加速のジレンマ
今日は、目は覚めてるのになかなか動き出せなくてスロースタート。こういうのができるのもこの仕事の良きところ。
現場に着くと大工さんがいて、バリバリと床を剥がしてるところだった。なんか補修して下さいって言われてた巾木も剥がされていたので、戻すのかどうか聞いてみると、新品に交換するのでやらなくていいですよ!と言われた。
このままだと施工代金が減額されてしまう可能性があるので依頼にはないけど状態の悪いところをかわりに直すのはどうか提案したら通った。ラッキー丸ぴょん。
大工さんの動きを見ると何にも言わずにこっちのペースに合わせて動いてくれてるのがわかる。申し訳なさと、高度な気配りへの感謝が半分半分の気持ち。とても居心地のよい気さくな人だった。床を貼るところは見てないけど、この人絶対いい仕事するんだろうな、と思った。
基本的には他業者と被らないように元請けさんが手配してくれてるのだが、繁忙期とか今日みたいに納期が迫ってる現場は入る日が被ってしまうことも多い。あいさつも引き継ぎもせずに出てってしまう人や(なんなら舌打ちされることもある)、少しの間外してくださいと言われることもある。補修屋さんのほうが材料や道具が少なくて身軽なので、狭い現場のときは私は基本的に譲ることにしてるんだけど、今日みたいな大工さんの存在はとてもありがたい。
帰りがけの雑談で建築業界で今最もホットな石油ショックの話題になって、大工さんもそんなにダメージないらしい。材料がドンピシャな塗装屋さんと防水屋さんがすごく大変らしいとのこと。
大工さんは新築の仕事がメインでやってて、合間を見て今日みたいなリフォームの現場も請けてるらしい。リフォームのほうが割がいいのは補修と同じらしい。新築メインでやってるってことはやっぱり上手なんだろうな。(新築はリフォームよりも高いクオリティを求められるので)
スタートが遅かったので、2件目に入るのは夕方だった。賃貸の中程度の傷2箇所ぐらい。片方はハードワックスという熱で溶かす色付きの蜜蝋の材料で埋めて、もう片方は紫外線で固めるタイプのパテでやってみたのだが、やっぱり中程度の傷だったら紫外線パテのほうが圧倒的にスピードが速い。紫外線パテともっと仲良くなって、さらなるスピードアップを目指します。
去年くらいは、今日くらいの仕事量だったら「1件目のあと、できたらもう1件お願いします」という頼まれ方だったが、最近はストレートに頼まれるようになった。先日、今日の依頼元のたくさん仕事をくれる先輩にスピードが速くなった事を褒められたんだけど、実は自分の時間を作ってプライベートを充実させたくてスピードアップを頑張っていたのだ。そして努力の結果、1.5倍量の仕事を任せて頂けるるようになっ(てしまっ)たため、プライベート時間の量は微増に留まる。
まだ補修屋さんになる前、私はお蕎麦屋さんでバイトをしていた時のことを思い出した。お店が混んでる時には本来のペースの1.5倍巻きくらいで頑張ってしまう。ほかのスタッフさんがミスしたり、お客さんからクレームが来ると店長の機嫌が悪くなってしまうからだ。その不機嫌を私に向けられることはほとんどないのだが、決まって怒られるスタッフさんが何人かいて、見ていて気持ちのいいものではないのでつい頑張ってしまっていたのだった。
でも、混んでないときも常にそのトップスピードを求められるようになってしまって、平常運転してたらサボってる扱いをされるのがしんどかった事を思い出したのだった。ほかの人と10%しか時給変わらないのに、常に1.5倍のスピードを求められることにいつも損失を感じていた。飲食店だから利益を出すためにはこういうのがしょうがないのも分かってるんだけどね。能ある鷹みたく爪を隠せたらもっと心が楽だったんだろうけど、私には能がなかったのだった。
たくさん仕事をくれる先輩は、私が無理してないか、いつもほんのり気にかけてくれてる。こないだ一緒の現場に入ったのも、仕事量に無理がないか実際に会って話して確認する旨もあった感じだった。大前提として求められてるのはとてもありがたく、しかし結局こうなるのは私がきっとアホだからなんだろうなぁ、と思った。
上記のような気遣いをしてくれる点もそうだけど、お蕎麦屋さんの時と大きく違うのは、ちゃんと報酬も1.5倍になってるとこだ。うれしい、うれしいよー。お金がたくさんもらえることよりも、努力の結果が価値として認められて形になってることが。
独立開業してよかった、とやっぱり思ったのだった。
帰りは遅くなってしまったけど、冷蔵庫パンパンなため外食せずにまっすぐおうちに帰り、作り置きを食べた。
