読書感想文 春の雪
ネタバレ、あらすじありの読書感想文です。
タイトル 春の雪
作者 芝村凉也
出版社 双葉文庫
「春の雪」っていうと三島由紀夫が思い浮かびますが、こちらは江戸時代の奉行所を舞台にした物語です。
あらすじ
北町奉行所の用部屋手附同心裄沢は頑固で真っすぐな気性の人物だ。幼馴染の定町廻り同心の来合とは悪口を叩き合う仲だがお互い信頼している。今は角がとれて落ち着いてはいるが、若い頃の裄沢は正論を通し、やさぐれなどと呼ばれていた。若くして娶った妻は訳ありの女で、娘と一緒に船からおちて行方知れずだ。今は下働きのいる家で一人暮らしている。
だが、観察眼が鋭く、様々な事件の真相を見極める力のある爽快な人物である。
女郎屋で殺された金貸しの事件を捜査する来合は、下手人という女郎白糸の自白に納得できない。裄沢の考えは?
夜中に騒動の起こった店に行ってみると店の亭主は何事もないと様子がおかしい。裄沢は、奥で女房が人質になっていることを見抜く。
奉行所の中での証拠品のすりかえ盗難を内々に調べるように言われる裄沢。誰にでもすりかえの機会はある状況で裄沢は犯人を見つけられるのか?
道理に合わない事には上役にでも物申す理屈屋の裄沢の奉行所内での奮闘ぶりをえがいた時代小説です。
感想
裄沢と来合の大人の男の友情が、爽やかに感じられる。
奉行所と言っても裄沢は事務方の仕事で大きな捕り物という感じではないのだが、探偵のように論理で推理し、真実に近づこうとする江戸時代の探偵もののような感じが新鮮だ。
特に用部屋手附同心などという職種は馴染みがないので、江戸時代の奉行所の様子が垣間見えるようで面白い。
現代の警察組織とさほどの違いはないように思えるのもご愛敬。
シリーズものとして続いていきそうな感じだが、江戸の人々が様々な職業を通して生き生きと動いているのがなかなか爽快だ。
あまりにも裄沢が上役にたてつくので、大丈夫か?と心配にもなるが意外と平和なのが江戸時代というものかもしれない。
