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読書感想文 ヒポクラテスの悔恨

ネタバレ、あらすじありの読書感想文です。

ヒポクラテスシリーズ、第四弾。でも、私はこれが初めて読むヒポクラテスシリーズでした。

タイトル ヒポクラテスの悔恨
作者   中山七里
出版社  祥伝社

あらすじ

異常死体を解剖に回すにはお金が必要だが、警察は予算がない。その結果解剖数は少なくなり、自然死と判断されてしまう。
そんな中、帝都テレビに匿名の書き込みがされた。
「これから一人の人間を自然死にしか見えない様に殺す。遺体の声が聞けるかな?」

異常死体に解剖が必要かどうか?様々なケースで、浦和医大法医学教室の真琴と埼玉県警捜査一課の古手川は判断しなければいけない。
老衰と思われた老人。肝臓がんの破裂で死んだと思われたベトナム人技能実習生。バイクの転倒事故で死んだ男。道で出血して死んだフィリピン人女性。生まれてわずか5日の赤ちゃん。
すべて一見自然死に見えるケースだが、わずかな違和感を見つけた古手川は真琴に解剖を依頼する。遺族や周辺の反対を押しきって解剖するにはリスクも生じる。何もでず自然死だとなれば、費用すら負担する覚悟で解剖に挑む真琴と上司光崎。
光崎の見事なメス捌きの元、すべて自然死ではないことが判明していく。

犯人は、真琴の尊敬する上司光崎に挑戦していた。
光崎には若いころ解剖すべき遺体を解剖できずに、連続殺人を引き起こす原因をつくってしまったという。その被害者の関係者が犯人だった。

光崎は犯人を殴って言う。
「たとえ復讐でもお前が殺すべき相手はわしだ。生後5日の赤ん坊ではない。弱いものを狙ったお前は、連続殺人の犯人と同等に堕ちたのだ」

感想

老衰と思われた老人。肝臓がんの破裂で死んだと思われたベトナム人技能実習生。バイクの転倒事故で死んだ男。道で出血して死んだフィリピン人女性。生まれてわずか5日の赤ちゃんは、それぞれ「老人の声」「異邦人の声」「息子の声」「妊婦の声」「子供の声」という短編になっていて独立した物語として読むこともできる。
それぞれ親を介護する家庭、ベトナム人技能実習生を雇うブラック企業、働かない息子と父の関係、外国人差別、赤ちゃんの突然死というありがちな背景を持っている。
それぞれに内容は事故であったり殺人であったりする。
5つの物語の背景にある匿名の書き込みをした犯人は、それほど意外な人物ではない。犯人捜しというよりは、権力や出世とは無関係に医師として死者の声を真摯に聞こうとする光崎と真琴。ユニークで楽しい准教授キャシー。警察官としての勘で犯人を逃がさないと頑張る古手川。登場人物が生き生きしていて、とてもよみやすい作品だった。

自然死での自宅で気づかないうちに亡くなっていると警察が来て大変だったという話を良く聞く。でも、たいていは事件性なしと判断されているのだろう。「事実は小説より奇なり」なんていうけれど、現実にはこの小説より巧みな完全犯罪がおこなわれているのかもしれない……などと思うと怖いなあ。



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