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読書感想文 かか

ネタバレ、あらすじありの読書感想文です

タイトル かか
作者   宇佐美りん
出版社  河出書房新社

「推し、燃ゆ」で芥川賞を受賞した宇佐美りんさん20歳のデビュー小説。

「かか語」という独特の方言と文体で、けむに巻かれたような浮遊感を感じるけれど、読みにくさはない。
やはり、才能ある人というのは最初からこうなんだな……私には逆立ちしたって書けない文章だと思う。

ストーリーは、
浪人生のうーちゃんが、母親「かか」が子宮を摘出する手術の日に、熊野へ祈りの旅に出るお話。
本の背表紙には「19歳の浪人生うーちゃんは大好きな母親=かかのことで切実に悩んでいる」とはじまるのだが、「大好き」なんて言葉で表現できない激しい感情を感じた。

祖母が「かか」を長女の遊び相手としておまけで産んだという言葉に、かかはずっと囚われている。夫の裏切りなどで精神を病んでお酒を飲むかか。
でも、かかはうーちゃんに優しい。うーちゃんもかかに優しい。
うーちゃんのかかへの気持ちは、悲しくて哀れで愛おしくて切ない。
何かに引き寄せられるように祈りの旅に出る日は、かかの手術の前日。

かかを産んでやりたい、産んでイチから育ててやりたい
間違いでうーちゃんなんかを産んじまわないようにしつこくいいつけて、あかぼうみたいにきれいなまんま、守りぬいてあげられたんです。
うーちゃんはどうして、かかの処女を奪ってしか、かかと出会うことができなかったんでしょうか

特別な出来事があるわけでも、事件があるわけでもないけれど、当たり前の日常が肌にまとわりつくように感じられて不思議な気持ちになる。大衆演劇ファンのSNSの書き込みや、いとこの明子、弟のみっくんの行動がリアルに感じられて時折現実に引き戻されるように感じる。

自分が女であり、孕まされて産むことを決めつけられるこの得体の知れん性別であることが、いっとう、がまんならんかった

女の人生にどこか不条理さと怒りを感じながら、かかを産んであげたいうーちゃんの気持ちは、「命」と「愛」に収束していくのかしら。

旅の途中で秘仏を見せて頂くうーちゃんは、仏像に欲望を抱くのです。仏像の繊細な指に妄想し、仏像の衣服の波をかきわけたいと思い、両性具有になりたいと念じるうーちゃん。淡々とした表現なのに、正座した足の親指の上でむずむず動くうーちゃんの姿がエロティックに思えました。

なんとも不思議な読後感の作品。好きではないけれど、どこか中毒性のある作品でした。

私は、うーちゃんがこれからはっきょうしないか心配だよ。

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