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舞台感想 夢千鳥スカステ放送

いやー、放送されましたね夢千鳥。
宝塚歌劇団の出血大サービスに感謝、感謝です。

ディレイ配信の時は、ちょうど月に一度、実家の母の様子を見に行く日に当たっておりまして、実家で母と観ました。
今食べたおかずが全く思い出せない母ですが、そらくんには反応しまして、母「この子、上手いね。トップの子?」私「上手いでしょ、主演よ」
母「あなた、この子好きでしょ」私「うん、大好きよ」母「やっぱり」
という会話を無限ループでしておりました。そして、魂をゆさぶる絶望のダンスには、「この子、上手いなあ~」と大感動!
感動の心は、認知症でも忘れることはないってことですね。

そして、スカステ放送! ありがたや、ありがたや、これで何度でも観られる。昨日観て、今日も録画観て、ええなあ~ええなあ~と床の上をごろんごろんローリングしております。

まあ、なんといってもこれが演出家デビューの栗田優香さんのセンスに脱帽です。好きなシーンがめじろ押し。
ディレイ配信で初見したときは、二幕頭の、映画の中の夢二と監督や、監督と夢二のシーンの入れ替わりに少々混乱してしまったのですが、2度、3度見ると、すんなり入ってきて、むしろ無駄な説明なしでスッキリしているように感じました。
全体的に本当によく考えられているなあと感心します。
すっかり、栗田さんの演出のファンになってしまいました。
無駄な場面がなく、スピーディに展開していくし、心象風景を表すようなダンスが随所に入れられているのですが、それが芝居を邪魔せずむしろ引き立てている。
夢二と他万喜のタンゴのシーンから血しぶきに見立てた座布団から舞う赤い羽根への流れは、名場面として歴史に残ると思います。
語り部的な人物と歌手の歌を用いて説明臭くならないように、物語を説明する手法も好感が持てます。
出演者が、一人何役かすることで、様々な顔を見ることが出来るのも嬉しいですね。心象的なダンスシーンが入ることで、あきもやあられちゃんのダンスを堪能できるし、バウでロケットなんて、出演者を様々に上手く使う栗田演出に脱帽です。(出演者はお着換えとかで大変だと思うけれど、ヅカオタにはたまりません)デュエダン2回ってのは、ちょっとやりすぎだったかな?とは思いますが……

身勝手で暴力的な夢二のパワーを同じ熱量の色気と狂気で跳ね返す他万喜。演じているのはそらくんとじゅっちゃんだけど、夢二と他万喜にしか見えません。泣き伏す他万喜を描く夢二の憑かれたような芸術家の目。演出も素晴らしけれど、あんな風に演じられる役者がいて成り立つ素晴らしいシーンですよね。お葉に会うように説得される夢二が流す一筋の涙。涙にあたるライティングまで考えたかのような煌めきに、もらい泣きしますわ。

そらくんの、歌、ダンス、芝居、どれも申し分ありません。それを支えるルイマキセの存在。とても安定していて、見ていて安心します。
山吹ひばりちゃん、大役を見事にこなしていたと思います。活舌も表情も良いし楽しみな方ですね。咳き込むの演技は難しいのかな、少し違和感を感じました。キョロ君は、美しいこと。この二人が、今度の新人公演で、ホームズとアイリーンってのは、楽しみだなあ。
水音志保ちゃん、花宮沙羅ちゃんも好演ですね。
若手が主演のそらくんの演技やパワーにひっぱられて、ぐんぐん腕を上げている感があって、宙組の未来は本当に明るいなと思います。

愛とは何か?愛とは慈しみ育てるものではないだろうか?
そんな風に結論付けて物語は終わったように思いますが、深いですね。

彦乃の父の言う愛とは、相手の幸せを願うものだという考え。
一見正しいようだけれど、相手の幸せって何? 
彦乃の父は、娘の幸せを自分の思う幸せにあてはめて考えているけれど、それは本当に彦乃にとっての幸せなのか?
でも彦乃は父に詫びてこの世を去るのだから、引き裂かれたことを恨んではいなかったのか? 父の傍で命を終えたことで満足していたのか?

夢二は他万喜も、彦乃も、お葉も愛していたのか? それぞれに愛していると思い込んでいただけなのか? 大体、夢二にとって女性の存在は芸術を作り上げる為の単なるイメージソースであっただけではないのか?

そしてそんな夢二に思いをはせる白澤監督は、礼奈を愛していることにやっと気づいたのか?

様々な愛に対する思いが、物語の縦横に張り巡らされていて、趣があります。

姉への思慕や画学校に行っていないコンプレックスが夢二に与えた影響。
彦乃が憧れる女性の自立。
夢二に”赦される”ことを望まなかったお葉。
”正しくないものを正す”婦人矯風会に参加する他万喜。
物語にちりばめられる伏線が、色々な人の心を想像させ、観る度に違う感想を持ちそうな、面白い作品だと思いました。

本当に、人其々に様々な愛がありますよね。
私は、究極の愛は自己犠牲の愛だと思っているのだけれど、現実にはそんな愛とは無縁だなと思っています。
だって、怖がりの私は誰かの為に死ぬ事なんてできないのだもの……
そして、誰かが私の為に死んだら……それも耐えられないもの……


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