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授業中に必要なときにノートを取らない子ども

〜「怠けている」ではなく「困っている」かもしれない〜

はじめに

「この子、どうしてノートを取らないのだろう?」

授業中、先生の板書を前にしても、
他の子がメモを取っている横で、何も書こうとしない子がいます。

「やる気がないの?」
「集中していないのでは?」
「サボってるのでは?」

そんな印象を受けてしまいがちですが、
その行動の背景には、「意図的に書かない」のではなく、
「書けない」「書こうとしても間に合わない」などの困り感が潜んでいることが少なくありません。

この記事では、ノートを取らない子どもが抱えているかもしれない困難に注目し、
私たち大人ができる理解と支援の方法を一緒に考えていきます。



1. 「ノートを取らない」のではなく、「取れない」こともある

まず最初に大切なのは、
「ノートを取らない子=やる気がない子」と短絡的に捉えないことです。

ノートを取るという行為は、実はとても複雑なタスクです。

  • 黒板の文字を目で追う

  • 内容を理解しながら要点を見極める

  • 自分のノートに写す

  • 書いている間に次の話を聞く

  • 書きながら内容を記憶にとどめる

この一連の動作には、注意力、視覚処理、言語理解、記憶、運動機能の連携が必要です。

そのため、発達に凸凹のある子どもにとっては、
「ノートを取る」こと自体が非常に負荷の高い活動になり得ます。


2. ノートを取れない子どもが抱える5つの困り感

2-1. 処理速度が遅くて間に合わない

話のスピードや板書の進行に対し、
書くスピードが追いつかない子どもがいます。

特に、「書きながら聞く」というマルチタスクが苦手な子どもは、
板書の途中で思考が止まり、結局書けなくなってしまうことがあります。

2-2. 聞く・読む・書くの切り替えが難しい

ノートを取るには、「黒板を見る → ノートに書く → また黒板に戻る」といった視線の移動や注意の切り替えが必要です。

これがスムーズにできない子どもは、
一度黒板を見るとノートに戻れない、またはその逆、という状態に陥ることがあります。

2-3. 書字の困難(書くのが苦手)

書字に苦手さがある子どもは、
字を書くこと自体に大きな労力が必要です。

  • 字形が思い出せない

  • ひらがな・漢字のバランスが取れない

  • 手が疲れる/痛くなる

こうした困難は、**発達性ディスグラフィア(書字障害)**の可能性もあります。

2-4. どこを書けばいいかわからない

視覚認知の課題があると、
板書のどこが重要で、何をノートに書けばいいのかがわかりにくくなります。

その結果、書くこと自体をあきらめてしまう子どももいます。

2-5. ノートを取ることの意味がわからない

「どうせあとでプリントもらえるし」
「覚えられないから意味ない」
そう思っている子どもは、そもそもノートの目的に価値を見いだせていないかもしれません。

これは、学び方や学習習慣の理解に関わる問題です。


3. ノートを取れない子どもにどう対応する?

「書けないなら、仕方がない」と放置するのではなく、
“学ぶ意欲”と“理解の機会”を守る支援が大切です。

3-1. 板書内容の提供(ICT活用・プリント)

  • 板書を写真で配布

  • タブレットで画面共有

  • 教師の板書をあらかじめプリントして渡す

これにより、「書く負担を減らして理解に集中する」ことが可能になります。

3-2. 部分的に写す工夫

すべてを写すのではなく、
空欄部分だけ自分で埋めるプリント形式にすると、負担が軽くなります。

例:
「漢字の読み方のまとめ:□ → よむ、□ → きく」

など、最も重要な語句だけ自分で書く形にすると、自主性と学習効果の両方が高まります。

3-3. 書く以外の記録方法の導入

  • ボイスメモに録音する

  • タブレットで音声入力を活用する

  • スマホで板書を撮影しておき、あとで振り返る

これらの方法は、「書く力に偏らずに情報を記録する」手段として有効です。

3-4. サポート役(学習ペア・支援者)の活用

隣の子とノートを見せ合える関係性を育てる、
または特別支援員がサポートとしてつくなど、周囲の支援リソースの活用も重要です。


4. ノートを通じて「学ぶ力」を育てる視点

ノートを取ることは目的ではありません。
学びを深め、あとから振り返るための手段です。

子どもが「ノートを取れない」ことで、
「わからないまま終わる」ことがないように、
その子なりの学び方を一緒に探していく視点が大切です。


5. 保護者ができること

  • 家庭でも、テレビや本の要点をメモする練習をする

  • 子どもと一緒に「どうやって覚えるとラクか?」を話し合う

  • 書くことがつらい様子があれば無理にさせない

「ノートを取らない=だらしない」というレッテルを貼るのではなく、
苦手さに寄り添い、代替手段を一緒に考えることが子どもの安心につながります。


おわりに

「ノートを取らない子」は、
本当に“やる気がない”のでしょうか?

私たちが「できて当然」と思っていることが、
子どもにとっては「とても難しいこと」かもしれません。

大切なのは、
「なぜ書けないのか」「どうすれば伝えられるのか」を一緒に考えること。

ノートが“書ける・書けない”にとらわれず、
子どもの理解と意欲が育つ学びの場を作ることこそが、私たち大人に求められている支援のあり方です。

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