雨の日の戦いごっこ【3つのお題に空想のひらめきを】
昭和ノスタルジーに挑戦しました。
1,400字ほどあります。
よろしくお願いします🙇
🎈お題①:「雨の日の長靴」
🐾お題②:「おつかいの帰り道」
⏳お題③:「線香花火」
ある雨の日のことです。
ケンちゃんのお母さんが、ケンちゃんに言います。
「ケン~、醤油、きらしてもうたから、買いに行ってくれへん?
あと…」
「ことわる」
ケンちゃんはお気に入りの漫画雑誌から目を離さずに言います。
「いけずなこと言わんと、買い物してきてや。
おつりでお菓子、買うてもええで」
ケンちゃんはシトシトと降る雨を横目でチラッと見て
「ことわる。
今、手が離されへん」
と言って、漫画を読み続けます。
ケンちゃんのお母さんは、ジトッと寝そべって漫画を読み続ける息子の姿を見て、ふと部屋の片隅に置いてある戦隊ものの剣に目を向けて言います。
「……水を操る、ドラゴン・ジェットなら……
買い物、行ってくれるんやろうな……
雨嫌いなケンには、難しいことやったな……」
それを聞いたケンちゃんは、すかさず剣を手に取り、ピシッとポーズを決めて言います。
「どんな悪い奴らも、ドラゴン・ジェットに勝てるやつはおらん!!
水を操り、水とともに生きるドラゴン・ジェット!
ここに参上!!」
ケンちゃんのお母さんは、盛大に拍手し、ケンちゃんにお金と買い物かごを持たせました。
ケンちゃんは腰に剣をつけ、長靴をはき、傘をさして、意気揚々と買い物に行きます。
お母さんに頼まれたものとお菓子を買ったケンちゃんは、陽気に鼻歌を歌いながら家路につきます。
途中、見えない敵と何度か戦っていると、さつきとこより姉妹に会いました。
こよりはケンちゃんと同い年で、さつきは三歳年上です。
「ケンちゃん、買い物?
あ、腰につけてる剣、ドラゴン・ジェットの剣やん。
私は、美少女戦士レッド&ブルーのブルーステッキ持ってるで!
ブルーは水を操るからな!」
こよりはそう言って、ブルーステッキをケンちゃんに向けて、ピカピカと光らせました。
ケンちゃんも負けじと、ドラゴン・ジェットの剣を振り回します。
ケンちゃんとこよりの戦いごっこが始まったので、さつきは苦笑いしながら、おもちゃ屋の軒下に避難します。
二人は大きな水たまりに飛び込み、長靴でバシャバシャと水を跳ね上げます。
長靴の中に水が入って冷たくなるのも気にせず、夢中で泥水を蹴り合いました。
「こより!!
いい加減やられろ!!」
「ケンちゃんこそ、だいぶ攻撃受けてるで!
ケンちゃんが負けて!!」
一歩も譲らない二人の間に、五時を知らせる音楽が流れます。
買ってきた花火の袋を大事そうに抱えていたさつきが、おもちゃ屋の軒下から笑いながら声をかけました。
「五時になったから、戦い終わり~。
なんで、正義の味方同士が戦ってんねん!」
騒ぐ二人をさつきがたしなめるように続けます。
「ケンちゃん、今日は雨やけど、晴れたら一緒に花火しようや。
ようさん、買うてん。」
「花火!?
やるやる!!
こより!
勝負の続きは、線香花火でやるで!」
「望むところやで!!」
三人は手を振りながらそれぞれの家に帰りました。
帰宅したケンちゃんを見て、お母さんはびっくりします。
「あんた、買い物行くだけで、なんでそない濡れてんの!?
あーあ、長靴の中まで、びちょびちょやないの…」
「男には、避けて通られへん戦いがあんねん!!」
ケンちゃんは濡れた服を着替えながら、窓の外を見ます。
雨が止めば、線香花火の戦いが待っています。
(てるてる坊主、作ろっと…)
ケンちゃんは逸る気持ちのまま、てるてる坊主を作り始めました。
おしまい。
片桐みかんさん、いつもマガジンに乗せて頂きありがとうございます☆彡
