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先輩同級生

私には大好きな先輩がいる。

私が通っていた夜間高校には、様々な事情を抱える人々がいた。
私のように不登校からの再出発として夜学を選んだ人間もいれば、中学も通えずに丁稚奉公に出て、子育てが落ち着いてから夢だった高校生活を手に入れる為に学び直しに来た60歳の高校生もいた。

卒業してからも付き合いが続く、10歳上のクラスメートもそんな中のひとりだった。クラスメートだが、ここでは先輩と呼ばせてもらう。

在学中は別の大人のクラスメートたちから「ちゃんと学校こねぇと卒業できねぇぞ」と説教されているところをよく目にした。

「だってもうさー、疲れちゃうんだもーん」

子供みたいな声を出して不満を漏らす。
そんな様子を見て周りの大人たちが笑う。

酷くちゃらんぽらんだけれど、甘え上手で、どこか憎めない人だ。

忘れもしない、卒業後の飲み会で、先輩は浴びるほど酒を飲んでいた。
「そんなに飲んで大丈夫なんすか」という私に「こんな日に飲まねぇでどうすんだよ!」と言いながら酒を煽る。

いわんこっちゃない、しばらくすると先輩はトイレから帰って来なくなった。心配して様子を見に行くとドアが開いている。「先輩ドア開いてますよー」と言いながら入ると、中ではトイレに齧りついた先輩が「いいかオトマ!俺の生き様を見ろ!」と言いながら吐いていた。
台詞とやっていることの乖離が酷すぎる。

若い頃はやんちゃをしたらしい。先輩はそれを全く誇ったりしない。この間わざわざ新幹線を使い若い頃迷惑をかけた人の所まで謝りに行ったそうだ。その時の事を、本当に額に汗をかき、何度もおしぼりで顔を拭いながら教えてくれた。

顔をクシャクシャにして恥ずかしそうに話す様子を「大事な所は逃げないのだな」と思いながら見ていた。

同級生で飲んだ時のこと。その時期小さなスケートボードを持ち歩くことが何故か流行っていた。ベロベロになった先輩が「生ビール飲んだら踊りだす!サンバのリズムで踊りだす!」と歌いながら手をひらひらさせてステップを刻み、そのまま子供みたいに駅の構内でスケートボードに乗って何処かへ行ってしまった。

すれ違う会社員が眉間にシワを寄せながら「これだからゆとりは」という。
知ってるか、その人はゆとり世代なんかじゃない。

白い目で見られつつ「コケますよー」と後を追った。

今でもたまに一緒に飲みに行く。

ベロベロになって楽しそうに話す先輩を見てると思うのだ。

人生素直に楽しんだもの勝ちなのかもしれない。

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