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inagakijunya
世界の旗が風になびく
最初にそれを見たのは去年の夏だったと思う。旅行で高速道路を車で走っていると、英国国旗やイングランド国旗が高速道路にかかる橋に掲げられていた。最初は、それが何を意味をするのかわからなかったが、EU離脱や移民制限といったナショナリズムの強いメッセージであることがわかった。この運動は地方を中心にイギリス各地で広がっていき、ついに私の住む街のラウンドアバウトや街頭にも、イギリス国旗がいくつも掲げられるようになった。私は特に政治的な思想があるわけではなく、世界情勢を考えると十分理解できる点もあるのだが、外国人としてイギリスに住む者としてはどこか居心地の悪さを感じた。
私が渡英したときに感じたのは、イギリスの懐の深さだった。伝統を守りつつも、新しいものを取り入れる。様々な民族や人種が共存する街だった。それは人は違って当たり前と感じさせてくれる。生きるのが随分と楽になった。ロンドンの街は様々な言語が飛び交い、賑やかで活気で溢れていた気がする。最近は異常な物価高も相まって、なんとなく住みにくい国になってきたなと感じてしまう。大好きなユニオンジャックが少し違った意味合いで使われ始めると旗を見る度にちょっとだけため息が出る。
ある日、いつものように例のランドアバウトを回ると、ユニオンジャックの隣に見慣れない光景があった。誰かが世界各国の国旗を掲げたのだ。日本の国旗もあった。色々な人がいて、色々な考えがある。すべてが一緒である必要はない。今日はなんだか心が軽くなって少しだけ上を向いて歩いた。
