「静かにしなくていい」のが、今の私たちにはちょうどいい。 2歳児映画デビュー戦
『おうち映画館、50分間の冒険』
雨が続くと、2歳児の底なしの体力と「どこか行きたい!」という無言の圧力に、親の心は折れそうになる。
「よし、今日はおうちを映画館にしよう」
そう思い立ったのは、半ば、逃げ場を失った私の苦肉の策だった。
リビングを暗くして、ポップコーンを準備する。
この「特別感」だけで、娘の目はキラキラと輝き出した。
さて、何を観よう?
まずは王道のジブリを……とNetflixを開いて愕然とした。
ラインナップに並んでいたのは、なんと『火垂るの墓』だけ。
2歳のデビュー戦には、あまりにも、あまりにも過酷すぎる。
ディズニーのサブスク課金も頭をよぎったが、
ここは踏みとどまって、動物たちが歌い踊る『SING』をセレクトした。
結果、上映時間は「50分」で幕を閉じた。
1時間超えの壁はまだ高かったけれど、これでも予想よりずっと長い。
もしかしたら、映画の魅力というより、口に運び続けるポップコーンが彼女を椅子に繋ぎ止めていただけかもしれないけれど。
でも、画面を見ながら
「豚さんが歌ってるね」
「あ、コアラさん何してるの?」
と、私に一生懸命語りかけてくる娘の横顔を見ていて、ふと気づいた。
映画館なら「シーッ」と指を立てて制止しなければならないこのお喋りも、おうちなら最高のBGMになる。
好きなタイミングでお菓子を食べて、好きなだけ感想を言い合って、飽きたらそのままお昼寝したっていい。
「静かに鑑賞する」ことよりも、「一緒に何かを見て笑う」こと。
今の私たちには、この「自由すぎる映画館」がちょうど良かったのだ。
(ちなみに映画は一応最後まで鑑賞。お昼寝後に後半戦をして無事完走!)
翌朝、娘が起きて一番に言った。
「今日は、ムービー見る?」
どうやら彼女にとって、
昨日の50分間は、私が思うよりずっと素敵な冒険だったらしい。
