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読書感想文 邪教の子

まだ読んでない方に書店の推薦コメント風にお勧めするなら
「カルト集団の娘茜を助けた慧斗は、成長してカルト集団大地の民の教祖となる。TVディレクター矢口は大地の民の取材を始めた。信者から恐ろしい計画を阻止するために矢口が頼まれたことは驚くべきことだった。人が進むべき道とは、正しい事とは何なのか? 矢口は頼まれた行動をするのか?」

完全ネタバレ、あらすじありの読書感想文です。

タイトル 邪教の子
作者   澤村伊智
出版社  文芸春秋

あらすじ

小学生の慧斗は、母親のカルト狂いで家に閉じ込められた茜を助けた。だが、成長した慧斗は「大地の民」の会長となり、信者と共に山間のニュータウンで生活していた。

TVディレクターの矢口は、カルト集団「大地の民」を抜け出た男祐仁から、教団に人生を狂わされた人物を紹介され取材する。矢口は「大地の民」に取材を依頼し、本部へと入り込むことに成功する。矢口自身も、母が「大地の民」に入信したため家庭を壊されていた当事者だった。
現在の会長は慧斗、広報は茜だった。茜の案内で取材する矢口だが、秘密を話そうとした祐仁は転落死する。
山間の洞穴で茜の密談を聞いた矢口は、大地の民がマスタードガスを散布して大量殺人を計画していることを知る。そして一部の信者からそれを阻止するために、マスタードガスを散布して教団の人間を全員殺してほしいと言われる。
実行するのは、祐仁の葬儀の場。
矢口は防護服を着てガスマスクを身に着けるが……
矢口は実行するのか? 姿を現さない慧斗はどこにいる?
「邪教の子」とはいったい誰のことだったのか?

すべての秘密が暴かれた時、矢口はただ笑うしかなかった。

感想

作品の4割以上が、小学生の慧斗と同級生祐仁、朋美が、カルト集団コスモフィールドに母親がのめりこみ家に軟禁された車椅子の少女茜を救う物語に費やされている。
読みやすい文章、カルトの感覚が一般人と違う恐ろしさ。子供だけで実行しようとするスリル感でぐいぐいと引き込まれる。
だが、助けようとしている慧斗達の生活もどこか異様で、これは慧斗達こそ「邪教の子」なんじゃないかと読者に推理させる。
とても上手いミスリードです。
この冒険物語は、「大地の民」の会長となった慧斗の書いた本の内容だったのです。そして、それを読んでそのデタラメさに怒る矢口が登場します。
ここから、矢口の取材へと繋がっていくのですが、年老いた祐仁、異様に若々しい茜、姿を現さない慧斗と謎めいた人物が配置されていて、ワクワクします。
矢口は自分の母に取材をして、自分の誕生した日のことを聞くが「一度死んで、蘇った」と母は言うのです。一体、どういう意味なのか?
祐仁が転落死し、山奥の洞窟を見つけると物語は急展開します。
大地の民の初代会長の書いた詩を、勝手な解釈をした慧斗は大量殺人をしようとしているのです。
それを阻止するために矢口の母と、朋美はマスタードガスを使って教団の人々を皆殺しにして欲しいと矢口に頼みます。
矢口はその頼みを実行するのか? 「邪教の子」とは本当は誰のことだったのか?

ええええー? こう終わるの?

山奥の洞窟が見つかるまでは、どきどき、ワクワクと読み進めていたのですが、最後が……最後が……全然納得いかない。

文章も上手いし、邪教集団の怖さや、一般人の生活に紛れている異様さや、とても説得力のある文章で書かれていて、序盤が「本の内容」だという設定にもやられた感があって、上手いなあと感心していたのですが……

洞窟で、生物兵器が見つかるってところから、最後までの流れが全く納得できないです。
こんなに面白かったのに、ワクワクして結末を待っていたのに。
これ? こんな終わり方?

ただ笑うしかなかったのは矢口ではなく、私だったよ……
「はは……はははは……」

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