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映画感想 RRR

宝塚歌劇で舞台化されるのが、とっても楽しみ!
こちらは、ネタバレありの映画感想です。

アカデミー賞で歌曲賞を受賞した映画「RRR」
ダンスバトルの映像を見て、なんて楽しそうな映画だろうと気になっていたのです。
去年の秋に公開されている映画なので、いい加減見に行かないと終わっちゃうかもって焦り始めまして、行ってまいりました。
平日のせいか、かなり空いていたので、気になっている方は早めに行った方がいいかもです。
3時間ノンストップの映画ですので、始まる前に膀胱をカラにしておくのがおすすめです。
でも、3時間、あっという間!!
本当に、エンタメ映画としてすごく面白いです。

ネタバレ、あらすじありの映画感想です。
ネタバレのダメな方はご注意下さい。ここで、ストップね!

物語は、イギリス統治下のインド。インドの部族は、イギリス人から見下され、迫害されています。極悪非道なイギリス総督によって、歌とヘナアートの上手な部族の少女がさらわれます。総督の妻が、少女を置物がわりに持っておきたいというだけの理由で。
部族の男ビームは少女を奪還しようとします。ビームは、部族を守る為ならどんなことでもする謎の男だとイギリス人から怖がられています。
一方警察では、総督が部族から狙われているという情報を得て、謎の男を逮捕する命がだされます。逮捕した警官には出世が約束されます。ある目的を持って警察官となっているインド人ラーマは、謎の男を捕らえることで出世しようと町に潜伏します。
列車の爆発事故で命の危ない少年を、たまたまその場にいあわせたビームとラーマが救います。面識のなかった二人ですが、これをきっかけに大親友となります。
お互いの本当の顔を知らない二人。
お互いの持つ使命は真逆のものである二人。
二人は、友情を選ぶのか? 使命を選ぶのか?

勧善懲悪タイプのわかりやすい物語で、前知識ゼロで楽しめます。
ただただ楽しめるエンタメ映画でありながら、心に響くテーマのようなものがそこここに感じられて、上手いなあって感心します。

冒頭からの短い時間で、総督夫妻の傍若無人っぷりがわかります。
少女がお金持ちっぽい白人女性にヘナアートを書きながら美しい声で歌う。
そこに、戻ってきた偉そうな白人男性と彼が引き連れた兵士たちを怯えた目で見る部族の人々。満足そうな白人女性と白人男性。
一目で彼らの力関係がわかります。そして、少女の母親にわずかなコインが投げ捨てるように与えられます。周りは娘の歌の褒美だから貰っておけと言います。投げ捨てられたコインを母親は拾い、感謝を示します。それだけで、白人がいかに部族の人々を軽んじているかわかるシーンですが、それだけではありません。
コインは歌の褒美ではなく、少女を買い取るという意味だったのです。
なんて、酷い!!!
でも、それだけでは終わりません。娘を追い車を止めようとした母親に銃を突きつける兵士。総督は、そこで兵士の銃撃を止めます。命を救う為ではなく、銃弾一発に1ポンドのお金がかかっているから、無駄使いするなと言うのです。そして、兵士は、銃を使わずに母親を殴り倒します。
この、「一発の銃弾の価値」は物語全編の伏線となっています。

部族の人々を虫けらのように考えているイギリス総督やイギリス人の姿を見せたところで、暴徒と化したインド人の集団が警察を取り囲んでいるシーンに変わります。
そりゃ、イギリス人がこんな態度をとっていれば インド人が解放されたいと願い、暴動を起こすのもわかるなあって思います。
今にも警察は解放を求める群衆に飲み込まれそうな状況。
そんな中、警察官であるラーマが群衆の中に飛び込んで、扇動する男を逮捕するのですが、このシーンがまた凄い!

一人対無数の群衆。
勝てるはずないと思うのに、肉体一つで群衆を倒していくラーマ。
とても漫画的。
でも、人間の肉体を使い、工夫をしながら戦う姿は妙に説得力があって、現実では無理だとわかっていても映画だと違和感なく観ていられます。
扇動する男を逮捕して手柄を立てたラーマですが、インド人である為認められません。結局、白人警官は危険な任務に都合よくラーマを使っただけ。
だから、総督を狙う謎の男を生け捕りにすれば出世させるという話を聞いたラーマは、出世の為に謎の男を生け捕りにしようと思います。

アクションだけではなく、感情の面でも説得力があって登場人物がなぜこのような苦難に向かって行こうとしているのかがわかって、物語に入り込みやすいです。
ラーマが一人対無数の群衆相手のすごいアクションを見せれば、
ビームは、森の中で猛獣相手にすごいアクションを見せます。

そして二人の出会いとなったシーンもすごい。一体どうやって少年を救い出すのか? 手に持った旗をどう使うのか? ワクワクさせられ、感心させられ、アクションに目が釘付けにさせられます。

そして、総督の屋敷に住む美しく心優しい女性とお近づきになりたいビームとその女性との間を取り持つラーマのほっこりシーン。
英語の話せないビームと女性とのシーンはコミカルでほっこりします。
女性に招待されたパーティで、あの!ダンスバトルを堪能できます。

そこでは、気取ったイギリス男が二人をバカにして、様々な世界中のダンスを踊れることを自慢します。世界のダンスはすべて自分たちの文化だというような傲慢な態度です。

その男に対して、ビームとラーマはナートゥが踊れるといって、ナートゥを踊りだします。ナートゥは自分たちの持つ文化で、イギリス男には手の届かないものだとでもいうように、激しいダンスが繰り広げられます。

二人のキレッキレの陽気なダンスをイギリス男たちが止めようとすると、女たちがそれを阻止して続けさせます。
きっと、女たちも男たちに抑圧されていたんでしょうね。
大帝国イギリスの男たちが、人も、物も、文化も、他民族も、女もすべて自分たちのものだと思って支配していた、そんな時代を風刺しているようにも見えます。
エンタメとしてこのダンスシーンはめちゃくちゃ楽しいシーンとなっています。

そして、ビームは総督邸にさらわれた少女がいることを確認します。
一方、ラーマは総督を狙う謎の男の仲間を探し当てます。
ラーマは謎の男(つまりビームね)の仲間を拷問して居所を吐かせようとするし、ビームは総督邸を攻撃しようとします。

ラーマはビームの正体に気づいてしまうのです。
だが、ビームの仲間に反撃されて蛇毒にやられ瀕死の状態。
ビームはそんなラーマを介抱してから総督邸へと向かいます。

総督邸への攻撃シーンも凄いです。
宮殿のように広大で多くの警察官や兵士に守られている要塞のような総督邸。ビームたちはどうやって攻撃するのか?
ビームたちが突っ込んだトラックの荷台の布が外されると、思わず声が出ました。
なるほど、こう来たか!!!

このシーンのアクションも凄いです。やはり、漫画的だけど、リアル。
非現実的なのに、説得力があるのが不思議です。

ビームは少女をつれて逃げ出せるのか?
ラーマはビームを捕らえるのか!

物語は、ラーマが警察官になった目的などもわかるように、シーンが代わり、時代が代わり、二転三転して、スピーディーに進みます。
加えて、様々なアクションシーンの連続で全く飽きません。

3時間があっという間。
最後はインド映画らしいエンドロールで、途中で席を立つ観客がいないくらい、最後まで楽しめました。

本当に、面白かったです。
ちょっとB級な感じも含めて、思いっきり楽しむことができました。

まあ、エンタメ映画として楽しめたのだから、それでいいとは思いますけれど、頭のすみっこでちょっとだけ感じることがありました。

大英帝国時代のイギリスがどれほど非道であったのか?
イギリス人がどれほど傲慢であったのか?
この映画はインドの映画監督が、インドの英雄をたたえるように描いているので、オーバーなほどインドよりです。
優しいイギリス人女性もでてくるのだけれど、基本的にはイギリス人=傲慢という描き方。
娯楽映画としてとても面白いけれど、イギリス人はこの作品を見てどう感じただろう?ってちょっと思ってしまいました。

そして、人は争うことをやめられない現実を突きつけられた気がします。

人と人が争う。
国が国を侵略する。
遥か昔から人が続けてきた争いは、現在も続いている。
「戦争」の経験者が「二度と起こしてはいけない」と叫んでも無くなりはしない。
ラーマの住む村が侵略者に襲われた時、村人は逃げるしかなかった。
だが一人の銃で、敵が作戦を変更し撤退したことから、ラーマは村人全員が武器を手にすることが出来れば襲われることはないと考えて、武器を手に入れようと考える。

この物語は、ハッピーエンドなのだけれど、本当にこれはハッピーエンドなのか?ってちょっと考えてしまいます。

ラーマの考えや目的は、武器の所持が抑止力になるということ。
それは物語としては面白く成立するのだけれど、現実で考えればどうなるのだろう。
今の現実に置き換えるのなら「核抑止」ということに近い。
核があることで戦争が起こることを抑止する。
あるいは、核保有国同士が使用することを抑止する。
人はそう考えて「核の傘」などと言う。
でも、ロシアのような核兵器の使用をちらつかせる国が存在する。

だからこそ、世界が本気で考え、本気で話し合わなければいけない。
先日で広島で行われたG7の首脳が横一列に献花する姿はとても印象に残ったけれど、だからといって大きな問題が解決したわけではない。
ロシアが戦争をやめる気配はない。
中国という大国が、G7の宣言に反発している。
そしてこの映画の作られたインド。
インドだって難しい立場にいるし、自国の利益を考えるのが第一だろう。
現実は、殺伐としている。

楽しい映画だったけれど、戦争をやめられない人間の愚かしさを改めて感じて複雑な気持ちにもなりましたね。
まあ、こんな、楽しいエンタメ映画を観て、現実を嘆いていても仕方ないのですが……
頭をからっぽにして楽しんで、善良な一市民として平和を願うしかないですかね……






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