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『最強の生き方』アーノルド・ベネット(著)の書評・レビュー

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これは、なかなかに凄い。

そこいらのオッサンが言いそうな、つまらない説教が延々と書かれた本、という感じである。

具体的には……

この世にはまったく無駄なものなど何ひとつないのだ。

広い視野で生きたほうが、人生は豊かになる。

誰かのために何かをしたい、という思いを持つことこそが大切で、活動の大きさは関係ない。

という具合の紋切り型とも言えそうな台詞が、いくつも登場する。

たいそうご立派な話だが、「なぜ、そうなのか」「どうして、そう思うのか」についての記述が弱すぎる。

それもまた、ありふれた内容でしかないということだ。

どうも、自らの説について反対の側から見て、考察を深めていくというような態度が欠落しているようである。

「あるいは、こういうことを言う者もいるかもしれない」というように、自ら合いの手を入れる部分はあるのだが、それも微妙にズレてるという感しかない。

当たり前にすぎる主張も多く、「学校の勉強だけが勉強ではない」「心の持ち方が幸せを決める」「心と体のメンテナンスを怠るな」などと、鼻白むようなものが目白押しだ。

また「目的地を見すえて出発せよ」としたすぐ後に、「最初から的をしぼらない」と言ってみたりする支離滅裂さも兼ね備えており、大変に立派なものである。

まるで、酔っ払ってしゃべった内容を編集者がまとめたのかとさえ思わされるような、珠玉の腐れ説教集となっているので、見逃せない。

そんなわけなので、「私はそう感じる」というだけの話にすぎないことが、延々と書かれているとの印象を持たされた。

そして、その主張の多くは「投げっぱなし」であり、かつ「どこかで聞いたことがあるような、至極ありふれた主張」なのである。

言うなれば、慣用句をながなが聞かされ続けるというような類いの話になってしまっている。

つまり、「私は、情けは人の為ならず、だと思う」とか、「そして私は、人の噂も七十五日、と感じるのだ」とかいうような。

語り口だけは端的であり、いくらか勇ましいようでもあるのだが、有り体に言うなら、「小利口で独善的」とするのが、たぶん似つかわしい。

それにしても、これは一体に、何のための本なのだろうか。

おそらく筆者と同じく、どこかで聞いたことがあるような凡庸な考えを持つ、少なからぬ人たちのための本なのだろう。

そして、「筆者が同じことを言っているので、やはり自分の考えは正しいのだ」と、再確認することが目的であると思われる。

とどのつまりは、自慰行為のための本というわけだ。

おそらく原題と思われるが、表紙に「How to Make the Best of Life」と書かれている。

おおよそは、「人生を最善のものにする方法」といった感じの意味合いだろう。

そして筆者にとってのそれは、「たとえ凡庸であったり、支離滅裂であったりしても、単に自分が正しいと感じたところの台詞を振り回して生きる」ということであるのらしい。

よってゆえに、「これは酷い」という思いを味わいたい方には、一読をお勧めする。

逆に、面白いと言えば面白いので。

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