記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

読書感想文 テスカトリポカ

#読書の秋2021 #ネタバレ #テスカトリポカ

ネタバレ、あらすじありの読書感想文です。

直木賞、山本周五郎賞ダブル受賞の犯罪小説です。

あらすじ

アステカの神テスカトリポカを狂信的に信じる祖母に育てられた四兄弟は麻薬カルテルを取り仕切っていたが、新興のカルテルに殺される。
一人生き残ったバルミロはインドネシアに渡りジャカルタでコブラを食べさせる屋台をしていた。(裏では麻薬を売りながら)
日本人医師末永は腕の良い心臓外科医だったが、麻薬常習者でひき逃げ事故を起こし日本にいられなくなった。現在は臓器ブローカーをしている。
バルミロと末永は、大金持ち相手に子供の心臓を売買するビジネスを始める。麻薬にまみれた貧しい国の子供ではなく、日本で育った健康な子供の心臓を売買するのが売りだ。無戸籍の子供を保護し里子にだすと称して生きた子供たちから心臓を取り出していた。心臓以外の部分、頭蓋骨や骨は、パブロの工房で装飾を施して販売する。バルミロは仲間をファミリーと呼び裏切りを許さなかった。
暴力団幹部とメキシコ人の間に生まれ、ネグレクトで学校に行けなかったコシモは怪力の持ち主で13歳で両親を殺し少年院へ送られる。手先が器用なコシモはパブロの工房で働き、パブロに可愛がられる。しかしバルミロがコシモを無敵の殺人者に仕上げ、息子と呼んだ。バルミロはコシモにアステカの神の話をし、いけにえの心臓を神に捧げる儀式を教える。
一方、心臓を取り出されるために集められた子供たちは、日記を書かされていた。順太という少年の日記に、「ころされる」と書かれていたことから、コシモが順太の代わりに日記を書くことになったが、コシモと順太は徐々に気持ちが近づく。
順太の心臓が取り出される日、末次が自分を裏切ったことを知ったバルミロはコシモを含めた自分の殺人チームを送り込み末次を殺そうとする。しかし、末次もそれを知っていて凄惨な戦いが繰り広げられる。
コシモはいけにえの順太が本当に神に捧げられるいけにえなのか疑いを持った。順太を助け出したコシモの行方を聞かれるパブロはバルミロに殺される。そしてコシモ最後の相手は、バルミロだった。

感想

体調を崩したときにたまたま読んでいたのがこの本だったのか、この本を読んでいたから体調を崩したのか? とにかく、図書館の返却日が近づいていたので焦って一気に読もうとしたのですが、読み終わって具合が悪くなってしまいました。(知恵熱???)
小説でありながら、メキシコの麻薬カルテルの残酷さは現実のようで一つの知識としてこんな世界が存在していると知ることは勉強になりました。
「残酷」という言葉で表される行為がどこまでエスカレートしていくのだろうと人間の恐ろしさに震えました。
そして臓器移植に関しては、まさかこんなことが日本で現実に行われているとは思わないけれど、世界のどこか貧しい国ではやはり現実にある話なのではと思うと、この子供たちは何のために生まれてきたのだろうと考えることも恐ろしいと思いました。
この物語で最も無垢な存在だと思えるコシモ。日本で育ったコシモの過酷な環境を読んでいると、どれほど無垢な人間でもこんな風な環境で育てば善悪や正義不正義の区別などつかなくなるだろうと感じます。
読み返したいとは思わないお話でしたが、人間の恐ろしさ、残酷さに震え、成長過程の過酷さによって人でない人になってしまったのなら、一体それは誰の罪なのだろうという感情に囚われた作品でした。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集