三匹家族。
うちは三人家族。もしくは三匹家族だ。
夫婦と猫一匹との暮らしが、私たちの日常だ。
うちの猫を担当している、トラディショナルな縞模様が美しい彼の名前は、ちび太。
うちのパーティーにちび太が加わってから、もうすぐ十年が経とうとしている。たくさんのなんでもない時間を重ね、かけがえのない家族の一員として、毎日を一緒に生きている。
人間の時間は忙しない。私はマイペースに生きている方だと思うけれど、それでも、日々いろいろなことが起こる。
そんな人間の時間の隣で、「寝る、食べる、トイレ、パトロール、遊ぶ」というシンプルで安定した日々を送る彼の存在が、私の心を救ってくれることが多々ある。
例えばこんな時。真夜中。
私は真夜中が苦手だ。若い頃は朝までぐっすり寝られていたのに、いつ頃からか、夜中に一度は目が覚めるようになってしまった。
目が覚めて何事もなく再び眠る日もあれば、これと言った理由のない不安に襲われて、胸がザワザワしたりギューっとしたりすることがある。真夜中の暗くてシンとして何も無い感じに吸い込まれそうな気持ちになるのだ。
「そういう時は起こせ」とオットには言われている。ありがたいのだが、昔眠れないと言って起こしたら、そのまま車に乗せられ、角島までドライブに連れて行かれたことがある。眠れないからって、真夜中にうちから八十キロも離れたところに連れて行かれたら堪らないのだよ。楽しいけどね。
ああ、今日も目が覚めてしまった。不安なときは目が覚めた瞬間からもう胸がギューってなっているんだ。
そうしていると、家のどこかでチリンと鈴の音が鳴るのが聞こえる。続いてペタペタと可愛い足音が近づいてきて、「ニャー」と私に話しかけてくる。「起きた?ねぇ、起きたの、暇なんだけど」って感じで。
その瞬間。私は暗くてシンとした裏世界から、家族がいる日常にグッと戻ってくる感覚になるんだ。冷たいところから、温度を感じるところに。
それにしても、私が目を覚ましたことが何であんなにもすぐ分かるのか、本当に不思議だ。近くで寝ているわけでもないのに。モゾモゾとすらしない日だってある、目が覚めてそのまま動けなくて固まっている日だってある。
それでもうちのちび太は、気づく。ペタペタと近づいてきて、あらよいしょと当然のように私の上に乗る。幸せの重みを感じる。私のことを安心する場所へ戻してくれる。
「おいで〜」と言って布団の中に誘う。フモフモした彼をモフりながら、私はまた眠るんだ。
夫婦ともう一匹の存在。彼がいることが、彼がマイペースに彼らしく生きていることが、私にとってどれだけ大きいことなのか。
私たちは、これからもずっと三匹家族だ。
