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読書感想文 ミラーワールド

ネタバレ、あらすじありの読書感想文です。

タイトル ミラーワールド
作者   椰月美智子
出版社  角川書店

あらすじ

ミラーワールド、女尊男卑の世界。
女が働いて稼ぎ、男が家事と子育てを担当する世界。
男女ではなく女男、夫婦ではなく婦夫。
若い男の股間の話題をゲスなおばさんが喜んで読むスポーツ新聞。
女男平等や男性の地位向上を考える男の敵になるのは、女によく見られたい男である。男子の将来の夢が、お婿さん。
女によるセクハラ、パワハラ、政治家や企業の地位の高い場所は女で占められ男の活躍する場所は少ない。
結婚すれば男は家庭に入り、女は誰が食わせてやってるんだと夫や子供をおさえつける。
義父による婿いじめや、離婚して横暴な妻から逃れ子供を育てるシングルファーザー。

よくある話ばかりだが、それはすべて女男逆転しているのだ。

いくつかの家族の話が、絡み合うように語られる。

同性愛者の男子中学生が、男にレイプされる。レイプシーンを見て楽しむ女が関わっていた。少年の父親は警察へ知らせようとするが母親に止められる。周りにバレると母親の仕事に差し障るし、将来お婿にいけなくなるから「犬におしっこかけられたようなものだ」となかったことにしようとする。
だが少年は大好きな同性の同級生の存在で立ち直り、警察へ行くことを決心する。少年は同級生に恋していて告白をするが、同級生は友人としてしか考えられないという。だが、好きだといわれて相手を嫌うわけはないと言われ、少年は救われる。
そうして立ち直った少年は、レイプされかけていた少女を助けるのだった。

感想

プロローグは中学生の女子がレイプされるシーンから始まり、エピローグはそのレイプは少年によって阻止されたことで終わる。
つまり、プロローグの世界は男尊女卑の世界で
エピローグの世界は女尊男卑の世界ということだろうか?

ちょっとよくわからない世界なのだけれど、男尊女卑の世界を女尊男卑にするだけでこうも違和感を感じるおかしな世界になるものだなあと感心する。
PTAの会合でお茶出しをするお父さんたち。
義父の婿いびりに苦労する婿。
誰が食わせてやってるんだと威張る妻。
おばちゃんのセクハラ、パワハラのえげつなさ。
権利を主張する男と波風立てたくない男。

でも逆にすれば、まるで違和感なくはまる現代社会だということに気づくとなんだか恐ろしい。
こんなにおかしな世界に生きていて何の違和感も感じていない自分にいささか驚くけれど、環境に馴染んでいるということだろう。

オリンピック関連での、森おじいさんや河村おじさんの勘違い発言や行動が炎上しても、当の本人はよくわかっていない感じがするのも、彼らの慣れ親しんだ環境のせいかもしれない。

環境になれてしまうと、おかしなことに疑問を感じなくなりがちだ。
でも、常に様々なことに敏感でいて、好奇心を持って、疑問を持つ姿勢でいたいと思う。
そんなことを感じさせる作品だった。


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