おうちモーニングビュッフェのすすめ
ある日、ひらめいてしまった。
「家でモーニングブッフェをやったら、めちゃくちゃ盛り上がるんじゃない……?」と。
お家で、ビュッフェ。
しかも朝から。
わが家は未就学児を含む3人の子どもがいる。
「好きなものを好きなだけ」というビュッフェシステムを目の前に、子どもたちが平常心でいられるわけがない。さまざまなリスクを考えると、どうしても足が遠のく。
だったら家でやってしまえばいいのではないか。平日は考えられないが、おやすみの朝だったら、トライしてみる余地がある。
……よし、鳴らそう。朝の食卓に、宴の鐘を!
🍽️ おうちモーニングビュッフェの心得
1)ビュッフェの正解は、引き算にあり
朝のビュッフェといえば、やはり定番のホテルライクなスタイルだろう。
焼きたてのミニパン、彩り鮮やかなサラダバー、ずらりと並ぶフルーツ。
あの心おどる体験を、ぜひおうちモーニングビュッフェ(以下、OMB)でも再現したい。
実演オムレツやひとくちカレー、パンケーキのトッピングコーナーも楽しそう。ドリンクバーも必要だよね……!
あれこれ想像が膨らむが、足し算で暴走すると地獄を見る。食べる顧客は家族だけだし、現実に存在するシェフも自分だけである。足すのではなく、引く勇気が必要だ。
はじめてのOMBは、洋食メニューで組み立てていくことに決めた。
2)野菜とたんぱく質は、散らすが勝ち
ときめくメニューを思い浮かべてみたものの、野菜とたんぱく質が足りない。
サラダは大人がメインで食べることになるだろうから、子ども用に、具をもりもりにした野菜スープを採用することにした。


スープは、ビュッフェ名脇役だ。野菜の充足もさることながら、食卓に湯気が立つだけで、幸福度がぐっと上がる。
お次はたんぱく質。
こだわりウインナーもいいけれど、家にヒーター付きの器はない。ホットプレートで場所をとると、他のメニューが置けなくなってしまう。
冷めてもおいしいメニューで考え、たまごサンドに行き着いた。
ロールパンにはさめば手軽に食べられるし、見た目もかわいい。「たんぱく質 in 主食」大作戦である。
おかずを増やすと大変なので、デザートチームにも高たんぱくメンバーを忍ばせることに。ギリシャヨーグルト、君に決めた!
こうして、不足しがちな要素をあちこちに足しながら、メニューが決まった。
🥐ミニクロワッサン / たまごサンド
🥣具だくさん野菜スープ
🥗サラダバー
🍎フルーツヨーグルトバー
🍹ドリンクバー
3)100均は「俺たちのドラえもん」
メニューが決まったら、次は器だ。
ビュッフェといえば、ダイナミックな大皿料理や、統一感のある小鉢が欠かせない。ジュースバーをやるなら、専用のボトルもほしいところだ。
しかし、ここで問題が発生してしまった。
器が足りない。
そもそも「OMBっぽい器」なんて、日常使いしてない。買い足してもいいが、出費がかさむようなら、OMB自体が危うくなる。
こんなとき頼れるのが、泣く子も黙る100均である。
お店をのぞいてみると……ある!
めちゃんこオシャレな器が、ぜーんぶ110円! ハッピープライスパラダイス!
ありがとうドラえもん。
困ったらいつだって助けてくれる君が好きだよ。
ということで、フルーツ用に、ミルククラウンのガラスボウルを3つゲットした。
ジューススタンド用のピッチャーに使えそうなボトルもあったので、こちらも2つ購入。
少し小さいけど、朝からたっぷりジュースを飲まれても困るので、むしろちょうどいい。
🍽️ 当日の余裕は、前日に仕込む
メニューが決まった。
器も決まった。
買い出しもした。
さて、いよいよ明日はOMB当日。
しかし、まだやるべきことがある。仕込みだ。
成功するかどうかの運命は、前日までに決まる。
当日バタつくと自分自身が楽しめないし、顧客満足度もガタ落ちである。
メニューを眺めながら、前夜にできることを洗い出してみた。
🥐ミニクロワッサン / たまごサンド
🥣具だくさん野菜スープ
🥗サラダバー
🍎フルーツヨーグルトバー
🍹ドリンクバー
作り置きができるもの、ゆでて冷ますなど時間がかかるものは、すべて済ませてしまおう。
☑️ ゆでたまご
☑️ 野菜スープ
☑️ サラダバーのトッピング
このあたりをやれば、当日の朝はすこぶるスムーズなはずだ。
たまごをゆでている間、ストウブにこれでもかと野菜を放りこむ。
アホ量の野菜準備ミッション、コンプリート!
にんじんでラペを作り、ブロッコリーとスナップエンドウをゆでる。サラダはスピナーで水を切って、そのまま冷蔵庫へ。
あとは、「ゆでたまごの殻、むきたい人ー?」と叫べば、仕込みは終了だ。妖怪カラムッキーと化した子どもたちが、嬉々として殻をむいてくれる。
まだ、誰も気づいていない。
君たちが今手にしているたまごが、明日のスペシャルな朝食の一員だということに……!

🍽️ 開宴のカウントダウン、はじまる
朝、いつもより早く目が覚める。
ダイニングへ向かうと、そこはまっさらなキャンバスだった。今からここを、世界一すてきなワクワク空間へと変えるのだ。
まず、空の器をテーブルに並べる。
ある程度、事前に配置を決めておくと、盛り付けたあとに「思ってたんと違う!」とならずに済むので、おすすめ。
動線、OK。
食べるスペースの確保、OK。
取り皿、セット完了。
会場を整えたら、いざ、開演準備スタートだ。
🥐ミニクロワッサン / たまごサンド
前日に仕込んだゆでたまごを、たまごサラダに。
黒酢とめんつゆに漬けておいたので、マヨネーズとメープルシロップを少し加えるだけで、味が整う。
ロールパンに切れ目を入れ、たまごサラダを挟んでいく。クロワッサンは温めて並べるだけなので楽ちんだ。
🥣具だくさん野菜スープ
前日に作っているので、温めるだけ。
🥗サラダバー
トマトを切り、ラペ、ゆでたブロッコリーを小鉢グラスに盛る。サッと取ってすぐ食べられるように、サラダの葉物にはあらかじめドレッシングを和えておく。
🍎フルーツヨーグルトバー
動線の煩雑さを避けるため、はちみつは最初から混ぜておく。冷凍フルーツも活用しつつ、おNEWな100均の器にそれぞれ盛り付ける。
🍹ドリンクバー
ドリンクはいくつか種類があると楽しいが、今回はふたつ。牛乳と、ストレート100%のブラッドオレンジジュースだ。

ほんとおいしいの……
ヤングなお友だちはそのままで。
大人なお友だちは、夜に半解凍のシャリシャリした状態でウイスキーを注いでもGOODだぞ★
これで、今回の「隠れ主役コーナー」も完成だ。
🍽️ OMB、それは春の風
準備をしていると、8歳長男が起きてきた。
ダイニングテーブルの異変に気づいた彼の魂は、喜びのあまり3mぐらい飛び上がったように見えた。
長男がドタドタと寝室にかけていき、大急ぎで兄弟たちを起こしにいく。
「えっ? えっ!」「うわー!」という大歓声とともに、宴がはじまった。







……ここで多くは語るまい。
ひとつ言えることがあるとすれば、
OMB、想像の42倍盛り上がるぞーーーーーーー!
ってこと。
いや、中途半端に低ーーーーーーーーーー!!
と思われたかもしれない。
違うのよ、最初から期待値が高すぎたのよ。
平常心スタートだったら、想像の120倍以上だった。
とにかく、予想通り、めちゃくちゃ盛り上がった。
まだ寒い冬の食卓に、頬をくすぐる春風が吹くような時間。たえず笑い声が響きわたる朝ごはんって、最高だ。

🍽️ OMBの知恵袋
大成功をおさめたOMBだが、注意点についても触れておきたい。
子どもは、秒で天気を変える天才的な嵐クリエイターである。
今回、顧客=家族のうち、60%が子ども(8歳、5歳、2歳)だった。
「好きなものを好きなだけ」——これはビュッフェの醍醐味だが、同時に嵐の温床でもある。
テンションが上がりすぎて歯止めが効かなくならなったら、取り合いが勃発し、器は破損の危機。最終的に、わたしという雷が落ちる。
そうならないために、ナチュラルな制限を設けておくことをおすすめしたい。
具体的には、
☑️パンは適量だけ盛る(おかわり争い回避)
☑️ジュースバーに牛乳(罪悪感回避)
☑️ジュースボトルは「お楽しみ程度」しか入らないミニボトルで
などである。
各家庭ごとに、嵐と雷が吹き荒れないソフトなルールを仕込むことで、宴の成功率を上げることを推奨したい。
🍽️ 宴の鐘をならすのはあなた
渾身のメニューを取り皿に盛り、眺めてみて、ふと思う。
「これ、ちょっと背伸びしたワンプレート朝ごはんじゃん……」と。

とはいえ、ワンプレートとして出したら、きっとここまで盛り上がらなかっただろう。ビュッフェスタイルだからこそ、食卓に風が吹いたのだ。
器やスタイルを変えるだけで、朝の食卓は特別なものに変わる。
次の休日、宴の鐘を鳴らすのは、あなただ。
わたしは次回、和食スタイルにチャンジしようと企んでいる。
3児を育てる食いしん坊ママの、朝ごはんエッセイ。おいしさ・栄養・作る楽しみをぜんぶ盛りにした、朝の一皿のおはなしです。
🍚 back number 🍞
【1皿目】秋の始まりと、ドラゴンフルーツ
【2皿目】希望のピザトースト
【3皿目】とりあえず、かき玉汁
【4皿目】やさぐれた日の、豆腐白玉だんご
【5皿目】やっぱり、大根葉ふりかけ
【6皿目】それいけ!サバ缶のカレートースト
【7皿目】いくら丼をめぐる食い意地と、秋の心理戦
【8皿目】朝5分の煮りんご風ジャム
【9皿目】モテたい人のための、七草グラタントースト
【10皿目】 自家製ツナ、はじめました
