恵比寿映像祭2026「あなたの音に|日花聲音|Polyphonic Voices Bathed in Sunlight」 ~小森はるか作品に静かな感動を味わった一日

この日は昼過ぎに髪を切ってから、菊名の渋そばで遅いお昼をさくっと済ませた後、その足で恵比寿の写真美術館で開催中の「恵比寿映像祭」へと向かった。

20260222_恵比寿映像祭01
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今年の恵比寿映像祭の総合テーマは「あなたの音に|日花聲音|Polyphonic Voices Bathed in Sunlight」である。メインキュレーター・邱于瑄(チィウ・ユーシュェン)氏による台湾語を起点としたテーマで、「日花(ジッホエ)」と「聲音(シアーイン)」を組み合わせ、木々の間から差し込む光のように様々な声(音)が響き合い、重なり合う多層的な表現を表している。写真・映像・サウンドなどを通じて、多様な声が交差するポリフォニーを体感できる祭りとなった。

公式サイト:https://www.yebizo.com/

15時半前に東京写真美術館に到着し、まずは3階の展示から見て回る。

目当ては小森はるか監督のコミッションプロジェクト作品2本である。インスタレーション形式で鑑賞した『おあがりんちょ』(56分53秒)と『いつも茶畑で歌っていた』(37分59秒)は、どちらも心に深く残る優れた作品だった。

『おあがりんちょ』

佐藤真監督『阿賀に生きる』の製作発起人・旗野秀人さんの妹である中村美奈子さんの日常を、静かに淡々と追ったドキュメンタリーである。夫を亡くし、阿賀の土地で一人暮らしをする美奈子さんのストイックで言葉少ない生活からは、土地に根ざして生きる人の強さがじわじわと伝わってくる。何より印象的だったのは、美奈子さんが発するひとつひとつの言葉の重みである。静かな感動に包まれ、観終わったあとも余韻が長く続いた。

『いつも茶畑で歌っていた』

静岡の地名(じな)を舞台に、製茶工場の閉鎖に伴い茶畑農家が廃業していく過程を、小森監督が自らの実家の茶畑とともに記録した作品である。かつて土地に根ざした生活が終焉を迎える喪失感を、家族たちのなんとも言えない温かさが優しく包み込むような印象を受けた。こちらも大変に良かった。

小森はるか監督は、小川プロ出身の福田克彦監督が1985年に撮った『草とり草紙』に強い影響を受けていると以前から語っている。『おあがりんちょ』で見せた日常を静かに追うスタイルは、まさにその影響を感じさせるものだという。『草とり草紙』は、三里塚の空港建設反対闘争が続く中で暮らす農民・染谷かよさんの日常を記録した作品であるが、残念ながら未見である。配信もないようなので、どこかでの上映を心待ちにしたい。

小森作品の字幕で使われている角のない柔らかなフォントも、なんとも言えない優しい雰囲気をかもし出していて好ましい。

20260222_恵比寿映像祭09
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その後、2階やB1階の他のインスタレーションも見て回ってみたが、どれもユニークで興味深い作品ばかりだった。

Ripples Reflrcted by Picture Sugoroku

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侯怡亭〈歷史刺繡人 Lı̍k-su Tsiam-tsi lang―帝国婦〉より、2019年

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侯怡亭《所有的小姐 Soo-ū-e sio-tsia》(レイディたち)2015年

20260222_恵比寿映像祭12
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言語楽器《パロール・シンガー》田中未知/高松次郎

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FAMEME《Duri-grance by FAMEME》(2026)

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20260222_恵比寿映像祭16
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張恩滿《蝸牛樂園三部曲-啟航或終章》(カタツムリ楽園三部作-出航か終章か)2021年

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鶴巻育子〈ALT〉より 2024年

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トモコ・ソヴァージュ《Barrissando》2020年

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キュンチョメ《海の中に祈りを溶かす》2022-2023年

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《Kiss, or Dual Monitors 2026》 2026 年(恵比寿映像祭ヴァージョン) 

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今年の恵比寿映像祭は、静かな日常の力強さを描く小森作品をはじめ、音と光、記憶と土地が織りなす多層的な表現が揃い、テーマである「Polyphonic Voices」の豊かさを存分に体感できる充実した内容だった。様々な声が響き合うこの祭りの場に身を置くことで、改めて映像表現の奥深さと可能性を実感した。


帰り際、モスバーガーがベトナム人の店長を育成するという記事がネトウヨの怒りを買っているという、どうしようもない話をネットで読んだ。そこでさっそくモスバーガー恵比寿店に立ち寄り、モスバーガーとオニオンリング、フライドポテトを買って持ち帰ることにした。

電車の中で油の匂いが漂って周りに文句を言われないか、少しヒヤヒヤしながら帰宅。地元の駅のコンビニでビールを買い、モスをビールのつまみに食べ始めたらあまりにも美味しく、ついつい飲みすぎてしまった。結局風呂にも入らず、そのまま寝落ちしてしまったというオチである。

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※2026年2月21日(土)東京都写真美術館にて鑑賞。

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