落ちたお月さん【3つのお題に空想のひらめきを】
日本むかし話に挑戦しました。
2,000字ほどありますので、お時間ある時に、お読みいただけると嬉しいです☺️
よろしくお願いします🙇
🎈お題①:「月を拾った子ども」
🐾お題②:「虹のかかる峠」
⏳お題③:「雨を呼ぶ小鳥」
むかしむかし、あるところに、太郎という元気な男の子がいました。
ある日の満月の夜、太郎は窓から月を眺めていると、月がゆっくりと下に移動し、ついにボチャンと池に落ちてしまいました。
太郎が慌てて池に向かうと、月はぷかぷかと浮いたまま、照れたように言います。
「池に写った自分見てたら、見惚れてもうて、落ちてもうたわ!」
太郎は、呆れ顔で月に言いました。
「落ちてまうまで下に降りてくるなんて、うっかりなお月さんやなぁ!
まぁ、確かに、今日のお月さん、ええ色してるもんなぁ〜」
すると月は嬉しそうに少し興奮して言います。
「そやねん!
あんた、話がわかるやないの~。
誰でも見惚れるっちゅうねん!」
「……まぁ、池落ちるほどちゃうけどな」
「言えてる〜!」
2人はひとしきり笑い合い、落ち着いた頃に太郎が言います。
「……ほな、おいら、そろそろ帰るわ!
お月さんも、はよ、空に帰りや〜」
太郎は月に手を振り帰ろうとすると、月は慌てて言います。
「ちょお、待って!!
こんなところに置いて行かれても、うち1人では帰られへんのよ!!
……ちょっとあんた、空にほってくれへん?」
「ええー!!
帰られへんのに落ちてきたん!?」
太郎が、渋々月を持ち上げます。
「まぁまぁ、重いなぁ…」
ブツブツ言いつつ、ポーンと月を空にほおり投げますが、しばらくすると落ちてきました。
「……あかん、高さが足りひん……。
もっと高いところでほおり投げてもらわへんと、空に帰られへんわ……」
しょんぼりする月をみて、太郎はしばらく考えてから言います。
「そうや!!
明日、ここから少し歩いたところに峠があるから、峠のてっぺんからほってみようか!」
「ええの!?
助かるわぁ〜。
ほな、明日、頼むな!!」
ニコッと笑う月は、ピカリと明るく光りました。
次の日。
太郎は月を持って峠に行きました。
そして、思いっきり空に投げてみましたが、やはり落ちてしまいます。
「あとちょっとやねんけどなぁ……。
ここより高い峠はないんやろか?」
太郎は腕を組んで考えますが、今いる峠が一番高いので、困ってしまいました。
すると近くの木で一部始終を見ていた小鳥が声をかけてきました。
「お困りのようやな。
オレが手伝ったろうか?」
太郎は、小鳥の近くに寄って言います。
「ほんまか!?
鳥ならお月さん掴んで飛べるやろうし、ちょっと頼むわ!
まぁまぁ重いけど、いける?」
小鳥は月を掴んで持ち上げようとしますが、全く持ち上がりません。
「重っ!!
こりゃ無理や、無理!!
こんな重いもん、掴んで飛べるかいな!!」
小鳥が根をあげていると、月が少しむくれた様子で言います。
「なんやの、さっきから二人して重い、重いて……
今はな、ちょうど満月やから、ふっくらしてるだけやで?」
「ほな、半月まで待つか」
「えー!!
あかん、あかん!
月うさぎとお団子作る約束してんねん〜。
なんとかならへん?」
「団子食うから、重なんねん!!」
万策尽きた……という雰囲気が漂い始めた時に、はたと、小鳥が言います。
「……ここより、高い場所に行って、空にほおり投げたら、お月さん戻れるんやな?」
月と太郎はコクコクと頷きます。
小鳥はふんぞり返ってさらに続けます。
「聞いて驚け。
なんとオレ様には……雨を呼ぶ力があんねん!!
すごいやろ、オレ!!
今日はええ天気やから、ちょっと雨を降らせたら、ここの峠と向かいの峠にきれ~な虹がかかるわ。
その虹の一番高いところから、お月さんほったらええねん!」
「何その能力!!
すっげ〜!!」
「なんやの〜!
出し惜しみしてたん〜?」
太郎と月は喜んで、小鳥に雨を呼んでもらうことにしました。
小鳥は木の上に登り、小鳥らしからぬ声量で歌を歌い始めました。
しばらくすると雨雲がやってきて、雷鳴と共に桶をひっくり返したような雨が降り始めました。
「豪雨やないか!!」
太郎と月は慌てて木陰に避難します。
「このくらいの〜🎵
雨やないと〜🎵
しっかりした虹にならへんのや〜🎵」
小鳥は空気を震わせながら歌い続けました。
徐々に雨足が弱まり、雨が止むころに、太陽の光で虹が浮き出て、向かいの峠に虹がかかりました。
七色に光る虹は固い橋のようで、太郎は月を抱えて、虹の上をのぼります。
一番高いところまで行くと、太郎はしっかりと足を踏ん張って、月を思いきり空高く投げました。
すると月が
「あ、いける!!
戻れそうやわ!!
おおきにな~!!」
と言い、無事に空へと戻ることができました。
太郎は虹の橋を降りると、小鳥にお礼を言い、また遊びに行くわ!!といってお別れしました。
その日の夜のことです。
太郎が窓から月を眺めていると、月に呼ばれている気がします。
なんとなく外に出ると、空から白いお団子が落ちてきたので、太郎は慌てて受け取りました。
「空に戻してくれたお礼やで~。
出来立てやからうまいで~」
「すっげー!!
お月さんのお団子やん!!
ありがとうなぁ〜!」
そういって、太郎はさっそく一つ食べました。
もちもちとしてとても美味しいお団子だったので、明日、小鳥にも持って行こうと思うのでした。
おしまい。
