【エッセイ】これだけですよ【アマノ文筆クラブ】
アマノ文筆クラブさんのお題で、とある人物を思い出したので書いてみました。
よろしくお願いします🙇
私は高校卒業してから、とある医療系専門学校に通ってました。
専門学校だったので、4大卒業してから入学した人や、社会人経験してから入学した人もいたので、さまざまな年代の方と交流できて、とても刺激的でした。
そのうちの1人に東京大学卒業して入学した男の子がいました。
そんな彼は、もちろん成績は常にトップクラス。
天下の東大卒の人と話す機会なんてめったにないので、
「どんな勉強法してるん?」
と耳にタコできるほど聞かれたであろう質問をズゲズゲとしたところ、彼はしばらく考えた後に
「教科書読んで、授業聞く…かな。」
と答えました。
「…それだけ…?」
「…これだけですよ。
……あ、いや、テスト前は教科書の内容を思い出す、もやってるわ。」
「……へぇ…。
ほな、私も頑張って教科書読んで、授業聞いてみよっと…。」
「うん。
テスト範囲は授業中に先生言うてくれるし。
そこの部分読んだらええよ。」
非常にシンプルな勉強法でしたが、できる気がしませんでした。
シンプルなのに!!
それでも、彼は、こちらが「そら、そうやろ!!」と思うことに気づかないこともありました。
例えば、彼は子供用三輪車で登校していました。
成人男性が小さな三輪車を膝を折り曲げてキコキコと漕ぐ姿は、いろんな意味で目立っていたし、警備員さんに呼び止められて盗難を疑われたこともあったそうです。
「なんで三輪車なん?
漕ぎにくくない?」
と聞くと
「家に三輪車しかなかってん。」
と答えるのです。
「……そうか。
ほな、しゃあないな…。」
と、正解かどうかわからない返事をしました。
そんなある日、彼が普通に歩いて登校していたので、
「三輪車登校、やめたん?」
と聞くと
「三輪車、タイヤが取れて壊れてしもてん。
ほんで、壊れた三輪車持って歩いて帰ったら、いつもより早く帰れてな。
歩いた方が早いってことに気づいたんよ。」
と言うので、もっと早く教えてあげればよかった、と思いました。
そんな彼が、今、どこで何をしてるかはわからず…。
もっと仲良くしとけば良かったなぁ…と思う今日この頃。
おしまい。
