物語を追うだけで、役立つ知識が自然と心に残ります。
そして同時に、“違和感”が散りばめられていることにも気づくはずです。
その断片はやがてつながり、第一部の最終話で大輝自身の大きな気づきへと結実します。
まずは 無料で読める序盤 から、確かめてください。
🧠この話には、医学的見地からの解説があります。物語とあわせて読むことで、脳梗塞の理解がより深まります。ぜひご確認ください。
はじめに
ある朝、突然倒れた和泉大輝(45歳・会社員)。
診断は、脳幹部の梗塞。
体は動かず、声も出ず、世界は一変した。
不安と絶望のなか、支えてくれたのは、
最愛の妻・花菜と3人の娘たちだった。
「家族のために、絶対に立ち上がる」
そう誓った男が始めたのは、“ゲーム感覚”のリハビリ生活だった。
本作におけるリハビリの内容や回復の経過は、私自身が歩んだ実体験に基づいています。
この物語は、そんな現実を前向きに乗り越えていく希望の記録でもあります。
※本編には、病気、身体の麻痺、生命への不安など、センシティブな描写が含まれます。
心身に負担を感じる可能性のある方は、無理のない範囲でお読みください。
それでは、物語の始まりです。
第一部 夢か現か(うつつか)―交錯する現実と希望
第一話 動かない体、動き出した物語
2025年2月24日
目覚めた瞬間、俺の身体は裏切っていた。
背筋を這うような冷たい悪寒が、全身を支配していたのだ。
昨晩のめまいが、
ただの疲れではなかったことを今さら思い知る。
動かない手を見つめながら、俺は呟いた。
「・・・これはヤバいんちゃうか」

「花菜! 救急車、呼んでくれ!」
掠れる声で叫んだ。
喉が締め付けられるように動かない。
妻の花菜(はな)が駆け寄ってくる。
彼女の瞳には、心配と、“そんな大げさな”という戸惑いで揺れていた。
その指先がスマホを握る瞬間、
ほんの一瞬、
ためらいを見せたのが分かった。
俺、和泉大輝(いずみだいき)、45歳。
システム会社に勤めながら、忙しいけれどそれなりに充実した日々を送っていた。
可愛い妻と3人の娘たち、そして愛犬の幸(こう)。
愛する家族に囲まれた、ポジティブ思考だけが取り柄のおじさんだ。
好きなものはお酒、ごはん、花菜と一緒に見るドラマ、
そしてゲーム。
最近は仕事に追われてどれも中途半端だったが、
人生それなりに楽しんでいた。
こんな朝を迎えるなんて、
想像もしていなかった。
けたたましいサイレンが、現実を引き裂くように響いた。
救急車の閉ざされた空間で揺れるたび、
自分が崩れていくような気がした。
体が動かないことよりも、
このまま“何か”が終わってしまうような恐怖に、
全身が締めつけられていた。
花菜がそっと手を握ってくれる。
「大丈夫、すぐ病院だよ」
冷静な声で囁く彼女に、
俺は安心を覚えた。

病院に着いた。
消毒液のツンとした匂いが鼻をつく。
白いカーテンの向こうで、医者たちの低い囁きが聞こえる。
MRIの機械音が、頭の中で不気味に反響した。
いくつもの検査を受けたけれど、
原因はすぐにはわからなかった。
「とりあえず、入院して様子を見ましょうか」
医者の言葉に、俺も花菜も、
まだどこか楽観的だった。
心臓がドキドキと高鳴っていたけど、
俺はまだ楽観的でいようとしていた。
「脳幹部に梗塞が見つかりました。
脳梗塞です。」
医者がカルテを手に静かに口を開いた。
身体の中から、
音が消えていくのがわかった。
脳梗塞
その言葉が凍りつく。
世界がスローモーションに変わる。
医者が何か続けたけれど
・・・俺の耳には届かない。
花菜はその場にいなかった。

「死ぬのか?」
頭の中でその言葉がこだまする。
いや、そんなはずはない。
ぼんやりした意識の中で浮かんだのは、
花菜がキッチンで食事を作りながら口ずさむ姿と、
子どもたちの無邪気な笑顔だった。
それが、俺のかけがえのない日常だった。

すべては、ここから始まった。
だが、まだこの時俺は、
生き延びるということが、
どれほど厚い壁なのか・・・
想像もしていなかったのだ。
以下から、すぐに続きが読めます
作者コメント
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
初めまして、和泉大輝です。
大輝と花菜の“リハビリと家族の物語”
読んでくださる方の心の中に、少しでも何か残るものがあれば嬉しいです。
物語が進む中で、ふとした違和感が、やがて静かに、すべてを動かしていく気づきへとつながっていきます。
その先にどんな想いが芽生えるのか。
最後まで見届けていただけたら、嬉しいです。
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